財務上の意思決定の多くにはお金がかかわってくる。ファイナンスにおいて、そのお金をいつ受け取るかによってお金の価値が異なってくるという考え方は重要である。なぜならお金の時間価値を理解することは、株式や資産の評価だけでなく企業価値を計算する際に必要だからである。お金の時間価値を端的に言えば、明日のお金より今のお金の方が価値が高い、ということになる。
将来価値は利子率と関係があり、現在のお金の価値(お金の現在価値)に利子率を用いて複利計算することで将来価値を導くことができる。また、将来価値の数字と将来価値になるまでの年数と割引率が分かれば、逆算してお金の現在価値を求めることができる。利子率が高ければ高いほど、将来価値が高くなることもお金の価値の考え方において重要である。
企業は投資をすることで企業価値を高められる。そのため、正しい投資判断をできるか否かが企業の将来を決める。本書では正味現在価値を用いた投資判断方法について紹介している。
具体的には次のステップとなる。
①あるプロジェクトが投資することによって将来得られるキャッシュフロー予測を行う。
②そのキャッシュフローに割引率を勘案し、現在価値の合計をもとめる。
③この現在価値の合計から初期投資を差し引いた金額がプラスであれば実行すべきプロジェクトとなる。
上記で算出する指標をNPV(正味現在価値)と呼び、NPVがプラスであれば投資の妥当性があると判断できる。
計算の際、割引率の設定が必要だが、プロジェクトのリスクが高い場合は高く、リスクが低い場合には低く設定する必要がある。このように初期投資額とキャッシュフローと割引率が分かれば、プロジェクトの意思決定を行えることを覚えておくと良いだろう。
一般的に銀行などの定期預金よりも株式投資のほうが「リスクが高い」と言われている。株価が上下に激しく変動することが「リスクが高い」ということではなく、激しく変動する株価を予想できないという「不確実性」の高さを「リスクが高い」というのである。
リスクは、株価のリターンのばらつきが大きいと高く、小さいと低いと評価する。リターンのばらつきを表す指標として標準偏差と分散という考え方がある。標準偏差とは平均からのばらつきを示す指標であり、標準偏差を2乗したものが分散となる。
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