菊とポケモン

グローバル化する日本の文化力

ジャンル
人文科学
著者
ページ数
403ページ
出版社
定価
2,484円
出版日
2010年08月30日
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要約者レビュー

本書は、日本がポップカルチャーの主要輸出国となるまでの道筋を、丁寧に解き明かした一冊だ。かつて、日本のポップカルチャーをまじめに取り上げる人は、西洋社会にはほとんど誰もいなかった。しかし1990年代に入ると、日本のポップカルチャーは徐々に西洋でも人気を博すようになり、特にポケモンは世界中に大きな衝撃を与えた。
著者は、日本が世界の文化産業において確固たる地位を築いている理由として、日本のポップカルチャーと現代文明の親和性の高さを指摘する。西洋の子供たちは、日本の想像の産物を、「異質」だから受け入れているのではない。彼らの感じているストレスを解消し、願望をかなえてくれるからこそ、人気を獲得しているのだという。
本書のタイトルには「ポケモン」とあるが、本書が取り上げているのはポケモンだけではない。戦後の復興期になぜゴジラが流行り、鉄腕アトムに見られるようなテクノロジーへの執着が生まれたのか、そして高度なテクノロジーを発達させた資本主義社会が、どのようにファンタジー世界を希求するようになるのかを、さまざまな事例を通じて、感性豊かに解き明かしていく。
本書の原書は2006年発行であるため、頻繁なアップデートをくりかえすポップカルチャーを扱ったものとしては、いささか古い印象を与えるかもしれない。しかし、著者の分析は今でもみずみずしく、十分に目を通す価値がある。ポケモンGOがなぜここまで世界的な人気を博したのか、本書を片手に、思索にふけってみるのも悪くない。 (石渡 翔)

著者情報

アン・アリスン(Anne Allison)
文化人類学者。デューク大学ロバート・O・コヘイン研究室教授。現代日本の日常生活における政治経済と想像的な無双世界との相互関係を研究。著書に、東京でホステスとして働いた経験をもとに、サラリーマンの夜の社交生活を考察した “Nightwork: Sexuality, Pleasure, and Corporate Masculinity in a Tokyo Hostess Club” (University of California Press, 2000) がある。上智大学で教鞭をとっていたことがあり、調査のために現在も頻繁に来日。現在は21世紀の日本と日本人の調査をもとに、不安定な状況に置かれている労働者の実態と社会不安が、未来にどのような希望(もしくは絶望)をもたらしているか、という問題に関する著書を執筆中。

評点(5点満点)

総合 (3.7)
革新性 (4.0)
明瞭性 (3.5)
応用性 (3.5)

本書の要点

  • 日本のポップカルチャーの特徴は、現実世界と異世界が複雑に絡み合い、さまざまなモノの形がいったん崩され、新たにハイブリッドなものとして組み立て直されている点にある。
  • 日本にとっても米国にとっても、ポケモンを...

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ジャンル
人文科学
著者
ページ数
403ページ
出版社
定価
2,484円
出版日
2010年08月30日
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新潮社 http://www.shinchosha.co.jp/book/506221/
菊とポケモン 3.7 石渡 翔 2016-08-05
菊とポケモン 2484

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