人生の経営

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出版社
定価
880円(税込)
出版日
2022年04月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「仕事の面白さが薄れつつある。会社は自分を評価してくれていないようだ。転職でも考えるか……」。そんな考えがよぎった経験がある方もいるのではないだろうか。だが、本書を読めばキャリアへの考え方が大きく変わり、活路が見いだせるかもしれない。

本書は84歳の現役経営者であった故・出井伸之氏が、ソニーで学び、自ら切り開いたキャリア論を語った一冊だ。人生を会社経営にたとえながら、どういう人生を歩みたいかを決めるのは自分自身だと説いている。

出井氏に対し、一時代を築いた華やかな経営者のイメージを持っている方もいるだろう。だが実際には、左遷を2度も経験するなど、そのサラリーマン人生は山あり谷ありだった。ソニーを離れた後は、69歳で起業しベンチャー企業を支援してきた。そんな出井氏は「人生のCEOはあなた自身。サラリーマンこそ冒険しよう」と呼びかける。キーワードは「越境」だ。会社がいかに恵まれた環境であるか、そしてどのような心構えをもてば、人生100年時代に生き生きと仕事ができるかを、自身の経験をもとに余すことなく綴っている。

根底にあるのは、自分のバリューを高めることの重要性だ。大企業の経営者の視点ではなく、ひとりのサラリーマンの視点で書かれた「会社にも定年にもしばられない生き方」は、自身の活躍しどころを探している方やもうすぐ定年を迎えようとしている方に、勇気を与えてくれるのではないだろうか。

ライター画像
山下愛記

著者

出井伸之(いでい のぶゆき)
1937年、東京都生まれ。60年早稲田大学卒業後、ソニー入社。主に欧州での海外事業に従事。オーディオ事業部長、コンピュータ事業部長、ホームビデオ事業部長などを歴任した後、95年に社長就任。2000年から2005年までは会長兼グループCEOとして、ソニーの変革を主導した。退任後、2006年9月にクオンタムリープを設立。大企業の変革支援やベンチャー企業の育成支援などの活動を行う。NPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ理事長。2022年6月に死去。

本書の要点

  • 要点
    1
    サラリーマンこそ挑戦すべきだ。「越境」でいろいろな部署を経験し、多くの引き出しを持った方がよい。
  • 要点
    2
    スキルを積み重ねたビジネスパーソンならば、会社を辞めた後も輝ける場所が見つかるはずだ。常に自分のバリューを高めるために何が必要かを考えることが重要である。
  • 要点
    3
    定年間近になったら転職先を見つけるのも手だ。特にベンチャー企業やアジアには、身につけたスキルを活かせる場がある。
  • 要点
    4
    どういう人生を歩みたいかを決めるのは自分自身である。自分の人生のCEOとしてビジョンを描き、アクションを起こすことだ。

要約

【必読ポイント!】 サラリーマンこそ冒険しよう

人生に引退はない

出井氏は1960年、当時まだ小さなベンチャー企業だったソニーに入社し、1995年に社長に就任した。事実上、ソニー初の新卒入社のサラリーマン経営者だった。69歳でソニーを離れると、ベンチャー企業の手助けをしたいと考え、小さな会社をつくった。社名は量子力学の世界で「非連続の飛躍」を意味する「クオンタムリープ」だ。ベンチャー企業は、あるとき突然急成長することがある。そうした「非連続の飛躍」の手助けをしたいと思ったのだ。関わってきたベンチャー企業は100社を超える。

日本の企業には、50代にさしかかったときに、出世したからと自分は動かずに部下に指図ばかりする人がいる。一方、出世コースから外れたからと、仕事に興味を失い、退職金だけを目当てに会社に残ろうとする人もいる。出井氏からすると、仕事にコミットできなくなった時点で、どちらも同じように見える。

「仕事を続けたいが働く場がない」「今の時代に対応できるスキルがない」と思い込んでいる人は多い。だが、それは自分が大きな価値を持っていることに気づいていないだけである。スキルを積み重ねたサラリーマンであれば、輝ける場所は見つかるはずだ。仮に会社を辞めたとしても、そこで終わりとは限らない。人生に引退はないのだから。

越境のすすめ
Dilok Klaisataporn/gettyimages

サラリーマンとして輝き続けるには、一つの専門性にこだわるのではなく、いろいろな部署で働いて多くの引き出しを持った方がいい。ポイントは、起業家のような精神、視線で社内を見渡すことだ。そして、開拓できる分野や挑戦できる分野を見つけ出し、新しい提案をすることである。つまり社内ベンチャーのような動き方をするのだ。

ソニー時代、出井氏は異動することを「越境」と呼び、望んでそれを繰り返した。1979年には自ら手を挙げて文系で初のオーディオ事業部長になった。世間の関心がテレビやビデオといった映像機器に移っていた時代で、社内でも「オーディオ事業部に未来はない」といわれていたときだ。

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要約公開日 2022.08.14
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