要約の達人が選ぶ、5月のイチオシ!

「今月の編集部イチオシ」5月号でございます。

いつもそうですが、大変頭を悩ませながら選書させていただきました。ご一読いただければ幸いです。

ちなみに今月の特集として、「気軽に読めて、しかもモチベーションが湧いてくる本」という記事も公開しております。なかなかモチベーションが上がらない……というとき、さっくりとでも目を通していただければ。

いずれにせよ、気になる書籍がありましたら、まずは要約から。

今後もよろしくお願いいたします!

石渡翔
編集部石渡翔のイチオシ詳細
僕たちはファッションの力で世界を変える
僕たちはファッションの力で世界を変える
著者
井上聡 井上清史 石井俊昭(取材・執筆)
出版社
PHP研究所

“Style can’t be mass-produced…(スタイルは大量生産できない)”
このコンセプトに本書の、そして「ザ・イノウエ・ブラザーズ」のすべてが詰まっています。

「ザ・イノウエ・ブラザーズ」とは、デンマーク育ちの日系人、井上聡・清史兄弟が立ち上げたファッションブランド。利益追求や事業拡大を主眼におかず、貧困や環境問題を引き起こしてきたこれまでのやり方に異を唱え、社会貢献としてのファッションを追求しつづけています。
とはいえ2人は、ヒステリックにその主張を訴えたりはしません。あくまでも魅力的な商品をつくることで、静かに"革命”を推し進めようとします。その姿勢は、まさに現代の革命家像と合致しているのではないでしょうか。

とくに本書で登場する"ニュー・ラグジュアリー”という概念に、僕は感銘を受けました。「つくる人も、売る人も、それを着る人も、みんなが幸せな気持ちになれるのが、本当の意味でのラグジュアリーだ」、と。

ソーシャルデザインとしてのファッションはどうあるべきなのか、そのひとつのあり方を提示する一冊です。とにかく最初から最後まで、味わうように読み通していただければ!

松尾美里
編集部松尾美里のイチオシ詳細
ティール組織
ティール組織
著者
フレデリック・ラルー 鈴木立哉(訳) 嘉村賢州(解説)
出版社
英治出版

人々の可能性をもっと引き出す組織とはどんな組織なのか。どうすればそれが実現できるのか。この問いに向き合うとしたら、『ティール組織』(英治出版)はマストリードだと思う。
これまでフライヤーでは、「個人の知性や意識の発達」をテーマとした『なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学』(要約公開中)(日本能率協会マネジメントセンター)や、意識の発達とリーダーシップ発揮との関連についてふれた『4D Leadership』(要約公開中)(Kogan Page)を紹介してきた。
個人の意識が発達を続けるのなら、その集合体である組織も段階を追って発達していくという、『ティール組織』のコンセプトには興味をかきたてられた。
本書では、パイオニア組織の多様な事例とともに、組織構造や慣例、文化に関する骨太の理論が展開されている。600ページ近くの大著だが、ページをめくる間も惜しいくらい夢中で読み進めてしまった。

本書の内容を日々に活かすには、色々な方法が考えられる。おすすめは、読んだ感想や気づきを、自分の所属する組織のメンバーと話すこと。本書を介することで、具体的な切り口が思い浮かぶし、いつもよりオープンになれる。「自分の存在目的と組織の存在目的の重なり度合いをいかに大きく、より意義あるものにするのか」。色んな発想が湧いてくるし、メンバーから大事なアドバイスをもらえるのではないだろうか。

少なくとも私は本書のおかげで、対話のきっかけをもらったし、会社としてもサービスとしてもフライヤーのことが今まで以上に好きになった。そして、まだまだ小さな一歩だけれども、「周囲の方、お客様にサービスを好きになってもらうには?」と考える機会が増えたように思う。

『ティール組織』解説者、嘉村賢州さんのインタビュー記事もあわせてお読みいただきたい。自分と組織のよりよい関係性や、めざしたい方向性について振り返る際に、嘉村さんのメッセージは前向きな力と大事な視点を与えてくれることだろう。

