グロービスMBAクリティカル・シンキング

未読
グロービスMBAクリティカル・シンキング
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未読
グロービスMBAクリティカル・シンキング
出版社
ダイヤモンド社
出版日
2012年05月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

読者の方は「クリティカル・シンキング」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。ピラミッド構造や「演繹法」「帰納法」といった論理展開、MECEという言葉など多種多様にわたるかもしれない。

どうやら書店や出版社の方の話では、この領域の書籍はロングセラーが多いのだそうだ。それだけ注目を集めやすいテーマなのだろう。「クリティカル・シンキング」や「ロジカル・シンキング」という言葉をどこかで耳にして、本屋で関連書籍をパラパラと立ち読みした方も多いと思う。

だが、この分野の言葉を単に知っているということと、それを本当に理解しているということ、更にはそれを使いこなせているということにはそれぞれ大きな違いがある。コンサルティングファームを志望する人であれば、ほぼ全ての人間がMECEなどの専門用語を知っている。しかし、新人コンサルタントにとって最も必要なのに最も習得できていないのが、「クリティカル・シンキング」であるから、全くもって奥が深いテーマである。

故に、「クリティカル・シンキング」を習得する道のりは、一冊本を読んで終わるということは決してない。この分野を十分に習得できていないと感じるならば、本書を一読した上でその内容を意識して日常の業務に繰り返し取り組むことが必須であると言える。議事録作成、提案資料作成、プレゼンテーション、部下への指示、上司の説得など、このスキルが活きる対象はほとんど全ての業務だ。それだけ重要なスキルであるからこそ、本書を熟読した上で得た知識を業務で使いこなすことを多くのビジネスパーソンに薦めたいし、それにより今後のキャリアの基盤となる汎用的なスキルを身に付けることができるだろう。

ライター画像
大賀康史

著者

グロービス経営大学院
社会に創造と変革をもたらすビジネスリーダーを育成するとともに、グロービスの核活動を通じて蓄積した知見に基づいた、実践的な経営ノウハウの研究・開発・発信を行っている。グロービスは、以下の活動を通して、社会の創造に挑み、変革を導く。(http://www.globis.co.jp)
・グロービス経営大学院(経営大学院/東京・大阪・名古屋・仙台)
・グロービス・コーポレート・エデュケーション(法人向け人材育成事業/日本・上海)
・グロービス・キャピタル・パートナーズ(ベンチャーキャピタル事業)
・グロービス出版(出版事業)
・オンライン経営情報誌「GLOBIS.JP」(経営情報サイト運営事業)
・コンファレンス運営(G1Summit/G1Global/G1Executive)

本書の要点

  • 要点
    1
    「ピラミッド・ストラクチャー」は、結論のメッセージを頂上に置き、そのメッセージをサポートするメッセージを順次下部に配置していく構造だ。ゆえに多くの事実・議論をもとに1つの結論を導くのに適している。
  • 要点
    2
    論理展開の基本的なパターンには、「演繹法」と「帰納法」の2つがある。それらは、ピラミッド・ストラクチャーの中で、グルーピングした情報から何が言えるのか(So What?)を考えるときに有効だ。

要約

はじめに

gpointstudio/iStock/Thinkstock
クリティカル・シンキングとは何か

まず初めに、本書のタイトルでもあるクリティカル・シンキングという言葉の意味を解説しよう。「Critical」という言葉の本来の意味は「懐疑的な」「批判的な」である。本書ではクリティカル・シンキングを、「健全な批判精神を持った客観的な思考」という意味合いを維持しながら、「ビジネスパーソンが仕事を進めていくうえで役立つ」という観点にフォーカスしている。つまり、論理思考の方法論と正しく思考するための心構えを組み合わせ、ビジネスにおいて「物事を正しい方法で正しいレベルまで考える」ことを実現しようとしているのだ。

グロービスの「クリティカル・シンキング」のクラスは人気講座となっているそうで、2012年4月現在で延べ3万7千人が受講しているのだという。誰もが等しくアクセスできて、獲得可能なスキルであることから、あらゆるビジネスパーソンにとって身近なものと言えよう。そして「クリティカル・シンキング」を習得することにより、次のようなメリットが得られる。

・それまでできなかった斬新な発想ができる

・それまで見落とされていた機会や脅威に気づく

・相手の言いたいことやその前提を的確に理解できる

・会議や議論を効率的に進め、集団としてよりよい意思決定をすることができる

・説得や交渉、部下のコーチングなどがうまくできる

大きな論理の構造をつくる

ピラミッド・ストラクチャー

「ピラミッド・ストラクチャー」は、論理性を重視し、クライアントの意思決定を支援する、一流のコンサルティングファームでよく使われる手法だ。それは、結論のメッセージを頂上に置き、そのメッセージをサポートするメッセージを順次下部に配置していく構造であり、多くの事実・議論をもとに1つの結論を導くのに適している。

ピラミッド構造を意識して、頂点にメインメッセージを、その下部にメインメッセージをサポートするキーメッセージを複数置き、さらにそのキーメッセージをそれぞれ複数のサブメッセージがサポートするという形で論理を構成する。

また、ピラミッド型に論理の構造を可視化しておくことによって、自分も相手も、論理展開に飛躍や見落としやこじつけがないか容易にチェックできる。そのため、相手がその結論に反論するにせよ同意するにせよ、スムーズに次のアクションに移ることができるのだ。

イシューと枠組み

何を考え論じるべきなのか、明らかにすべき疑問(問い)を「イシュー」として設定する必要がある。ここで留意すべきは、イシューとは考える「べき」ことであって、考え「たい」ことや考え「やすい」ことではない、という点だ。たとえば、ある部品をA社、B社の2社のどちらから購入するかを問うイシューは、「この部品をどちらの会社から購入すべきか?」となる。

イシューを明確化していないと、会議が延々と脱線してしまったり、最終的な結論とは関係のない情報を長々と調査・分析してしまうような事態に陥る可能性が高い。だからこそイシューは考える出発点として重要となるのだ。

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要約公開日 2014.08.08
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