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10分でわかる「人的資本経営」

松尾美里
人事
人的資本経営
20221111

ニュースで耳にする機会が増えた「人的資本経営」という言葉。その意味をご存じでしょうか?

「人的資本経営って何? これまでの経営手法との違いは?」

「人的資本経営を進めるメリットは?」

「自社に人的資本経営を取り入れるには?」

この記事では、そうした疑問の解消に向けて、人的資本経営が重要視されている背景、人的資本開示の動き、人への投資手段としての越境学習などについて解説します。

要点1
人的資本経営が注目される背景には、人材・働き方の多様化、ESG投資の浸透がある。
要点2
人的資本開示は、企業価値と従業員エンゲージメントの向上につながる。
要点3
人材への投資手段として「越境学習」が注目を浴びている。
目次

1)人的資本経営とは? 従来の経営手法とどう違うの?

経済産業省の定義によると、人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

では、人的資本経営は従来の経営手法とどう違うのでしょうか。『経営戦略としての人的資本開示』(日本能率協会マネジメントセンター)によると、これまでの経営は人材を「資源」としてとらえてきました。ヒトという経営資源は損益計算書(PL)で人件費として管理されるため、人件費や教育研修費は経費として扱われ、業績が悪化するとコストコントロールの対象となります。

一方、人的資本経営では人材を「資本」とみなします。人材への報酬や教育研修費用はPL上の管理にくわえ、バランスシート(B/S)で「資本」として扱われるのです。

これからの経営者や人事責任者に求められるのは、3~5年スパンで、価値創造ができる人材や組織文化、組織内のナレッジを価値評価し、「無形資産」へと変換させることです。

2)なぜ、人的資本経営が重要視されるのか?

そもそもどのような背景から人的資本経営が重要視されているのでしょうか? 背景は次の3つです。

・人材・働き方の多様化

労働人口が減少するなかで、外国人労働者やシニア世代を登用するなど、企業のあり方に変化が生まれています。また、人生100年時代となり、働き方や仕事に対する価値観も多様化する一方です。働く個人の事情を汲んだうえで、個の力を最大限発揮させる人的資本経営がますます大切になってきます。

・持続的な社会づくりとESG投資の浸透

SDGsの流れを受けて、持続可能な社会づくりやESG投資に注目が集まっています。ESGとは、Environment (環境)、Social (社会)、Governance (ガバナンス) の頭文字をとったものです。人的資本は「社会」と「ガバナンス」に含まれ、人材にどれくらい投資しているかが、ステークホルダーにとって企業の成長性を評価するポイントとなっています。

・既存の人材に投資する効果の高まり

労働人口の減少に伴う人材不足により、求人倍率が上昇しています。自社に合った人材を新たに採用することが難しくなるため、今いる人材の成長への投資対効果が高まっていきます。こうした点も人的資本経営への注目につながっています。

3)加速する「人的資本開示」を促す動き

人的資本開示とは?

2018年12月に国際標準化機構(ISO)が「人的資本に関する情報開示のガイドライン(ISO30414)」を発表したことで、世界的に人的資本開示の動きが加速しました。ISOは「人的資本の情報開示」を、企業の人材戦略を定性的かつ定量的に社内外に向けて明らかにすることと定義しています。

日本でもその流れを受けて、2021年6月の「コーポレートガバナンス・コード改訂」では人的資本の開示が強調されました。2021年秋に岸田内閣が成立すると、「新しい資本主義」の経済政策として人的資本の開示が掲げられました。また、経済産業省が2022年5月に公表した「人材版伊藤レポート2.0」では、人的資本経営を真の意味で実現させていくには、「経営戦略と連動した人材戦略をどう実践するか」と、「情報をどう可視化し、投資家に伝えていくか」の両輪での取り組みが大切だと書かれています。