井手琢人
プロモーションマネージャー井手琢人のイチオシ詳細
外国人が熱狂するクールな田舎の作り方
外国人が熱狂するクールな田舎の作り方
著者
山田拓
出版社
新潮社

昨年、飛騨高山に初めて訪れた。都内から車で5時間以上、決してアクセスのいい場所ではないが、多くの観光客で賑わう。特に外国人観光客が非常に多く、インバウンドにも成功しているのは街を歩いているだけで分かった。

飛騨高山の街を回ったあと、知人が車で隣町の飛騨古川に連れて行ってくれた。「高山もいいけど、古川の街並みは最高だよ」 そう言われて到着すると、目の前には時の止まった風景が広がっていた。石造りの瀬戸川、白壁土蔵街は飛騨古川の象徴的な景色。川にはたくさんの鯉が泳いでいる。宿や商店が広がる通りには、飛騨の匠の技が光り、見事な景観だ。決して観光用に作られたものではないが、そのどれもが素晴らしいのだ。

本書の著者はこの飛騨古川でツアー事業を手掛ける人物。「地方創生」は大きなテーマだが、街をこねくり回して無理矢理観光地化している場所が多いのも事実。飛騨古川に実際に訪れ、感動をいただいた後に本書に辿り着いたので、よりその本質が見えてきた。地元の人にとっては見慣れた風景であっても、観光客にとってはそれは非日常。単純に街を観光地化するのではなく、原風景は大切なものとして残していってほしいと強く思った。

庄子結
編集部庄子結のイチオシ詳細
全米は、泣かない。
全米は、泣かない。
著者
五明拓弥
出版社
あさ出版

編集職に就いて、まだ3年ほど。
書籍の編集者だったときは、校閲さんからの赤字に驚かされる日々でした。
ナチュラルに読み飛ばしていた一言一句に、ビシバシと指摘が入るからです。
「言葉」を仕事にする者として、なんともいえない無力感にさいなまれたものです。

もっと驚かされたのは、先輩編集者からの赤字でした。
私が提出したタイトル案に対して、「なんだか、おさまりが悪くない?」などというコメントとともに修正がなされるのです。
「おさまりが悪い」と言われればそんな気もするのですが、いったい何年修行すればそんなセンスが身に付くのだろうと途方に暮れたことを覚えています。

卑近な例で恐縮です。
それでもやっぱり、プロの指摘というのは多くの気づきを与えてくれるものですよね。

そんな気づきが満載なのが、『全米は、泣かない。』です。
著者がトップクリエイターに、「刺さる言葉のつくり方」をインタビューする一冊です。
インタビューそのものも“目からウロコ”の連続なのですが、注目すべきは「課題」。
クリエイターの皆さんから著者に「課題」が出され、著者が提出した作品に対する手書きの「添削」が掲載されています。

トップクリエイターの赤字を読んでその思考回路をなぞってみるもよし、自分のセンスのなさに愕然とするもよし、です。

大賀康史
CEO大賀康史のイチオシ詳細
スタートアップ・ウェイ
スタートアップ・ウェイ
著者
エリック・リース 井口耕二(訳)
出版社
日経BP社

過去、日本は個々人の能力で勝負するのは弱いが、集団になると力を発揮すると言われていた。しかし、近年の日本はもはやそうではない。大組織であればあるほど、過去の成功体験やしがらみに縛られ、他国よりもイノベーションがはるかに遅れているようだ。

そのような現状を打破する起爆剤になるのが、本書『スタートアップ・ウェイ』だ。エリック・リース氏の『リーン・スタートアップ』の概念は主にITスタートアップにおいて世界的なムーブメントを起こした。さらに本書をきっかけに大企業、公的機関、NPOなどのあらゆる組織規模・組織形態に応用範囲が広がっていく期待感がある。

国内の生産年齢人口の減少に伴い、多くの業界において成り行きにまかせた未来には市場衰退が待ち受けている。今ほどイノベーションが求められている時代はないし、このような本を待っていた人は多いはずだ。まだ間に合うかもしれない。スタートアップ・ウェイが浸透し、非連続的な変革の推進力になっていくのであれば、日本の未来にも希望がある。

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文責:石渡 翔 (2018/05/31)
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