The One Device
The Secret History of the iPhone

未 読
The One Device
ジャンル
著者
Brian Merchant
出版社
出版日
2017年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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The One Device
The One Device
The Secret History of the iPhone
著者
Brian Merchant
未 読
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ジャンル
出版社
定価
0円 (税抜)
出版日
2017年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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レビュー

世界を変えたといっても過言ではないiPhoneだが、「誰がiPhoneを発明したか」と問われると、ほとんどの人はスティーブ・ジョブズと答えるだろう。たしかに機能をブラッシュアップし、iPhoneを宣伝するのにジョブズは貢献した。だがデバイスそのものは、過酷な締め切りや戒厳令のなか、多くの人々が(ときには反目しつつ)協力しあったからこそ創り出されたものだ。本書はiPhone開発の歴史に埋もれていた人たちに焦点を当てることで、プロジェクト運営やマネジメントにおける教訓を私たちに与えてくれる。

また著者はアップルの大ファンではあるものの、iPhoneの制作過程における“闇”に切りこむことも厭わない。iPhoneを作るために必要なリソース、組み立てるための人的コスト、廃棄物やプライバシーに関する問題についても、本書では言及されている。

いまや数億もの人が、ポケットサイズのスーパーコンピュータを持ち歩く時代だ。その一方で、どうやってこのような技術的革新が起きたのか、それが生活にどう影響をもたらすのか、そのような変化にともなってどのようなコストが生まれるのか、わたしたちは忘れてしまいがちである。本書はこうした問題を深掘りしつつ、バランスのとれた立場から論じている。この“技術の勝利”がどのような問題をはらんでいるのかを考えるうえで、非常にすぐれた一冊だといえよう。

クリス・モリソン

著者

ブライアン・マーチャント (Brian Merchant)
『VICE』の科学技術部門である『マザーボード』のシニアエディターであり、オンラインフィクション部門の『テラフォーム』の創業者/編集者。『ガーディアン』『スレート』『VICEマガジン』『サロン』『ファスト・カンパニー』『ディスカバリー』『GOOD』『ペースト』『グリスト』などにも寄稿。

本書の要点

  • 要点
    1
    iPhoneは1人の手によって生まれたものではなく、多くの人がそれぞれの目標を追求した結果生まれたものだ。
  • 要点
    2
    スティーブ・ジョブズの批判的な性格や近視眼的な見解が、iPhone開発の遅延を招いた。この事例はリーダーという立場にいる人たちにとって、大きな教訓となるだろう。
  • 要点
    3
    iPhoneなどのデバイスの需要にともなって生じる環境コストや人的コストは、とうてい無視できるものではない。「ワン・デバイス」がどのような倫理的およびイデオロギー的な意味合いを帯びているのか、いま一度よく考える必要がある。

要約

【必読ポイント!】 技術の収斂:どのようにiPhoneが生まれたのか

ENRIというチーム
demaerre/iStock/Thinkstock

アップルにはiPhoneが考案される以前から、ユーザーインターフェースのデザインに関するラボがあった。そこは「新しくてリッチなインタラクションの探求(exploring new rich interactions: ENRI)」に特化していた。

ENRIチームの目的は、人間がコンピュータを扱う方法について根本的に考えなおすことだ。若きデザイナーやエンジニアたちは、デジタルなものを操作するうえでなにか新しい方法がないかを考え、テーブルサイズのMacやプロジェクター、タッチパッド、紙とのハイブリッドなど、利用できるものはなんでも利用した。それは徐々にマルチタッチのフィンガージェスチャーなど、新しくて生き生きとした操作方法としてシステムに落としこまれていく。現在ではズームや回転、スクロールの際に2本の指を使うことはほとんど当たり前のようになっているが、当時はほとんどのスクリーンで不可能な操作であり、先進的なアイデアであった。

こうしてできたプロトタイプをスティーブ・ジョブズに見せたところ、最初は受け入れられなかったものの、最終的にジョブズもその骨子となるアイデアを絶賛するようになる。こうしてENRIチームは規模を拡大することになる。

プロトタイプを組み立てる

最優先課題は、デバイスを使えるサイズに落としこむことだった。そのためにQ79と呼ばれるハードウェアチームが、タブレットサイズのタッチスクリーンを作るべく組織された。またハウジングをデザインするチームが組まれたり、カスタムチップのデザインをするチームが結成されたりもした。だがこうしたプロジェクトは秘密裏に動いていたため、社内には混乱が広がった。

一方でENRIチームは、楽しめるデザインと意味のあるUIアクションを開発しつづけた。彼らにいたっては、自分たちがなにを作ろうとしているのかもよくわかっていなかった。だから電話を作ることに決まった2004年、ほとんどのメンバーは落胆したという。電話が革新的なデバイスになるとは、とても思えなかったからだ。だが後に、この高度でさまざまな技術を組みこんだ小型のデバイスの作成が、大規模な事業になることが判明する。

電話を作る
demaerre/iStock/Thinkstock

いまでは当たり前のものになった、アプリを選択する際のダッシュボード。しかし開発当時は、アイデアもアプリ自体もまだ道半ばの状態にあった。2週間に渡る不眠不休の開発により、UIチームはアプリをうまく結びつけ、電話を使うという体験を特別なものに変えた。そこにはなによりも物語があった。ジョブズもこうしたアプローチを気に入り、後に有名となるプレゼンテーションでも、物語性を強調したスピーチをしている。

すると今度はiPodでの成功体験にとらわれていたことが障害となった。主に持ち上がった議題はこうである。「既存のiPodのハードウェアをベースに設計するべきか、それともMacのタッチタブレットを電話にも対応させるようにするべきか」。iPodのようにすると、クリックホイールのためタイピングに難があったし、Macのようにすると、今度は不調が多くなるうえに遅くなってしまう。

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