世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ

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世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2018年07月12日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

2014年9月、ミネルバ大学は開校した。この大学にはキャンパスや目立った実績もなく、2018年時点では卒業生もいない。授業はすべてオンラインでおこなわれる。こんな大学に進学したい学生がいるのだろうか?

だがミネルバ大学の受験者数は開校後たった4年で2万人を超え、合格率はわずか1.9パーセントだ。なかには世界の名門大学の合格を辞退してまで入学する者もいるという。これだけでもミネルバ大学に興味津々になってくる。

ミネルバ大学の創立者であるベン・ネルソン氏は、教育界とは別の業界で成功を収めたのち、20年以上の構想を経てミネルバ大学を開校した。「高等教育の再創造」をめざす彼の斬新すぎるアイデアは、開校前は失敗に終わるだろうと言われていた。しかし彼のプロジェクトの根底には、「学生の学びを軸にした教育」がある。これは一見当たり前のように思えるが、既存の大学ではなかなか徹底できていないのが実状だ。適正な価格で、社会に出ても使える知恵を教える――このシンプルながら実現困難なことを、ベン・ネルソン氏は体現している。

ミネルバ大学はいま、世界で大きなうねりを生み出している。たとえ自分が行っていなくても、「こんな学びの場があるんだって」と思わず誰かに話したくなる、そんな学びの場がここにある。これからの教育を考えるうえで、ミネルバ大学について学ぶことは、なかば「必修科目」と言えそうだ。

著者

山本秀樹 (やまもと ひでき)
1997年慶應義塾大学経済学部卒、2008年ケンブリッジ大学経営管理学修士(MBA)。
大学卒業後、東レに入社。高機能繊維の新規用途開発を担当し、幅広い産業における新製品開発に関わる。ブーズ・アンド・カンパニー(現PwC Strategy&)では、主に素材メーカーの事業再生、成長戦略、M&A戦略、新規事業開発支援に携わり、その後、住友スリーエム(現3Mジャパン)にて2つの事業部でマーケティング部長を経験。
ケンブリッジ大学に留学後、同大学のカレッジ制度や少数、グループワーク重視の学習環境・スタイルに深く感銘を受け、以後、日本でも同様な教育を提供できないか業務と並行して模索。2014年に独立し、間もなくMinerva Schools at KGIの存在を知り、コンタクトしたことがきっかけで、日本連絡事務所代表を務めることになった。
2017年、ミネルバ大学で得た「教育の再創造」というミッションをより多くの人に届けるために、日本連絡事務所代表を辞し、「Dream Project School」を立ち上げた。

本書の要点

  • 要点
    1
    ミネルバ大学は既存の大学の悪習を打破し、学生の学びを一番に考え、「高等教育の再創造」をめざす。
  • 要点
    2
    ミネルバ大学には講義形式の授業はない。そのかわりに学生主体のセミナー式授業でインプットを、学外団体と連携してアウトプットをするというカリキュラムを提供している。
  • 要点
    3
    実社会で応用できる「実践的な知恵」をミネルバ大学では教えている。そしてそれを“流暢に”使えるようになるまで鍛えるのだ。

要約

【必読ポイント!】 何を教えているのか

一生使える知恵を

ミネルバ大学で教えるのは、社会に出たときに応用して使える「実践的な知恵」だ。逆に既存の大学に多い、知識を伝えるためだけの講義はない。あくまで目的は「社会のあらゆる専門分野にも活用でき、キャリア育成においても有効な汎用的技能」を学ぶことなのである。

とくに力を入れているのが、入手した情報を解釈して課題解決に向けて応用する技能と、自分の考えを効果的に伝えて望ましい結果を導くコミュニケーション能力の養成だ。この方針に従い、ミネルバ大学では「実践的な知恵」を、「個人の思考技能」と「集団でのコミュニケーション技能」の2種類に分類して教えている。

個人の思考技能
triloks/gettyimages

個人の思考技能は、「クリティカル思考」と「クリエイティブ思考」に分けられる。

「クリティカル思考」とは、相手の主張の評価や意味の理解に加え、意思伝達における判断能力を指す。ここで必要なのは、データ解釈を正確におこない、自分の答えを導き出す力だ。さらにその答えを相手に伝えることでかかる労力とリターンが適切かどうか、予想外の反応があった場合はどうするか、といったところまで深掘りすることが求められる。

「クリエイティブ思考」とは、突然アイデアが閃くというようなものではなく、「体系化され、教えることのできる一連のロジカルな思考プロセス」のことである。クリエイティブな発想をするために必要なのが、直面している問題を解決するために適した問いを自ら設定することだ。そしてその問いと現状との差を「解決する意味のあるもの」と「解決に大きな影響のないもの」に分解し、解決できる要素になるまで分解する。この分解の過程でさまざまな仮説・検証をおこない、データを蓄積していくのである。

集団でのコミュニケーション技能

集団でのコミュニケーション技能には、「効果的なコミュニケーション」と「効率的なインタラクション」がある。

効果的なコミュニケーションをおこなうには、プレゼンテーションの形式と、読み手・聞き手の理解が重要だ。数百人を前にして発表するのと、少人数でミーティングをおこなうのでは、話し方も用意する資料も必然的に変わってくる。また会話相手の何気ない仕草や表情から、「言外の意味を感じ取る」ことも、国際的なプロジェクトをおこなううえでは欠かせない。

一方で効率的なインタラクションは、交渉や協業、倫理的な問題を建設的に解決するためのものである。大きな組織で働く場合は、部分最適と全体最適の調整も必要になるものだ。ミネルバ大学ではリーダーシップだけでなくフォロワーシップの重要性についても学び、集団と個人の行動原理を理解することに重点を置いている。

どのように教えているのか

授業の本来あるべき姿とは
Rawpixel/gettyimages

ミネルバでは全授業を「完全なアクティブ・ラーニング」でおこなうという原則のもと、講義式授業を禁止し、学生主体の学びを適用している。

学生主体というのは、授業時間の最低75パーセントをグループワークや議論に充て、能動的な作業をおこなうということだ。使用する教材とコンセプトの予習は必須で、授業中は予習したコンセプトをもとに、クラスメイトとディスカッションすることが求められる。そして授業後に教員から、理解度や改善点などの詳細なフィードバックを受ける。

またコンセプトをインプットした学生には、「どんな場所・状況でも、学んだコンセプトが有効に使えるか試すための機会」が用意される。学外団体とのプロジェクト学習やインターンシップなどを通じて、今度は学生たちがアウトプットをするのだ。

このようにインプットとアウトプットを組み合わせることで、学生たちの「実践的な知恵」は鍛えられていく。

教員が話せるのは10分まで

ミネルバの授業を支えているのが、独自のオンライン・プラットフォーム「アクティブ・ラーニング・フォーラム」だ。

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要約公開日 2019.01.20
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