自炊力

料理以前の食生活改善スキル
未読
自炊力
自炊力
料理以前の食生活改善スキル
未読
自炊力
出版社
出版日
2018年11月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「家事の中で料理が最も苦手」という人は、おそらく少なくないだろう。外食中心の生活で、料理はまったくしないという人も多いはずだ。あるいは仕事や育児の忙しさから、できるだけ食事には時間をかけたくないという人もいるに違いない。しかしずっと誰かに料理を作ってもらえて、なおかつ最低限の栄養バランスがある食事を摂れるというのは、なかなか考えにくいものである。

本書はフリーランスのライターとして食の記事を書き続けてきた著者が、「料理の習慣はないが、食に関して無関心というわけにはいかない」という読者に対し、より簡単な自炊の取り組み方を紹介するものだ。著者は「料理力より自炊力を」というテーマを掲げ、料理の作り方そのものだけではなく、栄養に関する考え方や買い物の仕方を含めた、食生活改善のための方法を解説している。「自炊力」とは、献立づくりから買い物、料理などのさまざまな能力が組み合わさった総合力というのが著者の考えだ。

いままで料理に苦手意識を持っていた人や、料理本を買ってそのままになっている人にとって、取り入れやすい情報が満載の一冊だ。また著者が実際に自炊するときのレシピも、カラー写真付きで掲載されている。

生きるために食事は欠かせない。だから「いまの食生活をなんとかしたい」というのはきわめて自然な考えだ。料理や自炊が苦手でも、まったく気負う必要はない。自炊について迷える読者に、自らの食生活を見直す最初のきっかけとして、ぜひ本書をおすすめしたい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

白央 篤司 (はくおう あつし)
フードライター。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経てフリーに。日本の郷土食やローカルフードをメインテーマに執筆。著書に「都道府県をひとつのおにぎりで表すとしたら?」をコンセプトにした写真絵本『にっぽんのおにぎり』(理論社)、各地で愛され続ける飯・麺・汁ものをレシピつきで紹介した『ジャパめし。』(集英社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    料理は向き不向きがあり、料理ができないこと自体は恥ずべきことではない。一方で忙しい現代人にとって、経済的かつ健康的に食べるスキル=「自炊力」の取得は重要である。
  • 要点
    2
    自炊力は料理をする能力だけでなく、栄養バランスを考えて食材を足したり、買い物をしたりする能力も含まれている。コンビニで食事を買うとしても、そこに野菜を足したり、塩分の少ないものを選んだりすることが、自炊力を高める第一歩だ。
  • 要点
    3
    料理は場数である。自分のできる範囲を少しずつ広げながら料理を楽しみつつ、時には新しいことに挑戦することが、自炊力を向上させる。

要約

【必読ポイント!】買うことから始める自炊

自炊力
udra/gettyimages

著者のいう「自炊力」とは、買い物する能力、献立や栄養バランスを考える能力などを総合した、生きるための重要なスキルのことである。その時々で安い食材をうまく使いまわせる生活は、経済的にもメリットが大きい。また食事を工夫すれば、生活習慣病などの病にかかるリスクも減らせる。

しかし仕事や家事で忙しい現代人にとって、料理をするハードルはとても高い。著者がツイッターで行ったアンケートによると、「料理が好きではない」という回答を選んだ人はおよそ56パーセントにのぼった。

誰でも学校の教科では得意不得意があるように、料理にも向き不向きがある。にもかかわらず世間ではいまだに料理は誰でもできるものという認識が強い。そのため「料理ができない自分はダメだ」という気持ちから、ますます料理をしなくなるという悪循環に陥る人が実に多いのだ。

とはいえ生きている以上、食べることからは逃れられないし、栄養バランスの考えられた食事を毎回誰かが作ってくれるわけでもない。ゆえに忙しい生活の中で、いかに自炊力をつけるかが重要になるのだ。

買う力

平日にスーパーで買い物するのが難しい人にとって、コンビニ食は生活の中心になりがちだ。しかし「料理する」のではなく、コンビニで売られているものをどう栄養バランスよく「買う」のか考えることも、立派な自炊力のひとつである。

最初に頭に入れるべきは、「主食・主菜・副菜」という3要素だ。たとえばおにぎり、肉か魚のおかず1品、味噌汁の3つがあれば、これらの要素はひとつずつ揃う。漫然と食べたいものを買う状態から、自分の食べたいものの要素を考慮することが、自炊力をつける最初の一歩と心得よう。

分類がわかったら、3要素の「量」を考えることが次のステップとなる。現代人の食生活に不足しがちな野菜・フルーツは、コンビニで「ちょい足し」が可能だ。コンビニでも手に入るプチトマトを切って足すだけでも、十分自炊となる。料理習慣のない人には、ここから始めてみてはいかがだろうか。

野菜を買ってもなかなか使いきれないという人には、冷凍野菜という手がある。賞味期限が長く、買い置きができる冷凍野菜は、全般的にちょい足しに向いている。女子栄養大学出版部編集委員の監物南美(けんもつなみ)さんによれば、冷凍野菜は収穫後、新鮮なうちに急冷されるため、風味や栄養価が損なわれにくいという。さらに旬の時期に適切に冷凍されて管理されたものは、旬でない時期の生鮮野菜より栄養価が高い場合もある。天候に価格が左右されやすい生鮮野菜に比べ価格も安定しており、セールもよく行われるため、ぜひ買い置きして活用したいところだ。

減塩のメリット
nonmim/gettyimages

平成28年度の「国民健康・栄養調査」によれば、日本人の塩分摂取量の平均は1日9.9グラムである。これに対しWHOによる成人の塩分目標数値は5グラムだ。日本人は総じて塩分を取りすぎる傾向にある。

病気になって医療費がかさむことを避けるためにも、減塩は心がけたい。コンビニで買うものに迷ったときは、減塩をするチャンスだ。

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要約公開日 2019.03.24
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