このような動きから、企業が人への投資の現状や姿勢を社内外に開示することが重要とされています。

企業が人的資本開示をするメリット

メリットは2つあります。1つ目は、投資対象として選ばれやすくなること。人的資本経営に注力する企業として、企業価値の向上につながります。

2つ目は、人材への投資が増えることで、従業員にとって「働きやすい企業」になること。従業員のエンゲージメントが向上し、生産性アップや退職防止が期待できます。

人的資本開示のメリットについてもっと知りたい方には、『経営戦略としての人的資本開示』(日本能率協会マネジメントセンター)がおすすめです。リーダーシップやダイバーシティ、エンゲージメント、タレントマネジメントなどにおける主要な数値指標とともに、HRテクノロジーの活用について実務者向けに解説されています。また、人的資本開示レポートについては、ドイツ銀行やスターバックスコーヒー、日立製作所など、国内外の事例を豊富に紹介しています。まさにガイドブックとして使える一冊です。

4)企業は人的資本経営にどう取り組んでいけばよいのか?

人的資本経営を進めるうえでは、経営戦略と連動させた人材戦略の策定が必要です。人材戦略を考えるうえでは、「人材版伊藤レポート」で紹介された、人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素が参考になります。

3つの視点

・経営戦略と人材戦略の連動

・As is-To beギャップの定量把握

・企業文化への定着

5つの共通要素

・動的な人材ポートフォリオ

・知・経験のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

・リスキル・学び直し

・従業員エンゲージメント

・時間や場所にとらわれない働き方

企業は、5つの共通要素や自社の経営戦略上重要な人材アジェンダについて、経営戦略とのつながりを意識しながら、具体的な戦略・アクション・KPIを考えることになります。同時に、人事・組織開発アクションのROI(投資利益率)を見極めることも重要です。できるだけデータに基づいて人事・組織領域の意思決定をおこない、PDCAを回すことが求められています。

人的資本経営の主要KPIとは?

ISO30414は11の人的資本領域において、合計58のメトリック(基準)が示されています。よく使われるのは、組織文化のメトリックである「従業員エンゲージメント」です。また、コロナ禍の影響で重要なKPIとなっているのが「ウェルビーイング」。心身の健康と幸福感を含む概念を意味します。最近ではコグニティブダイバーシティ(認知的ダイバーシティ)が注目されています。思考特性、スキル、経験など、個人の努力で変えられるダイバーシティのことです。コグニティブダイバーシティは企業のイノベーション力に強く関係するというエビデンスが増えてきています。

5)人材への投資手段としての「越境学習」

企業が人材への投資を増やそうとするなかで、スポットライトを浴びているのが「越境学習」です。『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(日本能率協会マネジメントセンター)によると、越境学習とは、ホームとアウェイを行き来することによる学びのこと。人材育成を目的とした越境学習では、新興国、ベンチャー企業、地方NPOなどをアウェイとし、そうした環境での出向や研修を推奨します。

人材育成の取り組みとして越境学習を導入している企業は、ここ数年で着実に増えてきています。越境学習者は、アウェイで違和感を覚え、葛藤を通して学びを得ていきます。そしてホームに戻ったあと、新たな視点をもとに物事を変える原動力となり、組織にイノベーションをもたらす存在となりえるのです。

越境学習における学びのプロセス、企業での導入方法、ケーススタディなどを体系的にまとめた一冊が、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』です。日本の人事部が主宰するHRアワード2022書籍部門最優秀賞を受賞したことでも話題になっています。

越境学習入門

6)人的資本時代のあるべきリーダーとは?

無形資産。とりわけ人的資本が企業価値の源泉となる時代において、リーダーには働く一人ひとりの力を最大限発揮させる力がますます必要とされています。『人的資本の活かしかた』(アスコム)によると、これからの組織は、個人の能力にフォーカスしつつ、チームとして結果を出すことをめざすことが必要となります。

成功のカギを握るのは、現場のリーダーであるTMO(チーム経営責任者:Team Management Officer)です。TMOに求められる7つの能力と、それを身につける方法は何か? 管理職層や人材育成に携わる方など、人的資本を最大化させるチーム運営の方法を知りたい方には、『人的資本の活かしかた』をおすすめします。

人的資本の活かしかた

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