うまい棒は、なぜうまいのか?

国民的ロングセラーの秘密
未読
うまい棒は、なぜうまいのか?
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国民的ロングセラーの秘密
未読
うまい棒は、なぜうまいのか?
ジャンル
出版社
日本実業出版社
出版日
2014年09月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

うまい棒、と聞けば、唾液とともに懐かしさがこみ上げてくるのは、私だけではないはずだ。うまい棒は全国の老若男女の愛してやまない、まさにキング・オブ・駄菓子。その人気とロングセラーの秘密を明かす本がいよいよ出版された。

本書は、さすがうまい棒の本だけあって、楽しさあふれる本である。めんたい味のパッケージから飛び出した「うまえもん(仮)」と「博士」のペアが掛け合い漫才のようなやりとりをしながら、うまい棒の値段や種類、駄菓子の歴史や流通の仕組みなど、さまざまな点に注目し、魅力の源を探る。本の装丁も、うまい棒を彷彿とさせるようなにぎやかな彩りで、製作チームの気合いが感じられる。

本書「協力」者でもある、駄菓子のトータルプロデュース会社やおきんのみなさんは、駄菓子づくりにおける遊び心をとても大切にしているそうだ。文中では「常にエンターテインメント性を入れていきたい。『おもしろい』と『おいしい』が同時にあってもいい」という社員のことばが引用されている。「楽しさ」や「おもしろさ」を味わえるよう、うまい棒のパッケージの絵柄は、手間とコストをかけることになっても工夫を続けているという。そうした精神が、本書の隅々にまであふれているように感じられた。

読んで楽しく、しかも、35年間も売れ続けるヒット商品を生み出した株式会社やおきんの、商売の秘訣を垣間見ることができる。お値段は10円……ではないが、うまい棒そのものと同じように、たいへんお得でおいしい1冊なのである。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

著者 チームうまい棒
うまい棒の全パッケージに登場するキャラクター「うまえもん(仮)」と、めんたい味のパッケージに載っている「博士」の2人が、うまい棒、駄菓子を愛する人のために、めんたい味のパッケージから飛び出してチームを結成。

協力 株式会社やおきん
「うまい棒」をはじめ、「キャベツ太郎」「蒲焼さん太郎」など、手軽なスナック菓子から斬新なアイデアのおもしろお菓子、時代を越えて親しまれている懐かしい菓子など、遊び感覚あふれる楽しいお菓子の企画から販売までをトータルにプロデュースしている。おいしいもの、楽しいことが大好きな子どもたちの夢を育む商品を、日本全国はもちろん世界の子どもたちへと届けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    うまい棒が発売以来10円という価格を維持できているのは、さまざまな工夫をしているからだ。機械をフル回転するために商品の種類を増やし、原料や資材は大量注文によりコストを抑えている。
  • 要点
    2
    品質向上のためには手間とコストを惜しまない。味にはこだわりぬき、こわれにくく食感のよい形状にし、湿気を防ぐ特別な包装フィルムを使っている。そうしたことは結果としてファンを増やし、長期的にはプラスに働いている。
  • 要点
    3
    駄菓子は、人の心を和ませる。そのために、老人ホームや被災地など、駄菓子を利用される場が近年さらに広がっている。

要約

【必読ポイント!】うまい棒は、なぜうまい?

種類が多いから、うまい!
wyoosumran/iStock/Thinkstock

みなさんは、何味のうまい棒がお好きだろうか?

人気のスリートップは、やはり「めんたい味」「チーズ味」「コーンポタージュ味」だそうだ。ちなみに、子どもには「コーンポタージュ味」が一番人気だとか。

うまい棒は現在18種類。毎年1~2種類の商品が加わるが、反応がよくなければ、リスクを抑えるため1年以内に製造終了となるものもある。

しかし、最初はこんなにたくさんの種類を販売するつもりはなかったという。うまい棒が発売された当初は売上の波が激しく、一時的に人気が出た商品が下火になると、機械を使わない時間が増えてしまった。その無駄をなくすために、別の味の商品を作ることにした。機械をフル稼働させて、たくさんつくることで、単価の安さを保ちながら、注文と供給のバランスを探っていったそうだ。

うまい棒には、「シュガーラスク味」「牛タン塩味」「エビマヨネーズ味」など、個性的な味が多くある。「サラミ味」は、お酒の席でサラミのオードブルが出てきたことがきっかけで開発されたそうだ。オフの時間だからこそ思いつく、漁夫の利ならぬ「オフの利!」とは、本書の語り手うまえもん(仮)の言である。

そうしたアイデアは、短期的な商品にならないように、味にこだわって形にされる。「大切なのは、1本だけ食べてもらうのではなく、1本食べ終わったあとに理屈抜きにもう1本食べてもらえる味かどうか」だという。

ずっと10円だから、うまい!
photo by flier

10円のうまい棒は、子どもたちが、「親から渡されたものではなく、自分で選んで自分で買えるものを」「100円のスナックを買うぐらいなら、うまい棒を10本買ったほうが楽しいと思ってもらえるように」と考えられて誕生した。

発売から35年、原材料のとうもろこしの値上がりにもめげず、消費税アップにも屈せず、「10円」を守り続けている。

そのためには、単純にコストを下げて儲けるという方策はとらなかった。いいものをつくるため、原料メーカーとも資材メーカーとも協力して、たくさん原料を買うぶん安くしてもらったり、フィルムや段ボールを量産できる体制を整えてもらったりして対応していった。

一方で、味や品質を向上できるポイントがあれば、そこにはむしろコストをかけている。

たとえば、うまい棒には穴が空いている。

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要約公開日 2014.10.17
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