RAISING THE FLOOR
How a Universal Basic Income Can Renew Our Economy and Rebuild the American Dream

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Andy Stern Lee Kravitz
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出版日
2016年06月14日
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How a Universal Basic Income Can Renew Our Economy and Rebuild the American Dream
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Andy Stern Lee Kravitz
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2016年06月14日
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レビュー

ビッグ・データ、ロボット、人工知能。未曽有のスピードで発展するテクノロジーは、私たちの生活に大きく貢献してきた。しかし、黙認できない負の影響を生み出したことも事実だ。テクノロジーの進化に伴い、雇用機会が先細りすると予測される中、労働者たちの社会的セーフティーネットをどのように構築すべきか。

この重大な課題の一つの解決策として、政府が国民の生活を最低限保障するために、無条件で一定の金額を支給するというユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の是非が討議されるようになってきた。2016年、オランダのユトレヒト市で、UBIの試験的な導入が開始された一方、スイスでは、国民投票により導入が否決された。2017年に入り、フィンランドでは、2000人の失業者を対象に、UBIの実効性を試験する取り組みが始まった。

本書の著者は、米国で最も影響力があるといわれる労働組合のトップとして、多数の労働者に寄り添い、彼らの声を代弁してきた。労働者の暗澹たる未来を憂慮した著者は、労働者が安心して暮らせる社会像を探し求めて、インテル前会長兼CEO、 バークレイズ銀行投資部門のマネジング・ディレクター、労働団体のリーダー、歴史学者や経済学者ら、多種多様な人々にインタビューを重ねた。21世紀の問題には、21世紀の解決法があるという著者が行き着いた答えは、UBIの導入であった。

本書の内容は、米国だけの問題として一蹴できない重みがある。平和で民主的な社会を築くために、今、何が必要なのかを真剣に考える機会を本書は与えてくれるにちがいない。

佐藤 瑞恵

著者

アンディ・スターン
米国を本拠とするサービス従業員国際労働組合(略称SEIU、組合員総数22,000人)前会長。コロンビア大学リチャード・ポール・リッチマンセンター上席研究員。SEIUでの職務を通して、2008年のバラク・オバマ政権誕生、また、2010年の医療保険制度改革法案成立への貢献に対し高い評価を得る。財政責任改革委員会(シンプソン・ボウルズ)において、オバマ大統領より指名された5名の委員の中の1人。
フォーチュン誌およびワシントニアン・マガジンで「トップ・パワープレーヤー」として選出された他、60 Minutes、ビジネス・ウィーク、ニューヨーク・タイムズ・マガジン等の各種メディアに登場。

リー・クラヴィッツ
作家、編集者。著書にUnfinished Business: One Man's Extraordinary Year of Trying to Do the Right Things(邦訳:『僕は人生の宿題を果たす旅に出た―― 失った人間関係を取り戻す10のストーリー』、ダイヤモンド社)、Pilgrim: Risking the Life I have to Find the Faith I Seekがある。Parade magazine元編集長。

本書の要点

  • 要点
    1
    テクノロジーの進歩に連動して、雇用機会が減少し、労働形態が変化している。失業者や低所得者が大量に生じると予測される中、国民に最低限の生活を保障するUBIは、セーフティーネットとしての有効性が高い。
  • 要点
    2
    UBIによって、経済的自由を持ち、自らの生き方を自由に選択できることこそが、次世代の米国民のアメリカン・ドリームであるといえるのではないか。

要約

未来の労働市場とアメリカン・ドリーム

労働者の未来を模索する旅
lukbar/iStock/Thinkstock

2010年、著者は、米国で最も影響力があるといわれる労働組合である、サービス従業員国際労働組合(SEIU)の会長職から退いた。その大きな理由は、組合の未来も、労働者たちの向かっていくべき未来も、自分自身で描けなくなってきたと感じたからだ。

まじめに働けば、安定した良き人生を手に入れることができるという「アメリカン・ドリーム」は、今や崩れつつある。米国では、雇用創出をともなわない景気回復が指摘されており、富はより少数の人間に集中する傾向にある。中流階級はいくつもの仕事をかけもちしなければ家計が成り立たなくなり、子どもたちも多額の奨学金という借金を背負って大学を出る。

「労働組合は、21世紀の経済を形成する上で、もはや限られた役割しか果たさない」と、長年にわたり、多くの労働者の声を代弁してきた著者は感じた。労働組合がなかなか新しい考え方を受け入れないことだけが、その原因ではない。オートメーション化による人員削減や正規雇用者数の減少など、労働者を取り巻く環境が様変わりし、団体交渉の意義が薄れてきているのだ。

次世代のビジョンとなる「アメリカン・ドリーム」とは何なのか。また、経済的な二極化が進む米国において、すべての人が「アメリカン・ドリーム」を持てるようにするには、どのように社会は築かれてゆくべきなのか。著者は、その答えを模索するべく、さまざまな人を訪ね歩くことにした。

米国社会の大きな変化

不安に満ちた合衆国

インテル前会長兼CEOのアンディ・グローブは、2010年に、「米国は、長期的な雇用創出が計画されなければ、少数の高付加価値の仕事をこなす少人数の高額所得者と、失業者の大集団で構成される、不安定な社会となる。自由市場がすべての経済システムで最良だという考えには限界がある」という内容をビジネス・ウィーク誌に寄稿した。

1959年~1973年は、貧困生活者の割合が、23%から11%に減少し、低所得者であっても、中流階級へと社会的地位を向上できる期待感があった。しかし、2014年には、三分の二近くの家庭の収入は2002年より下回り、上位10%の所得者が米国総所得の46%を占める状態だ。

政治家や評論家は、株式市場や企業の収支から判断して、経済は基本的に健全であると主張する。だが、この主張に、国民は納得していない。著者が知る多くの人達が将来を心配しているが、無理もない。

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