世界一シンプルなモノの売り方

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世界一シンプルなモノの売り方
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出版社
きずな出版

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出版日
2019年08月16日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書の著者は、「質問型営業」という手法を、書籍や研修、ポッドキャストの番組などで伝え続けてきた筋金入りのセールスマン。そのスキルは大阪府や東京都などの自治体、また大手企業も認めるところとなり、累計3万人以上もの人々に質問型のコミュニケーションを指導してきたという。

本書では著者は、そうした営業スタイルの根幹となっているものについて書いている。それが「ゾーン状態で売る」という方法だ。「ゾーン」とは、一流のアスリートなどが経験するといわれるもので、集中力が究極的に高まった状態である。セールスパーソンが現場で「ゾーン状態」に入ると、「お客にモノを売る」ことではなく、「お客の役に立つ」という純粋な気持ちが生まれることで、結果としてモノが売れるという。インターネットが成熟し、オンライン販売も隆盛しているが、売り手と買い手の気持ちのやりとりがパワフルな効果を持つことを本書は再認識させてくれるだろう。

また、本書は、あくまでも「売る」ということを中心テーマとしているが、やはり営業という仕事は本質的にコミュニケーションにつながるのか、日常のコミュニケーションへの応用についても言及されている。人間は本来、他者と気持ちをやりとりさせてこそ喜びを感じることができるものだと思うが、これが希薄となり閉塞感さえ生み出している近年では、本書で綴られていることが、多くの人にとってヒントを与えるものであると思う。

ライター画像
松田義人

著者

青木 毅(あおき たけし)
1955年生まれ。大阪工業大学卒業後、飲食業・サービス業を経験し、米国人材教育会社代理店入社。88年、セールスマン1000名以上の中で5年間の累積業績1位の実績をあげる。97年に質問型営業を開発。98年には個人・代理店実績全国1位となり、世界48カ国の代理店2500社の中で世界大賞を獲得。
株式会社リアライズを設立後、質問型セルフマネジメントを開発し、大阪府や大阪府警、東京都などの自治体へ質問型コミュニケーションを指導する。2008年に質問型営業のコンサルタントを開始し、大手カーディーラー、ハウスメーカー、保険会社などへの研修、講演などを通じて累計3万人以上を指導してきた。また、質問型営業について教えるポッドキャストの番組「青木毅の『質問型営業』」は1万人以上に視聴されている。
著書に『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』『3か月でトップセールスになる 質問型営業最強フレーズ50』(ともにダイヤモンド社)、『なぜ、相手の話を「聞く」だけで営業がうまくいくのか?』(サンマーク出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    セールスパーソンがお客のことだけを考えて、心身ともに今この瞬間に集中させている時、「お役に立ちたい」という純粋な気持ちが生まれるのだ。この集中こそが「ゾーン状態」なのである。
  • 要点
    2
    セールスパーソンがゾーンに入るタイミングは3つある。面会前に自社商品・サービスの特長について調べる時/面会時にお客の世界に共感し、没入するとき/面会中盤から後半にかけてお客の現在から未来について聞き、自分の商品・サービスが役に立つと確信したときである。
  • 要点
    3
    「売れる」とは、「その人のお役に立った」ということの結果だ。

要約

【必読ポイント!】「売れる」人が従うシンプルなルールとは

純粋な気持ちにのみ突き動かされる状態
takasuu/gettyimages

商品やサービスをうまくお客に売ることができる人は、根本的な、シンプルなルールに従っている。それは、セールスパーソンが「ゾーン」に入ることだ。

著者は、セールスパーソンの経験が12年間に及んだころ、ある商談でふしぎな感覚を味わった。初めて面会した人とのあいだに大きな信頼を感じ、営業らしい話もせずにセールスが完結した。あとには、満ち足りた気持ちが残った。

そのときの出来事を分析してみると、何とか相手の「お役に立ちたい」、という感情が生まれたことが重要なきっかけとなったようだ。その感情が生まれた瞬間に、著者は「純粋な動機」を持ってゾーンに入っていたのだという。

大事なことは、お客のことだけを考えて、心身ともに今この瞬間に集中させることだ。セールスパーソンがそのような心境になっている時、「お役に立ちたい」という気持ちが生まれるのだ。この集中こそが「ゾーン状態」なのである。

モノを売るためのカギは、ゾーン状態をつくることにある。そして、それは手順を踏めば誰にでもできるものなのだ。

「説明中心」「ゾーン状態」の売り方の違い

かつて著者が行なっていたモノの売り方は、「ゾーン状態での売り方」ではなく、「説明中心の売り方」だった。「説明中心の売り方」とは、扱っている商品・サービスの内容にほれ込んで、その良さを伝えようという熱意に任せた売り方だ。一方、「ゾーン状態での売り方」とは、お客のことを理解し、自分の中から「この人のためにお役に立ちたい」という気持ちをわきあがらせて売る方法だ。

「説明中心の売り方」で購入したお客は、セールスパーソンの熱意に押されて「そんなにいいものだったら買ってみよう」と採用する。一方、「ゾーン状態での売り方」の場合は、お客自らが「これは自分に必要なものだから買って使ってみよう」と採用する。後者は、自発的にほしいと思って採用するのだ。

この「購入する動機」の違いが、購入後に大きな違いを生み出すのである。購入後に満足度が高く、追加販売や紹介にもつながるのは、「ゾーン状態での売り方」のほうだ。

イメージできるから「お役に立ちたい」と思える
fizkes/gettyimages

セールスパーソンは、お客の話している事柄のイメージに共感しなければならない。5W1Hで質問を重ねていくと、イメージが具体的になっていくので共感しやすくなる。また、お客の話を促すために、「共感の言葉をしっかり口に出す」ことも大切だ。共感の言葉を発するうちに、セールスパーソンもお客の話に入り込んでいくことができる。これがまさにゾーンの入り口だ。

そして、ゾーン状態でお客の情景を描き切り、心情を理解したときに、「何か自分のできることはないだろうか」「私のできることでお役に立ちたい」という気持ちがわいてくるのだ。

ただし、お客の話をイメージしていくときに間違いやすいのが、以下の2つの点だ。

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要約公開日 2019.12.19
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