道具としてのファイナンス

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道具としてのファイナンス
ジャンル
著者
石野雄一
出版社
日本実業出版社
定価
2,592円
出版日
2005年08月24日
評点(5点満点)
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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レビュー

ファイナンスと聞くと、難しい数式の羅列が思い浮かぶため、避けて通ってきている方が多いのではないだろうか。しかし、案ずることはない。ファイナンスは理論が体系的に整理されているので、一度しっかりと向かい合うことができれば誰にでもすっきり理解することが可能な分野である。一方で、ファイナンスを扱う書籍は、理論を中心に扱うがゆえに、実践に活かしにくいという印象があるかもしれない。

本書はそのような方にこそ読んでほしい一冊だ。必要最低限の数式とともにファイナンスの理論が詳しく解説され、実践に使えるEXCELの関数も紹介されている、ファイナンスの実践書である。本書の著者はバブル崩壊後の貸し渋りが横行していた時代に、銀行マンとして働いていた。その後、MBAを取得、日産自動車に転職し財務部に所属、成果が認められ日産賞を受賞した。今までファイナンス関連の本に投資した金額はなんと70万円という著者だけあり、その解説はとても分かりやすい。理論の概念や必要性を学んだあとにEXCELにて実際の数値を用いて実践することにより、更に理解が深まるという仕組みになっている。

本書で紹介しているEXCELの関数やファイルは、著者のホームページにアクセスすれば無料で入手できるので、実際にパソコンの横に本書を置いて勉強することも有効だろう。企業の財務部門や企画部門に所属していて、ファイナンスを活用しなければならない方こそ、本書を手に取って、具体的なプロジェクトの評価等に応用していただきたいと願う。

渡辺 智美

著者

石野雄一(いしの・ゆういち)
1968年生まれ、91年上智大学理工学部卒業後、東京三菱銀行に入行。2000年、10年間勤務した同行を退職後、乳飲み子抱えて一家で渡米。2002年インディアナ大学ケリー・スクール・オブ・ビジネス(MBA課程)修了。帰国後、日産自動車(財務部)入社。キャッシュマネジメント、リスクマネジメント業務を担当。入社2年目にして「サプライヤー信用リスクモデルの開発」で日産賞を受賞。2005年3月、日産自動車を退職後、独立系財務戦略コンサルタントとして活動。2007年2月より戦略系コンサルティング会社ブーズ・アンド・カンパニー(旧ブーズ・アレン・ハミルトン)にて企業戦略立案、実行支援等に携わる。2009年7月、コンサルティング会社である株式会社オントラックを設立し現在に至る。著書に『ざっくり分かるファイナンス』(光文社新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ファイナンスにおいて、お金の時間価値を理解することは大切である。お金の時間価値は、端的に言えば、明日のお金より今のお金の方が価値が高い、ということになる。
  • 要点
    2
    ある投資案件に関して、将来のキャッシュフローの現在価値から初期投資額を引くことで、NPV(正味現在価値)を算出する。NPVがプラスであれば投資の妥当性があると判断できる。
  • 要点
    3
    財務レバレッジを上げることにより、ROEは増加する一方で、財務破たんのリスクを高める。企業は節税効果と財務破たんのリスクのバランスを上手にとりながら企業価値を最大にするための資本構成を考える必要がある。

要約

投資する際に必要な理論 ~将来価値の考え方~

将来価値と現在価値

財務上の意思決定の多くにはお金がかかわってくる。ファイナンスにおいて、そのお金をいつ受け取るかによってお金の価値が異なってくるという考え方は重要である。なぜならお金の時間価値を理解することは、株式や資産の評価だけでなく企業価値を計算する際に必要だからである。お金の時間価値を端的に言えば、明日のお金より今のお金の方が価値が高い、ということになる。

将来価値は利子率と関係があり、現在のお金の価値(お金の現在価値)に利子率を用いて複利計算することで将来価値を導くことができる。また、将来価値の数字と将来価値になるまでの年数と割引率が分かれば、逆算してお金の現在価値を求めることができる。利子率が高ければ高いほど、将来価値が高くなることもお金の価値の考え方において重要である。

投資判断の方法
boophuket/iStock/Thinkstock

企業は投資をすることで企業価値を高められる。そのため、正しい投資判断をできるか否かが企業の将来を決める。本書では正味現在価値を用いた投資判断方法について紹介している。

具体的には次のステップとなる。

① あるプロジェクトが投資することによって将来得られるキャッシュフロー予測を行う。

② そのキャッシュフローに割引率を勘案し、現在価値の合計をもとめる。

③ この現在価値の合計から初期投資を差し引いた金額がプラスであれば実行すべきプロジェクトとなる。

上記で算出する指標をNPV(正味現在価値)と呼び、NPVがプラスであれば投資の妥当性があると判断できる。

計算の際、割引率の設定が必要だが、プロジェクトのリスクが高い場合は高く、リスクが低い場合には低く設定する必要がある。このように初期投資額とキャッシュフローと割引率が分かれば、プロジェクトの意思決定を行えることを覚えておくと良いだろう。

証券投資に関する理論

証券投資に必要な統計知識
Hemera Technologies/AbleStock.com/Thinkstock

一般的に銀行などの定期預金よりも株式投資のほうが「リスクが高い」と言われている。株価が上下に激しく変動することが「リスクが高い」ということではなく、激しく変動する株価を予想できないという「不確実性」の高さを「リスクが高い」というのである。

リスクは、株価のリターンのばらつきが大きいと高く、小さいと低いと評価する。リターンのばらつきを表す指標として標準偏差と分散という考え方がある。標準偏差とは平均からのばらつきを示す指標であり、標準偏差を2乗したものが分散となる。

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道具としてのファイナンス
未 読
道具としてのファイナンス
ジャンル
経営戦略 マーケティング ファイナンス
著者
石野雄一
出版社
日本実業出版社
定価
2,592円
出版日
2005年08月24日
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