新規事業立ち上げの教科書

ビジネスリーダーが身につけるべき最強スキル
未読
新規事業立ち上げの教科書
新規事業立ち上げの教科書
ビジネスリーダーが身につけるべき最強スキル
著者
未読
新規事業立ち上げの教科書
著者
出版社
総合法令出版
出版日
2014年08月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

新規事業の立ち上げと聞いてどのような印象を持つだろうか。新しいチャレンジに胸が躍るようでもある一方で、成果を出すことが難しいため正直避けたい、と考える方も多いだろう。特に大企業では部門間のインセンティブが異なるため、1つの事業プランに賛同を集めることが簡単ではないということも、新規事業におよび腰になる要因である。

簡単ではないとはいえ、新規事業の立ち上げには共通的なコツがある。それを一冊にまとめようということが本書の試みである。著者は新規事業の立ち上げやアライアンス、営業推進に関するセミナーや講演を年間50回以上行い、この7年間で行ったコンサルティングは150社以上にもおよんでいる。そこで蓄積されたノウハウがこの一冊に込められているのだ。そう考えると実に費用対効果の高い書であると言えるだろう。

実際の新規事業の立ち上げでは有用なアイディアを出すところが最初の難関となる。本書ではアイディア出しを促せる、方法論やツールが数多く紹介されており、実際に考えが煮詰まったら使ってみる価値のあるものばかりだ。また、実際に組織を動かしていくための方法や、事業計画の作り方など、実務的な内容も多く掲載されている。

新規事業には絶対はない。だからこそそれに立ち向かう勇気と武器が必要である。新規事業立ち上げというチャレンジングなテーマに立ち向かうビジネスパーソンにとって、本書は心強い支えとなってくれるだろう。

ライター画像
大賀康史

著者

冨田 賢(とみた・さとし)
株式会社ティーシーコンサルティング代表取締役社長。慶應義塾大学総合政策学部(SFC)卒業。京都大学大学院経済学研究科修了、経済学修士。米国系銀行勤務を経て、独立系ベンチャーキャピタルの立ち上げに参画。2003年から、大阪市立大学大学院創造都市研究科の専任講師を務める(ベンチャーファイナンス論・事業計画書作成指導)。この間、米国ペンシルバニア大学、上海交通大学にて在外研究。住友信託銀行(当時)の専門職を経て、2008年からコンサルタントとして独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の要点

  • 要点
    1
    今後の日本経済は成長率の低迷が想定されること、環境の変化が速く既存事業の衰退も急激に起こること、などの要因から、多くの企業では3~5年に一度は新規事業を立ち上げていく必要がある。
  • 要点
    2
    認知的に近いところでの新規事業展開では、本当に有望な収益機会は得られにくい。有望なビジネス・チャンスを得るためには、心理的に・感覚的に、遠いところを探索すべきなのである。
  • 要点
    3
    1社だけで新しい事業を行おうとすると、様々なケイパビリティの獲得に時間がかかる。企業にとって時間はコストであるので、企業はアライアンスを梃子に新規事業を迅速に立ち上げることに注力するべきだろう。

要約

なぜ今、新規事業の立ち上げが必要なのか

olm26250/iStock/Thinkstock
3~5年ごとの新規事業立ち上げの必要性とメリット

本書では新規事業の立ち上げに必要なノウハウが凝縮して紹介されている。そのノウハウに入る前に、なぜ新規事業という難題が求められるのだろうか、という疑問について考えたい。企業において新規事業立ち上げプロジェクトが始まる理由は様々である。既存事業が衰退しているため、今後の反転攻勢を目的に、上司や経営者から指示されることもあるだろう。

著者は原則3~5年ごとに継続して新規事業を立ち上げる必要があると主張している。その理由の1つ目は、「今後、日本経済そのものが大きく伸びることはない」ことだ。過去右肩上がりで成長した日本経済は、バブル崩壊以降、デフレ傾向と低成長が続き、売上を維持することも難しくなっている。そのような長期的トレンドの中においては、新しい売上を作る努力、すなわち新規事業への取り組みが必要となるのである。

2つ目の理由は、「これからの時代は外部環境の変化が速くて激しい」ことである。そのような環境下では事業のライフサイクルが短くなるため、既存事業の衰退を見越して新しい事業で売上を補っていくことが求められるのだ。

新規事業による会社経営の安定化

新規事業というと、新たなチャレンジでハイリスクハイリターンの世界と捉える方もいるかもしれない。しかし、新規事業には経営を安定させるという効用がある点に注目すべきである。

外部環境や内部環境は変化し続けるため、会社経営や事業に絶対的な安定は存在しない。しかし、新しい事業の新しい売上が得られれば、売上規模が拡大し、リスク許容度も大きくなり、環境変化に強い会社を作ることができる。

また、事業ポートフォリオという観点からも、複数の事業にチャレンジすることで、1つの事業に頼るのではなく、別の事業が会社全体の収益を支えてくれる状況を作りだせる。それにより、社員が安心して働いて、人生を送っていける会社にする、という経営目標を実現していくことも可能になる。

組織活性化のための新規事業

新規事業には、社員のモチベーションを上げ、組織の活性化にもつながるというメリットがある。業歴の長い安定した会社では、新しいことをまったくしないことで社員のモチベーションが下がってしまう、という問題が生じやすい。「このまま、なんとなく与えられた仕事だけをやっていればよい」という雰囲気になってしまう前に、ある程度のペースで何か新しいことをして、それを社内外にアピールすることが求められるのだ。

著者のコンサルティング先の企業で、経営者の祖父の代から高級別荘地とリゾートホテルを運営している会社でも、リゾートホテルの設備拡充や、夏の間だけオープンカフェを運営すること、東京の本社ビル地下1階でイタリアン・レストランをオープンすることなどの新しい試みを行っている。こうした試みを通じて、挑戦する社風を醸成し、社員のモチベーションを上げているのだ。

【必読ポイント!】新規事業でどこに一歩踏み出すかの戦略立案

airdone/iStock/Thinkstock
収益モデルから見た新規事業のタイプ

新規事業は5つのタイプが存在する。会社の経営基盤の安定化のためには、異なる事業を組み合わせることを考えると良い。

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要約公開日 2014.09.22
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