自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方

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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2020年04月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

ほめるときに「えらい」「上手」。叱るときに「ダメ」「いけない」。じつはこれらは、子どもへの声かけとしてはあまりよろしくないらしい。家庭や教育現場で子どもに接しているなかで、反射的にこうした言葉を発している方もいるのではないだろうか。かくいう要約者も例外ではない。

褒美と罰は、与え方によってはモチベーションの低下や攻撃性の増加につながり、かえって行動が改まりにくくなることもあるという。なにより、親や教育者との関係が損なわれてしまうこともあるそうだ。

本書の著者は、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育という優れた教育方法の研究者だ。そうした教育方法に共通する考え方を基盤として、本書では愛情をエサにするような接し方ではなく、無条件に愛情を注ぎながら、道を示してやることが大切だと説く。そのためには、ほめ方、叱り方の声かけが、かなり大きな意味をもつ。

本書では理論を踏まえて、3~12歳の子どもを対象としたほめ方、叱り方のポイントがわかりやすく書かれている。「自分で服を着られたとき」「スーパーでだだをこねたとき」など、いかにもよくあるシチュエーションが示され、声かけの提案も細やかである。理論と実践のバランスがよく、実用性が高い。

子どもは思い通りにならない。そのため大人はイライラしたりくたびれたりしてしまう。だが、思い通りにしようとしなくていいのだ。良い関係で双方ともに成長してゆくために、ぜひご活用いただきたい一冊だ。

ライター画像
小日向悦子

著者

島村華子(しまむら はなこ)
オックスフォード大学 修士・博士課程修了(児童発達学)。モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 。
上智大学卒業後、カナダのバンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、 オックスフォード大学にて児童発達学の修士、博士課程修了。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。
専門分野は動機理論、実行機能、社会性と情動の学習、幼児教育の質評価、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育法。

本書の要点

  • 要点
    1
    褒美と罰をアメとムチのように使う「条件付き子育て」はデメリットが大きい。行動のよしあしにかかわらず愛情を注ぐ、無条件子育てをしよう。
  • 要点
    2
    ほめるときは、成果よりプロセスに注目して、なるべく具体的に声をかける。自由回答式の質問をすると、子ども自身の感じ方を引き出せる。
  • 要点
    3
    叱るときは、まず否定的な言葉ではなく、気持ちに寄り添う言葉をかける。プロセス中心に声をかけ、好ましくない行動の理由を、モラルに重きをおいて説明する。親の気持ちを正直に伝えることも大切だ。

要約

親の声かけ次第で、子どもは変わる

条件付き子育て/無条件子育て
monkeybusinessimages/gettyimages

子育てにおいて、褒美や罰をアメとムチのように使って子どもの行動をコントロールしようとするのを、「条件付き子育て」という。子どもが大人の思いどおりに行動したときは愛情を与え、そうでないときには愛情を引っ込める。

一方で、子どもをコントロールするのではなく、行動のよしあしにかかわらず愛情を注ぎ、気持ちに寄り添うやり方を「無条件子育て」という。

たとえば、「着替えたくない!」とぐずった子どもに、罰として、寝る前に絵本を読んでやる時間を抜きにする。これが条件付き子育てだ。子どもには、親との時間を取り上げられることが、愛情を引っ込められたように感じられる。こうした接し方が繰り返されると、子どもは、親の言うとおりに動かないと愛してもらえない、と考えてしまう。

逆に、無条件子育てを実践するなら、子どもがぐずってもいつもどおりに絵本を読んでやり、その前後で、ぐずったときの気持ちについて話しあったりする。子どもが親の期待に沿わずとも愛しているということを伝えるのである。

ただ行動だけを見るのではなく、子ども全体を見るかどうか。親の愛情を、「よいことをして稼がなくてはいけないもの」でなく、「見返りを期待しない贈り物」と捉えているかどうか。条件付き子育てと無条件子育てには、そのような違いがある。

無条件子育てをするために

条件付き子育てのデメリットは大きい。そもそも短期的な教育効果しかないうえに、なにより子どもの自己評価が外的な承認に左右されるようになってしまう。

では、無条件子育てに移行していくためには、どうしたらいいだろうか。重要なポイントは、声かけ、とくに「ほめ方と叱り方に気をつける」ということである。能力や見た目ばかりに言及せず、努力や経過、行動について声をかけるようにする。子どもを声かけによってコントロールしようとしてはいけない。

上手にほめて叱るためには、子どもに対するイメージを見直すことを意識したい。「子どもは大人の言うことを聞くべき存在だ」という見方ではなく、「子どもも大人と同じように権利をもった尊い存在だ」ととらえよう。そうすれば、子どもに対する気もちや接し方は変わってくる。将来独創性や好奇心のある、自立した人間になってほしいのなら、現在の接し方がその助けになっているのか、一度考えてみよう。

さらに、親は、子どもにとってよきリーダーであるよう心がけることが求められる。気もちに寄り添いながらも、道をしっかり示してやることで、子どもも安心感をもてる。また、発達段階に合わない要求や期待をしていないかどうか、ということも考慮したい。

自分でできる子に育つほめ方

安易な「ほめて伸ばす」に要注意!
Paperkites/gettyimages

「すごいね!」「お利口さんだね」というのは子どもをほめるときによく使われる言葉だ。だが、こうした言葉は、じつは子どもの成長にネガティブな影響を与えかねない。

具体性に欠ける、表面的なほめ方を、おざなりほめという。「すごい!」「上手!」といったほめ方である。また、性格や能力、外見といった表面上の特徴をほめるのを、人中心ほめという。「お利口さんだね」「優しいね」といったほめ方だ。

おざなりほめと人中心ほめには、さまざまな問題がある。たとえば、外部からの承認でしか自分の価値を見出せなくなり、ほめられないと不安に感じるようになる。また、楽しいことに意義を感じなくなり、ほめられるためだけに行動するようになってしまう。そのほか、チャレンジ精神やモチベーションの低下という影響もある。

ほめるときの3つのポイント

おざなりほめや人中心ほめに陥らないようにするには、どんなことを意識するとよいのだろうか。それには3つのポイントがある。

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要約公開日 2020.10.25
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