愛するということ

ジャンル
人文科学
著者
ページ数
214ページ
出版社
紀伊國屋書店 出版社ページ
定価
1,363円
出版日
1991年03月25日
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要約者レビュー

本書は、『自由からの逃走』で知られる思想家フロムが、愛について語った1冊である。「愛は技術である」という印象的な主張で始まるが、内容は決して小手先のノウハウの類ではなく、極めて論理的に愛の本質や失敗の原因が分析されている。
たとえば、人が愛について学ぼうとしない理由を、フロムはこう分析する。1つ、人は「愛する」ことより「愛される」ことを重視しているから。2つ、愛にまつわる問題が発生するのは、能力が欠如しているのではなく、愛する/愛されるにふさわしい相手がいないからだと考えてしまうから。3つ、「愛する」「恋に落ちる」という愛の始まりの状態と、「愛し続ける」という持続的な状態を混同してしまうから。どうだろう、頷きが止まらなくなる、あるいは耳が痛くなるような指摘ばかりではないだろうか。文中に出てくる「現代」は、原文の書かれた1956年頃のことだが、大半がそのまま現在にも当てはまる。「愛」が人間にとっていかに普遍的で重要な問題か、そして我々がいかにその問題を解決できていないかを痛感させられた。家族や友人、恋人との関係に悩む人にとっては、小手先のテクニックを集めた指南書よりもずっと役立つ内容だといえるだろう。
本書の魅力をさらに挙げるなら、その文章の美しさに触れないわけにはいかない。鈴木の名訳が光り、ハッと胸を突かれる切れ味の鋭い名言・名文がいくつも登場する。これらについては、やはり実際に本書で味わってほしい。「座右の銘」が増えること請け合いだ。 (北山 葵)

著者情報

エーリッヒ・フロム
1900年、ドイツのフランクフルトに生まれる。ハイデルベルク、フランクフルト、ミュンヘンなどの大学で学んだのち、ベルリン大学で精神分析学を学ぶ。フランクフルト社会研究所を経て、1933年アメリカに渡り、のちに帰化。イェール、ミシガン、ニューヨークなどの大学で教鞭をとり、さらにメキシコに移住。1980年没。
フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活とは何か、それを可能にする社会的条件とは何かを終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋宗教への関心を深めた。
著書:『自由からの逃走』、『人間における自由』、『精神分析と宗教』(以上、東京創元社)、『正気の社会』、(社会思想社)、『愛するということ』、『悪について』、『希望の革命』、『生きるということ』(以上、紀伊國屋書店)、他多数。

評点(5点満点)

総合 (4.3)
革新性 (4.0)
明瞭性 (4.5)
応用性 (4.5)

本書の要点

  • 「愛する」という行為は、音楽や工学などと同じく「技術」を要する。技術を身につけるためには、自分自身の人格全体をより優れたものにするよう努力しなくてはならない。
  • 人は自分が孤独な存在だと知っており、その...

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人文科学
著者
ページ数
214ページ
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紀伊國屋書店 出版社ページ
定価
1,363円
出版日
1991年03月25日
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紀伊國屋書店 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314005586
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