茶の本

ジャンル
人文科学
著者
ページ数
95ページ
出版社
岩波書店
定価
454円
出版日
1961年06月05日
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要約者レビュー

著者の岡倉覚三は、岡倉天心という名でよく知られる美術評論家である。西洋化が進み日本の伝統文化がなおざりにされていた明治時代に、改めて日本の文化を見つめなおそうと奔走した人物だ。岡倉は世界に向けて日本やアジアの伝統文化の価値を広めるために、英語で『THE BOOK OF TEA』を著した。それを日本語に訳したのが本書である。
タイトルからは一見、茶の作法を説いた本のように思われるかもしれないが、その中身は、一杯の茶の中に凝縮された日本特有の美意識や世界観を浮かび上がらせる思想書である。日本人が何を良しとし、何を美しいとしたかの真髄に迫る、密度の濃い1冊だ。本書を読み進めていけば、日本建築や庭園、衣服、絵画に至るまで、あらゆるところに茶道の考え方が影響していることがわかる。日ごろ茶道に馴染みがない人でも、「真の美は『不完全』を心の中に完成する人によってのみ見いだされる」「些事の中にでも偉大を考える」という考え方には、うなずけるところがあるのではないだろうか。
岡倉は、同時期に刊行されていた新渡戸稲造の『武士道』を、「兵士に喜び勇んで身を捨てさせる死の術」として、それに対し茶道は「生の術」であるとした。昔も今も、我々は「世界に通用する日本」をめざしているが、その過程で、自らの価値、日本文化の価値を軽視してしまうことがままあるのでないか。世界に羽ばたくための変化が、単純な「西欧化」になっていないか、と待ったをかける岡倉の言葉は、今の時代を生きる私たちの心にも十分響くものである。 (北山 葵)

著者情報

岡倉 覚三(おかくら・かくぞう)
(1862~1913)
美術評論家、思想家。1875年、東京大学入学。在学中にアメリカ人教授アーネスト・フェロノサと出会い、共に美術調査を行う。卒業後は文部省に入省し、東京藝術大学の前身である東京美術学校を設立。日本美術の保護及び日本画家の育成に努めた。
その後頻繁に海外を訪れ、1904年にボストン美術館の顧問に就任。東洋の美術品の収集に励み、日本文化の価値を世界中に広めるべく活動した。著書に『東洋の理想 』『日本の覚醒』『茶の本』などがある。

評点(5点満点)

総合 (3.8)
革新性 (4.0)
明瞭性 (3.5)
応用性 (4.0)

本書の要点

  • 東洋と西洋はお互い批判しあう関係であったが、西洋における物質主義に限界を感じた者たちが、東洋の茶道の精神に活路を見出した。茶道における「不完全さ」を真摯に見つめることにこそ、東西の相互理解の道がある。
  • 茶道には、「虚(何もない状態)」の中に完...

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人文科学
著者
ページ数
95ページ
出版社
岩波書店
定価
454円
出版日
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