Move Fast and Break Things
How Facebook, Google, and Amazon Cornered Culture and Undermined Democracy

未 読
Move Fast and Break Things
ジャンル
著者
Jonathan Taplin
出版社
Little, Brown and Company 出版社ページへ
出版日
2017年04月17日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
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How Facebook, Google, and Amazon Cornered Culture and Undermined Democracy
著者
Jonathan Taplin
未 読
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ジャンル
出版社
Little, Brown and Company 出版社ページへ
定価
0円 (税抜)
出版日
2017年04月17日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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レビュー

グーグルで検索する、隙間時間にフェイスブックで友人の近況を知る、書籍をアマゾンで購入する。インターネット、そしてIT市場を席巻するGAFAを中心としたプラットフォームは、生活に不可欠な存在となった。その驚くべき利便性や娯楽性に私たちははまり込んでいる。しかし、それらの負の側面に思いを馳せたことはあるだろうか。

1965年、著者は、ニューポート音楽フェスティバルでのボブ・ディランのパフォーマンスに衝撃的な感動を覚え、音楽・エンターテインメントの世界に飛び込んだ。そして、世界的アーティストの音楽プロデューサーやマネージャーを長年務めてきた。そんな彼は、テクノロジー革命によるアーティストの社会的価値の凋落ぶりに、怒りを隠し切れない。また、巨大テクノロジー企業によるインターネット市場の独占が、経済格差を助長し、公平なジャーナリズムを脆弱化させていることを憂慮する。このままでは、民主主義の存在さえ危ういと言うのだ。

歯に衣を着せぬ言葉で、インターネットの現状やシリコンバレーの起業家たちを厳しく批判する著者。実は彼はテクノロジーにも精通している。YouTube登場の10年以上も前に、オンデマンドのビデオストリーミング会社を創業した実績を持つほどだ。

本書の表題は、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグの言葉である。今こそ、抜け落ちていく文化と民主主義社会について再考すべきではないだろうか。ビジネス書グランプリ2019の総合グランプリに輝いた『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』とあわせてお読みいただきたい。

佐藤瑞恵

著者

ジョナサン・タプリン
南カルフォルニア大学アネンバーグ・イノベーション研究所の名誉会長。ボブ・ディラン、ザ・バンドのツアー・マネージャー, および、映画監督マーチン・スコセッシ、ヴィム・ヴェンダース、ガス・ヴァン・サントのプロデューサーを務める。デジタル・メディア・エンターテインメントの専門家。米国映画芸術科学アカデミー会員。カルフォルニア・ブロードバンド・タスクフォースおよびロスアンゼルス市長エリック・ガルセッティ主催のテクノロジー・イノベーション協議会議員。

本書の要点

  • 要点
    1
    インターネット市場は、シリコンバレーの大手テック企業が独占している。これらの企業は巨大な富を蓄積し、政治・経済・法制度に大きな影響を与え、社会格差の要因を作っている。しかし米国民には、この独占を規制する術がない。
  • 要点
    2
    インターネットは、映画や音楽といったクリエイティブ業界が生んだ成果をコモディティ化する。同時に、一部の企業がメディアを牛耳ることで、民主主義の存在が危ぶまれている。
  • 要点
    3
    インターネットやワールド・ワイド・ウェブは、政府機関の支援を受け、権力の分散と知識を共有する社会をめざす研究者の努力から生まれた。

要約

巨大企業の浮上と市場独占

大手テック企業が牛耳る世界
claudenakagawa/gettyimages

株式時価総額から見た世界の5大企業は、アップル、グーグル(アルファベット)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックだ。著者の分析によると、これら米国企業がデジタル・モノポリーへの道を歩み始めたのは2004年だという。この年は、グーグルが新規株式公開で16億7千万ドルを獲得した年である。同年12月時点、サーチエンジン・サービスのなかでグーグルのシェアは35%、ヤフーが32%、MSNが16%であった。

しかし現在では、グーグルのシェアがアメリカ国内で88%にも及んでいる。アマゾンは2004年には純売上高69億ドルだったのに対し、2015年には1070億ドルをたたき出した。オンライン上の新刊の販売では65%の独占という実績だ。また、フェイスブックによるモバイル・ソーシャルメディアの独占率は、77%だという。

政権を操るレントシーカー

少数の企業の拡大は、テクノロジー業界に限ったことではない。米国の企業統合は進み、公開株式企業数は減少の一途をたどっている。オバマ政権のシニア経済アドバイザーたちは、競合相手が少ないために多大な資本収益、すなわち超過利潤(レント)を得る企業が増えると、経済格差は増幅すると指摘した。そしてこうした企業を「レントシーカー」と呼んだ。

著者は、フェイスブックやグーグルもレントシーカーだという。彼らは、何十億という人々がアクセスするサイトを持っているので、市場価格以上の広告費を要求できるためだ。レントシーカーたちはとてつもない財力をもとに政府や官僚組織へ働きかけ、彼らの都合の良い法制度や政策の立案に多大な影響を及ぼしている。これに対し、一般米国人の政治への影響力は縮小する一方といえる。

シリコンバレーに広がるリバタリアン思想
MarianVejcik/gettyimages

レーガン政権以来、リバタリアニズムがワシントンの理論となってきた。シリコンバレーの起業家たちの間でも、共同生活の価値観よりも、リバタリアン思想がはるかに主流になっている。

1950年代、個人的な自由、経済的な自由、最小限の政府介入を旗印に、米国のリバタリアニズムは生まれた。経済学者ミルトン・フリードマンは、ビジネスの唯一の社会的責任は、収益を上げることとした。また思想家アイン・ランドは、道徳的な生活は自己の幸福の追求にあると主張した。

彼らの自由市場論理を、アメリカの経済制度や司法制度に根付かせた人物は誰なのか。著者によると、元イェール大学法学部教授であったロバート・ボークに比肩する人物はいないという。彼の教え子の中には、ビル・クリントン夫妻、政治経済学者のロバート・ライシュがいる。後にライシュは、一般市民の消費支出の抑制のみに注力し、権力の集中といった要素をほとんど考慮しないボークの一面的な考え方を批判した。極端にいうと、ウォールマートが国の唯一の小売店となっても、価格が下がる限り消費者はその恩恵を得られるという考えだ。

ボークの考えがアメリカ政府に浸透していなければ、グーグル、アマゾン、フェイスブックは全て独占禁止法の対象となっていただろう。ペイパルの創業者の一人であるピーター・ティールは、自由と民主主義との両立を信じないとさえいいきった。

インターネットの原点は「分かち合い」

米国政府の支援のもとに誕生したインターネット

インターネットが勝者総取りのシナリオを生んでしまっているのが現状だ。しかしインターネットは、当初、全く異なるビジョンから出発した。1960年前後、米ソの冷戦が悪化するなか、米国国防高等研究計画局 (DARPA)では、ソビエトの人工衛星スプートニク1号の打ち上げに対抗しようとしていた。当時100名以上の科学者たちが、軍事を超えた専門的研究を行っていた。

初期プロジェクトの成功例は、1962年にアメリカの4つの大学をネットワーク接続したARPANETの創設だ。ARPANETはインターネットの原型といえる。

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