スタンフォード大学教授が教える

熟睡の習慣

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熟睡の習慣
出版社
出版日
2019年01月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

同じ著者の『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)はベストセラーになり、「flier年間ランキングベスト10」においても2017年に1位、2018年に2位と、圧倒的な支持を得た。

この本をきっかけにNHKが「睡眠負債」という言葉を番組で取り上げ、その言葉は広く知られるようになった。睡眠負債とは、睡眠不足が積み重なって慢性化した状態であり、がん、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、うつ病などの精神疾患、認知症などのさまざまな発症リスクを高めるという。いま日本では、多くのビジネスパースンがこの負債を抱えている可能性がある。

睡眠負債を解消するにはどうしたらよいのか? 本書の結論からいえば、それには「眠ることしかない」。何をおいても適正な睡眠時間を確保するべきだ。誰しも、1日24時間という時間は変わらない。そのなかで何の時間を確保し、また何の時間を削るのか、個人の価値観によってその優先順位は違ってくる。しかし、睡眠時間を犠牲にするという選択はしないでほしい。著者はそう強く訴える。

まさに、眠ることは生きること――本書は、睡眠を小手先のテクニックではなく、ライフスタイルの一環として考えることを読者に求めている。そのために、生理学をベースに、多様な切り口から睡眠について紹介している。睡眠について、まず手に取るべき一冊といえるだろう。前作の要約もあわせて参照していただきたい。

ライター画像
しいたに

著者

西野 精治(にしの せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長。医師、医学博士、日本睡眠学会認定医。
1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。2000年にはナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNLの所長に就任。
睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。
主な著書に『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    睡眠は謎が多い分野だ。著者によると、睡眠についてわかっていることは、まだ全体の10%にも満たないかもしれない。
  • 要点
    2
    人それぞれ、適正な睡眠時間がある。睡眠時間がそれに満たなければ、「睡眠負債」として借金がたまっていく。睡眠負債は眠ることでしか解消できない。
  • 要点
    3
    睡眠の質を向上させるには、寝入りばなのノンレム睡眠である「黄金の90分」が最重要だ。なぜならこのとき、細胞の増殖や正常な代謝の促進などの役割を果たす「グロースホルモン(成長ホルモン)」の70~80%が分泌されるからだ。

要約

間違いだらけの睡眠常識

努力すれば「ショートスリーパー」になれる?

ショートスリーパーとは、睡眠時間が短くても日中つらいと感じることがない、健康にもメンタルにも影響のない人をいう。ナポレオンやエジソンも、ショートスリーパーだったといわれている。

これに関してまず押さえておきたいのは、睡眠時間の長短は、遺伝的資質に規定されることが大きいということである。「トレーニングすれば誰でもショートスリーパーになれる」という人もいる。だが、短時間睡眠の因子をもっていない人がそれをやろうとしても、睡眠負債がたまっていくだけだ。ショートスリーパーは、じつは全体の1%未満にすぎない。

睡眠は謎だらけ?
Kkolosov/gettyimages

睡眠が研究対象として注目されるようになったのは、1953年のレム睡眠の発見によってである。それまで睡眠は受動的な意識消失状態と考えられていたが、レム睡眠の発見を契機に、覚醒と睡眠、ノンレム睡眠とレム睡眠の調整機能を解明するための研究が進められるようになった。また睡眠障害の診断法や治療も考案され、「睡眠医学(sleep medicine)という学問が形成されるまでになっている。

しかしながら、睡眠の深さも睡眠の質も、いまなおその本質はわかっていない。個人の適正な睡眠時間もわかっていないし、どの程度の睡眠不足があるかも明らかになっていない。睡眠中の現象としてはわかっていても、そのメカニズムが不明のものもある。睡眠について明らかになっていることは、まだ全体の10%にも満たないのではないかと著者はいう。

【必読ポイント!】睡眠負債

眠りの借金は眠りでしか返せない

「ヒトは一定の睡眠時間を必要としており、それよりも睡眠時間が短ければ、足りない分がたまる。つまり眠りの借金が生じる」――これが睡眠負債(sleep debt)である。借金がたまると、脳や身体にさまざまな機能劣化が起こり得ることが知られている。

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要約公開日 2019.03.21
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