謝罪力

仕事でも家庭でも「問題解決」に役立つ本
未読
謝罪力
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仕事でも家庭でも「問題解決」に役立つ本
著者
未読
謝罪力
著者
出版社
出版日
2019年03月18日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

テレビも雑誌も謝罪ばかり――そう感じたことはないだろうか。企業の役員や政治家からタレントまで、毎日のように誰かが謝っているように思える。

どうやらその感覚は間違っていないようだ。本書の冒頭には、2018年の主な「謝罪事件」が列挙されている。その数なんと30件以上。日々いかに多くの「謝罪」が行われているかがわかるだろう。

本書は、そんな時代を生き抜くための必読書である。著者は「謝罪マスター」の竹中功氏だ。竹中氏は吉本興業で広報担当としてメディアとの窓口を務めてきたほか、コンプライアンスやリスクマネジメント管理委員として、さまざまな謝罪の現場に立ち会ってきた。そして現在は、広報や危機管理のコンサルタント活動を行っている。そうした経験によって得た知見をもとに、問題解決のためのメソッドを指南するのが本書である。

本書の読みどころは、連日メディアで報道された「大学アメフト反則タックル事件」を取り上げた章だ。この事件のあと、2つの記者会見が行われた。1つは反則タックルをした選手による会見、もう1つは反則タックルをした選手が属するチームの監督とコーチによる会見だ。この2つの会見を比較しつつ、謝罪のあるべき姿が示される。

SNSでの情報発信が容易になった現代、誰もが「謝罪する側」に立たされる可能性がある。そんな事態に備え、今すぐにでも手に取るべき一冊だといえるだろう。

著者

竹中 功(たけなか いさお)
謝罪マスター
1959年、大阪市生まれ。
同志社大学法学部法律学科卒業、同志社大学大学院総合政策科学研究科修士課程修了。
吉本興業株式会社に入社後、宣伝広報室を設立し、月刊誌『マンスリーよしもと』初代編集長を務める。
吉本総合芸能学院(よしもとNSC)の開校や、プロデューサーとして心斎橋筋2丁目劇場、なんばグランド花月、ヨシモト∞ホールなどの開場に携わる。
沖縄映画「ナビィの恋」、香港映画「無問題」「無問題2」を製作。
河内家菊水丸のマネジャーとしてイラク・バグダッド、ロシア・モスクワ、北朝鮮・平壌公演などをプロデュース。
その後「吉本興業年史編集室」「創業100周年プロジェクト」「東北担当住みます専務」などを担当、コンプライアンス・リスク管理委員、よしもとクリエイティブ・エージェンシー専務取締役、よしもとアドミニストレーション代表取締役などを経て、2015年7月退社。

現・株式会社モダン・ボーイズCOO。ビジネス人材の育成や広報、コミュニケーション、危機管理などに関するコンサルタント活動に加え、法務省の求めに応じて刑務所での改善指導を行うなど、その活動は多岐にわたり、文化放送『竹中功のアロハな気分』(日曜19‐20時)のパーソナリティも務める。

著書に、35年間、吉本興業の謝罪会見を取り仕切ってきた経験を元にした『よい謝罪 仕事の危機を乗り切るための謝る技術』(日経BP社、2016年)のほか、『よしもとで学んだ「お笑い」を刑務所で話す』(にんげん出版、2017年)、『お金をかけずにモノを売る広報視点』(経済界、2017年)、『他人も自分も自然に動き出す最高の「共感力」カリスマ広報マンが吉本興業で学んだコミュニケーション術』(日本実業出版社、2018年)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    謝罪とは、反省の気持ちや再発防止などを表明し、相手からの許しを請うための行為であって、本当のゴールはその先にある。
  • 要点
    2
    謝罪会見は8つのステップで進行する。挨拶・自己紹介、謝罪、経緯・原因、再発防止策、賠償、質疑応答、最後に再度謝る、締めの挨拶だ。
  • 要点
    3
    企業は、日頃から謝罪訓練をしておくべきだ。まず、起こり得るリスクを大量にリストアップする。そのうえで、そのリスクに直面したとして対策をシミュレーションする。

要約

「大謝罪時代」を生きる

謝罪はゴールではない

テレビをつけると、連日のように謝罪会見が行われている。有名企業や大学、スポーツの強豪チーム、病院、タレント、アーティストなど、権威や社会的信頼のある人たちが謝っている。

謝罪会見を見ていると、謝罪そのものが目的化しているように感じる。加えて、謝罪会見がショーアップ化してしまっているようにも思える。メディアはきっと、謝罪会見を、視聴者や読者を惹きつけるコンテンツだととらえているのだろう。

だがそもそも「謝罪」はゴールではないはずだ。謝罪とは、反省の気持ちや再発防止などを表明し、相手からの許しを請うための行為である。本当のゴールは謝罪そのものではなく、その先にある。

【必読ポイント!】 あの謝罪、何がいけなかったのか

2つの記者会見
jovan_epn/gettyimages

2018年5月6日、A大学とB大学のアメフトの試合にて「大学アメフト反則タックル事件」が起こった。事件とその後に行われた「2つの記者会見」を通して、謝罪のあり方や注意すべき点などを考えていこう。

事件の概要は次のとおりだ。B大学のクオーターバック選手がパスを投げ終え、ホイッスルも鳴った後、その選手の背後からA大学の選手が激しくタックルした。B大学の選手は身体を倒されてしまい、全治3週間の怪我を負った。

後日、A大学は「危険タックルは監督の指示ではなかった」と表明。その時点で明確な謝罪はなかった。B大学は「誠に遺憾だ」とコメントし、A大学監督とコーチは責任を取って辞任することとなった。

事件から2週間後、A大学選手が記者会見を開き、監督とコーチから反則行為を指示されたと説明するとともに「大きな被害と多大な迷惑をかけたことを深く反省している」と謝罪。すでに被害選手と両親らに面会して謝罪したと明かした。A大学の対応の遅さなどを理由に、自ら記者会見を開くことを決めたという。この会見開催については前日に各マスコミにリリースがなされ、テレビのワイドショーも生放送で報道した。

その翌日、A大学前監督と前コーチが記者会見を開き、「危険タックルの指示」を再度否定した。会見開催の告知があったのは午後7時で、会見開始のわずか1時間前だった。「集まるメディアの数を減らしたい」とでも言わんばかりに。

この会見では、A大学広報部の司会者が注目を集めた。会見の終盤で「同じ質問ばかりなので、打ち切ります」などと発言し、報道陣が反発して混乱する場面もあった。

謝罪の6つのステップ
takasuu/gettyimages

もしあなたがA大学の「危機管理責任者」として、この事件の解決を任されたとしたら、何をすべきか。

まず行うべきは、「謝罪チーム」の編成だ。危機管理責任者のあなたをリーダーとして、大学としての判断や決定ができる立場の総責任者、対外的な窓口となる広報担当、学内的な調整を担う総務担当、法的な問題をクリアさせる弁護士、アメフト部の状況を把握する関係者をメンバーに加えよう。

その上で、次の6つのステップを実行する。

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要約公開日 2019.06.14
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