怒られ力

新社会人は打たれてナンボ!
未読
怒られ力
怒られ力
新社会人は打たれてナンボ!
著者
未読
怒られ力
著者
出版社
明治書院
出版日
2014年04月24日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

今も昔も会社での「働きやすさ」が注目を集めている状況に変わりはない。だが、「働きやすさ」に影響する要因の一つである「部下と上司との関係」は以前とは様変わりしているようだ。

阿川佐和子氏の『叱られる力』(文春新書)によれば、最近は「褒めて伸ばす」という言葉に惑わされ、以前に比べて叱り方が分からなくなった上司が増えているという。部下も怒られることに慣れていないため、上司が思っている以上に精神的ダメージを負ってしまい、落ち込んで仕事を辞めることまで考える人も少なくない。その結果、部下と上司のコミュニケーションがうまくいかず、双方悩んでいるという現象が起こっているそうだ。

本書はこうした「打たれ弱い現代の若者」に対して、どうやって上司の怒りを受け止めたらよいか、怒られた経験をどうやって今後に活かせばいいのかを説いている。著者である桂福丸氏は「自分は打たれ弱い」と言いながら、怒られることが日常茶飯事である落語界に身を置く落語家だ。ときには師匠の愛情を感じることもあるが、理不尽に怒られることも多い。そのような自身の経験も踏まえて、怒られることをどうやってプラスの力に変えていけば良いのかを解説している。

灘中学・灘高校から京都大学法学部に進学したが、卒業後はフリーターを経て落語家になったという桂福丸氏自身の強烈な「怒られ」人生や、架空の新社会人マサオの物語を通じて、「怒られ力」とは何か、どうすれば身に付けられるかを楽しく学ぶことができる。

装丁からも分かるとおりカジュアルな本ではあるが、本書に感銘を受けた江崎グリコ社長の江崎勝久氏は、新入社員向けの研修にも活用しているそうだ。新社会人の方はもちろん、彼らを指導する立場にある方にとっては、部下に「怒られるときの心構え」を教えるときに有効な一冊ではないだろうか。

ライター画像
苅田明史

著者

桂 福丸
1978年神戸市生まれ。落語家。灘中学・灘高等学校卒業後、京都大学法学部に進学。2001年卒業。卒業後はフリーターとして生計を立てつつ英語落語を学び、アメリカでも公演を行う。2007年、4代目桂福団治に入門。「福丸」の名付け親は作家の藤本義一氏である。天満天神繁昌亭ほか、各地の落語会などにも出演中。2013年からはクラシック音楽とのコラボレーション「寄席クラシックス」にも出演。同年には東日本大震災復興応援として、福島県でも開催された。
桂福丸ブログ http://mscafe.cocolog-nifty.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    「怒られ力」とは、怒られることと上手につきあい、怒られたことを真摯に受け止めることで自身の成長につなげることができる力を指す。
  • 要点
    2
    怒られたことに向き合うには、冷静でいること、体裁を気にせず素直でいること、思い込みに惑わされないようにすることが重要だ。「怒り」を受け止めればそれは自らの糧になり、自身の成長に繋がるだろう。

要約

【必読ポイント!】 「怒り」を受け止めるには

「怒られ力」とは
KatarzynaBialasiewicz/iStock/Thinkstock

「最近の若者は怒られ慣れて育っていないので打たれ弱い」と言われて久しいが、幼少期から学生を経て社会人になり、働いていく過程において、怒られなかったという時期は全くないのではないか。怒られることはイヤだが、怒られることからは逃げられない。だとすれば、逃げるよりも、どうやって付き合っていくかを考えた方が良い。

そこで本書の著者である桂福丸氏は「怒られ力」を身に付けることを提唱している。「怒られ力」とは、怒られることと上手につきあう力のことを指す。そればかりか怒られたことを糧にして自らの成長に変えることができる力である。そうすれば「あぁ、今日も怒られる」という辛い思いではなく、「怒られてよかった」と感謝することができるだろう。すぐに身に付いて効果を発揮するようなものではないが、地道に実践することで確実に自らを成長させることができるはずだ。

怒られることには価値がある

誰しも怒られるのはイヤなものだが、突如としてやってくる「怒り」をどうやって受け止めればよいのだろうか。

嫌われるのが怖い、みんなから好かれたいという思いが強く、自分をさらけ出すのが下手だという桂福丸氏は、よく「もっと自分を出せ!」と怒られるそうだ。そうするとまず、心の中にはイラッとして反論が浮かんでくる。「自分を出せというけれど、できるならもうやってるわい」だとか、他にも相手の言うことを否定するような言葉がたくさん出てくるだろう。

しばらく経って自分の中のイライラが収まってくると、今度は落ち込みがやってくる。「ああ、たしかに自分が出せてないなぁ。それで人間関係の距離が上手く取れないのかもしれない」といった自分を否定するような言葉が次々と出てくるのだ。

この状態が1日~数週間続いてからやっと、「自分を出すためには何をしたらいいだろう」と、前向きなことを考えられるようになる。

怒られ力を身につけられるかどうかは、この後が肝心だ。時間に心を癒され、イヤな事を忘れてしまうのではなく、この体験を生かそうと思うことが大事なのである。落ち込まされて、そのまま終わってしまったらそれこそ怒られ損。イヤな思いをしたし、何とかこれを身につけてやろう、生かしてやろうと思うことで、怒られ力の第一段階をクリアーすることができる。

ショックを和らげる
-zetwe-/iStock/Thinkstock
「怒り」を受け止めるには、心をほぐすことだ。心をほぐせば、怒られた内容が素直に心に入ってくる。

心をほぐす手段の一つは、怒られたあとのショックからいち早く立ち直ることだ。そのためには自分を客観的に面白く見てみてはどうだろうか。

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要約公開日 2014.07.25
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