オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット

未読
オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット
オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット
著者
未読
オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット
著者
出版社
学研プラス

出版社ページへ

出版日
2019年08月13日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

9月20日、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開幕する。

ラグビーワールドカップといえば、2015年の日本対南アフリカの試合を思い出す方も多いのではないか。優勝候補の南アフリカを相手に、戦力で劣ると考えられていた日本が、最後の最後で逆転勝利する。熱烈なラグビーファンでなくても、あのジャイアント・キリングには心躍ったに違いない。

そんなラグビーの世界で、他を寄せ付けない圧倒的な成績を誇るチームがある。ニュージーランド代表、通称オールブラックスだ。75%を超えるその勝率は、あらゆる団体競技においても飛び抜けている。ラグビーの世界ランキングでは約10年ものあいだ1位をキープし、今回のワールドカップでは史上初の3連覇を狙う。まさしく常勝集団といえる。

そんなオールブラックスの強さの秘密はどこにあるのか? 本書は「ラグビー界のレジェンド」と呼ばれる著者が、自らの経験と先人たちの言葉にもとづき、なにがオールブラックスをオールブラックスたらしめるのか分析したものだ。常に勝利を求められる組織において、プレッシャーに負けることなく勝ち続けるためには、強靭な肉体や卓越した技術もさることながら、なによりも圧倒的なメンタルの強さが求められる。オールブラックスは組織として、それをずっと実現し続けているのだ。脱帽するしかない。

勝利することの難しさ、そして大切さを、あらためて実感させてくれる一冊だ。

著者

今泉 清 (いまいずみ きよし)
1967年東京生まれ。6歳でラグビーを始め、大分県立大分舞鶴高校ではフランカーとして高校日本代表に選ばれる。早稲田大学時代は在学中4年間で関東大学対抗戦優勝2回、大学選手権優勝2回、日本選手権優勝1回を経験。卒業後はニュージーランド留学を経てサントリーで活躍。1995年ラグビーワールドカップ南アフリカ大会日本代表、7人制・10人制代表にも選出された。現役引退後は母校・早稲田大学ラグビー蹴球部コーチとサントリーフーズコーチを同時期に兼任するなど後進の指導育成に尽力。現在は日本代表・トップアスリートだった経験を活かして人材育成パフォーマンスコンサルタントとして活動する傍ら、日刊スポーツのラグビー評論、CSテレビチャンネルJ SPORTSで解説者も務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    ニュージーランドのラグビー選手のほとんどはゼネラリスト型である。勝つための情報を全員で共有し、お互いの役割を決めていく。
  • 要点
    2
    リーダーというのは固定された役職ではなく、もっと流動的なものだ。
  • 要点
    3
    偉大なリーダーであるほど、人の話をよく聞く。そして話すときは、論理的かつ具体的である。
  • 要点
    4
    オールブラックスが強いのは、不利な状況を有利に変える「アジャストメント」と「コンパッション」に優れているからだ。
  • 要点
    5
    試合前におこなう儀式「ハカ」には、歴代の選手の栄誉を称え、先人に恥じない戦いをするという強い気持ちが込められている。

要約

ニュージーランド「ラグビー文化」の衝撃

世界で最も勝率の高いチーム
stocknshares/gettyimages

ニュージーランドは495万人の小国であり、人間より羊の数のほうが多いといわれている。そんな国で、もっとも熱狂を呼んでいるのがラグビーだ。ラグビーのニュージーランド代表は「オールブラックス」と呼ばれ、全ニュージーランド人の誇りとなっている。

オールブラックスはあらゆる団体スポーツ競技において、世界で最も勝率が高い。だからニュージーランドでは「勝ってあたりまえ」という空気が流れており、「オールブラックスが負けると、株価が下がる」とまことしやかに語られるほどだ。

人口500万人に満たないこの国から、なぜ常勝軍団が生まれたのか。

まず大きな理由として、ニュージーランド独自の民族的アイデンティティーが挙げられる。ニュージーランド独自のラグビー文化は、ヨーロッパ人、先住民マオリ、各島嶼(とうしょ)から移住してきたさまざまな民族(アイランダー)たちが、お互いのアイデンティティーと文化を融合させることで形成されたものだ。

次にラグビー環境のすばらしさがある。ニュージーランドでは男子のほとんどが、幼少期からラグビーボールと接する。どの公園でも気楽にラグビーのできる環境が整備されているし、小学校ではラグビーの授業が行われる。中学以降は学校もしくは地域ごとにクラブチームが結成され、そこで才能を認められると、オールブラックスのユースチームに選出される。

さらに、優れた指導者が揃っていることも大きい。著者も大学時代、のちにオールブラックスの監督となるグラハム・ヘンリーの指導を受けた際、勝てるチームへと変革するその手腕に脱帽したという。

「凡事徹底」と「インテグリティ」

オールブラックスの強さの背景にあるのは、あたりまえのことを愚直にやりきる「凡事徹底」の姿勢だ。彼らは基本スキルを確認するのに、高度な技を習得する時間の数倍をかける。ささいな連携ミスでチームプレーを乱せば、すぐに他の選手に替えられてしまうことを、彼らはよく理解している。こうした厳しい環境だからこそ、オールブラックスは世代を超えて優れた人材を生み出し、勝ち続けられるといえる。

高いプライドをもって、凡事徹底を日々心がけることは、「インテグリティ(Integrity)」に結びつく。インテグリティとは、一貫した誠実さ、高潔さなどを意味する。グラウンドのプレーだけでなく、1日の行動や振る舞いすべてを、重要なものとしてとらえて生きる。勝ち続ける組織は、こうしたインテグリティをしっかり身につけている。

そんな彼らの意識と行動を見ていくと、5つの重要な共通点が見つかった。(1)チームへの貢献、(2)リーダーシップに対する考え方、(3)コミュニケーション力、(4)戦略を準備すること、そして(5)マインドセットである。ここからはこの5つの勝利の原則について解説する。

【必読ポイント!】 オールブラックス・勝利の5原則

貢献――ポジティブな「組織の歯車」になる
jacoblund/gettyimages

ニュージーランドのラグビー選手は、「組織の一員として戦う」ということに対してとてもポジティブだ。「勝つために、自分の持っているスキルを、いかにチームプレーに適合させるか」という真の「組織への貢献精神」があるからだ。

ニュージーランドのラグビーは、日本の「上意下達」のシステムと異なり「合議制」である。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2431/3812文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2019.09.20
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
佐藤優直伝! 最強の働き方
佐藤優直伝! 最強の働き方
佐藤優
未読
人生100年時代の稼ぎ方
人生100年時代の稼ぎ方
和田裕美勝間和代久保明彦
未読
ラディカルズ
ラディカルズ
ジェイミー・バートレット中村雅子(訳)
未読
人口で語る世界史
人口で語る世界史
渡会圭子(訳)ポール・モーランド
未読
EQ2.0
EQ2.0
関美和(訳)トラヴィス・ブラッドベリージーン・グリーブス
未読
マーケティングプロフェッショナルの視点
マーケティングプロフェッショナルの視点
音部大輔
未読
天才とは何か
天才とは何か
ディーン・キース・サイモントン小巻靖子(訳)
未読
心を強くする
心を強くする
サーシャ・バイン高見浩(訳)
未読
法人導入をお考えのお客様