国境なき医師団

終わりなき挑戦、希望への意志

ジャンル
グローバル, 人文科学
著者
ページ数
480ページ
出版社
みすず書房
定価
5,832円
出版日
2015年12月24日
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要約者レビュー

国境なき医師団(MSF)とは、1971年に少数のフランス人医師とジャーナリストたちによって設立された国際的人道医療団体である。2015年現在、2万7000人ものスタッフが60カ国以上の人々に医療援助を行っている。MSFは、自ら「国際的な運動」と位置づけ、暴力や放置(ネグレクト)、伝染病や栄養失調などによる死という危機について、世界の国々に異議を唱えている。
本書は、MSFの活動に参与し、医療社会学者として新境地を開拓してきた著者が、社会学的見地から、MSFの理念、現地活動、そして活動によって新たに見えてきた医学的・倫理的課題について考察した一冊である。MSFの誕生や分裂の危機、彼らが活動の意義について激しく議論を交わし、エイズなどの過酷な病と闘う様子が克明に描かれている。
「自分が行かなければ変えられない世界がある」。こうした強固な信念のもと、彼らはどのように人道支援の任務遂行に伴うリスクに対処しているのだろうか。また、MSFは介入の決断やタイミング、限られた人員・資金という資源の配分という課題に、どのように対応しているのか。著者の、客観的でありながらも、MSFへの希望に満ちた眼差しによって描き出されるMSFの「現場」には、胸に迫るものがある。
本書に登場するスタッフたちの経験の中には、心の琴線にふれるものが必ずあるだろう。そして自分の人生観を振り返るヒントを得られるにちがいない。 (松尾 美里)

著者情報

レネー・C・フォックス
1928年ニューヨーク生まれ。ハーバード大学大学院でT・パーソンズの下、医療社会学への道を切り拓く。同期にC・ギアツ、R・ベラーが在学。
コロンビア大学を経て、ペンシルべニア大学社会学科教授として教鞭を取ったのち、90年代、ベルギーとコンゴ共和国に第二の拠点を置いた。96-97年、オックスフォード大学に招かれる。ペンシルべニア大学・生命倫理学センターのフェローを兼務。また「国境なき医師団」の活動に参与し、2002年に南アフリカ共和国に出向く。合衆国における医療社会学者の最初の一人。参与観察者として、独自の境地を開拓した。主著として『危険な実験』(1959)、『医療社会学』(1989)、『ベルギーの館にて』(1994)があり、ほかJ・スウェイジーとの共著『失敗を恐れない勇気』(1974)、『スペア・パーツ』(1992、邦訳『臓器交換社会』青木書店1999)などがある。『生命倫理をみつめて――医療社会学者の半世紀』(みすず書房2003)は日本での講演を独自編集した自伝。

評点(5点満点)

総合 (3.8)
革新性 (4.0)
明瞭性 (4.0)
応用性 (3.5)

本書の要点

  • MSFは、1960年代後半にフランスの若い医師たちによって創設された。「行動と発言」、「治療と証言」を二軸に据え、市民社会の運動だと自ら定義している。
  • MSFは人道的医療活動をうまく機能させよ...

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ジャンル
グローバル, 人文科学
著者
ページ数
480ページ
出版社
みすず書房
定価
5,832円
出版日
2015年12月24日
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国境なき医師団 3.8 松尾 美里 2016-03-02
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