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インタビュー
本が読みたくなる講演会から、地方限定の書籍まで!
本の祭典「東京国際ブックフェア」イベントレポート
人気著者による無料講演会など、本と出版に関する多種多様なイベントが行われる、日本最大の「本」の展示会、「東京国際ブックフェア」。
470社もの出展社が100万冊の本を一斉に展示、特別価格で販売するという出版業界あげての本の祭典で、本好きにはたまらないイベントです。
今年から「読書推進」というテーマを掲げ、大きく生まれ変わった東京国際ブックフェア。
2016年9月23~25日開催のうち、23日に参加したブックフェアのハイライトをお届けします。

本を買えるだけじゃない! 個性豊かな470社のブースがズラリ





まず訪れたのは、多種多様なジャンルの出展社470社のブース展示。本の紹介や販売だけでなく、著者の執筆裏話を生で聞けたり、実際に本の装丁を体験できたりするなど、本の魅力を「体験」できるワークショップやミニイベントがあちらこちらで開かれていました。各出版社ブースで売られている本は特別価格で買うことができます。通常、本は値引きで販売されることはありませんが、出展者の理解、協力のもと、通常よりリーズナブルな価格で販売されているのです。出版社の方にお薦めの作品について気軽に質問しできるのも、東京ブックフェアならでは。
3日間の総来場者数は40,564名ということで、会場は出展者、参加者の熱気に満ちていました。





知育ゲームや学習書などを集めた「こどもの学びフェア」もあれば、フィンランドやマレーシア、中国など世界の絵本がズラリと並ぶブースもあり、大人だけでなく子どもも楽しめるんですね!



親子連れも楽しめる仕掛けがいっぱい
親子連れも楽しめる仕掛けがいっぱい


フィンランドが生んだお馴染みムーミンがお出迎え
フィンランドが生んだお馴染みムーミンがお出迎え


東京では買えない? 地域限定の本が並ぶ「郷土出版パビリオン」


続いてやってきたのは、今年初の試みとなる「郷土出版パビリオン」。地方でしか見ることのできない地元出版社の本や、 その地方・地域ならではの興味深い本と出合える場でした。



全国津々浦々、「地方でしか買えない本」も立ち並ぶ。
全国津々浦々、「地方でしか買えない本」も立ち並ぶ。


地方でしか買えない本ってそんなにあるの?と思われるかもしれませんが、京都のしにせに語り継がれる言葉を集めたエッセイ『あんなぁ よおぅききや』や豊橋の妖怪たちの『豊橋妖怪百物語』など、ふだん東京では買えないような多彩なコンテンツが勢ぞろい。数十メートルにわたって各地の出版社ごとに本が展示されていました。
地方でしか買えない本の表紙ってどこか独特で、思わず引き寄せられてしまうよう。地方に出張や旅行に行った際は、現地でしか手に入らない本をお土産にするっていうのもいいかもしれません。



豊橋妖怪たちの息づかいが伝わってくるような「百物語」
豊橋妖怪たちの息づかいが伝わってくるような「百物語」


京都の珠玉の言葉集『あんなぁ よおぅききや』
京都の珠玉の言葉集『あんなぁ よおぅききや』


電子書籍、どうしたら読まれるの? ぶっちゃけ座談会


次に訪れたのが「電子書籍、どうしたら読まれるの? ぶっちゃけ座談会」。

登壇者は、株式会社ブックウォーカー 代表取締役社長の安本洋一さん、株式会社新潮社開発部部長の柴田静也さん、スマートニュース株式会社メディア事業開発の漆原正貴さん、そしてモデレーターは株式会社インプレスホールディングス取締役の北川雅洋さん、というなんとも豪華な顔ぶれ。
紙の書籍・電子書籍に精通した4名が、自社の戦略とともに、電子書籍と紙の書籍の読まれ方の違いや、それぞれがどんな立ち位置になっていくのかというテーマで熱く語ってくださいました。出版業界だけでなく、他の業界に携わる方にも参考になるヒントが満載でしたよ。



電子書籍の現状と今後について本音が飛び交う
電子書籍の現状と今後について本音が飛び交う


内田樹さんによる特別講演「だからいま、本を読む」


お次は、神戸女学院大学 名誉教授を務める内田樹さんによる特別講演、「だからいま、本を読む」へ。内田さんは『日本辺境論』(新潮社)など、多数のベストセラーを生み出している思想家です。特別講演は、1000人を収容する会場がすぐさま満席になるほどの盛況ぶりでした。



内田さんの講演会場はあっという間に満席に。
内田さんの講演会場はあっという間に満席に。


とても穏やかな口調で話し始めた内田さん。ですが、発言は口調とは反対に超辛口です。実用書の出版社も多く出展しているのに「実用書をいくら読んでも、真の読書とはいえない」と、初っ端からヒヤヒヤさせられる発言を連発。

それでは、真の読書とは何なのか。内田さんの推奨する読書は、「本を読む前に、その本から何を得られるかまったくわからない本を読むこと」だといいます。そういう本を読むことで「読み進めるうちに思わぬ発見があったり、いつの間にか価値観が変わっていたりする。その瞬間に感じる興奮やワクワク感が、成長の引き金となる」。
逆に、読む前に結果がわかっているような本しか読まないようだと、その枠組みに縛られてしまい、想定外の学びをスルーしてしまうわけですね。

厳しい内田節はさらに続きます。「今の日本人は、知性の発動の機会が限りなく減っています。トップダウンで画一的な価値観に縛ろうという動きが、日本のあらゆる組織に広まってしまっているからです。組織のトップがこういう考えだと、『既存の価値観に穴をうがって、見たこともない世界の風が吹き込んでくる爽やかさ』への憧れみたいなものが抑圧されかねない。このままでは、確実に日本は沈んでしまう」。「自分とは異なる時代や国、宗教、年齢、性を生きる人から見た世界を、生々しく体験していくことで、知性の発動の機会が増えていく。読書は、その一歩になってくれるはず」。

「だからいま、本を読む」という講演会のタイトル通りの内田さんの締めくくりに、会場は大きな拍手で包まれました。
不確実性の高い現代を生きるビジネスパーソンにこそ、「知性の発動」が必要なのかもしれません。そのためには「手持ちの価値観が通用しない本」との出合いを大事にしたい。そう強く思わせてくれる濃密な講演を聞き、会場を後にしました。

このように、見どころ満載で、読書意欲がグイグイ刺激される東京国際ブックフェア。本好きならきっと、3日間ずっと居たとしても楽しめるに違いありません!
早くも来年の開催が楽しみになりました。


文責:

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