まだ「会社」にいるの?

「独立前夜」にしておきたいこと
未読
まだ「会社」にいるの?
まだ「会社」にいるの?
「独立前夜」にしておきたいこと
未読
まだ「会社」にいるの?
出版社
大和書房
出版日
2013年12月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「やりたいことがあるけれど、会社ではそれが実現できていない。」そんな思いを抱いたことはないだろうか。本書は、30歳で独立・起業を果たした筆者が、「会社を辞める勇気がない」と悩む人たちに「社会のレールをいったん降りる必要性」と、独立して自分らしい幸福な人生を送るためにどんな心構えでいるべきかを説いた一冊である。

「真にやりたいことができて、社会的評価も得られている」という独立の理想に到達する前段階に取り組むべき課題と、それに対する具体的な対処法がわかりやすく記されている。

また本書は、経済的成功のノウハウに比重を置いた独立・起業本とは違い、信頼やつながりも含めた「人生全体の総資産」や幸福感をいかに高めるかという観点に立っているのが特徴的だ。他者の期待を満たすためにやり抜く「コミットメント」によって積みあがっていく「信頼」と「お金」との関係性を考え直す機会も与えてくれるだろう。

本書を読んだ後に、同一著者の『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(アスキー・メディアワークス)を読めば、「好きなことで食べていく」状況に至るまでの道筋がより一層明らかになるのではないだろうか。

無理なく継続的に理想に近づくためのアドバイスや応援メッセージは、独立を目指す人にはもちろん、自分らしい生き方を模索している社会人にはぜひ読んでほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

山口 揚平
早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院。1999年より大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業。
企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供する。2010年に同事業を売却。
現在は、コンサルティング会社をはじめ、複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演活動を行っている。貨幣論・情報化社会論を専門としている。

本書の要点

  • 要点
    1
    独立とはスキルや姿勢の問題であり、誰でも実現できるものである。幸せな独立を実現させるためには、まず自己を知り、感情のバイオリズムをマネジメントして、安定して成果を出せる仕組みをつくっていく必要がある。
  • 要点
    2
    独立するならば、仕事は作業ではなく、どれだけ他者に貢献できたかであるという新たな評価基準を意識しなくてはならない。
  • 要点
    3
    独立すると、個としての信用が今まで以上に問われるようになる。人生のバランスシートをもとに、お金だけでなくクレジット(信頼)や人とのつながりを含めた「人生の総資産」をいかに高めていくかという視点が重要である。

要約

なかなか会社を辞める勇気がない人へ

グレーカラーが抱えているジレンマ
cmcderm1/iStock/Thinkstock

「自分のやりたいことを仕事にしたい」と思いつつも、社会のレールから降りることをためらう人たちに、独立の後押しをするのが本書の目的である。

会社員の8割は「グレーカラー」に属する。ここでの「グレーカラー」とは意思決定を行うホワイトカラー(取締役など)と、実作業を行うブルーカラーの中継をする中間管理職のことであり、責任が大きい割に自由度や権限が少ない。取締役などのホワイトカラー層の流動性が増し、生え抜きである必要がなくなってきた昨今、取締役に出世することは難しくなっている。また、硬直した組織体制の企業に身を置いていると、社会に価値を提供するよりも組織の維持に奔走せざるを得ない。

そんなジレンマから抜け出して自分の道を歩むために、会社員時代に身につけてきたスキルやネットワークをもとに一人で食べていく「独立(インディペンデント・コントラクター)」という選択肢を、現実的に考える時が来ている。

自分らしく生きるための3つのステップ

独立は向き・不向きではなく、あくまでも技術であり、「ステップを踏んでいけば誰でも実現できるもの」である。そもそも、50年前は日本の労働者の約6割が自営業者や家族従事者であり、独立の道は極めて普通のことだったのだ。

「社会に合わせているか」を縦軸に、「自分に素直に生きているか」を横軸にとってみよう。「社会に合わせているが、自分に素直に生きていない」という会社員の状態から、一足飛びに「社会に合わせていて、自分に素直に生きている」理想の状態に移ることは現実的ではない。そこで、自分らしく生きるための3つのステップを勧めたい。

ステップ1は社会のレールから降り、いわゆるニートの状態になること。ステップ2は、「自分とは何か?自分を活かす道とは?」を自問自答して、「好きなことをやれているが社会に認められているわけではない」という自由人のポジションに到達すること。3つ目のステップは、好きなことで一人前に食べていけている状態に達することである。

本書は、ステップ1と2に不可欠な知識・マインドを伝えることを一番の目的としている。

独立のベースをつくるためには

「独立の及第点」に達する方法
Szepy/iStock/Thinkstock

先ほど述べたステップ1をクリアするためには何をするべきなのだろうか?

まずは独立前に、今の業界または会社で上位10%に入っていることだ。

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要約公開日 2014.03.25
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