P&G式 「勝つために戦う」戦略

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P&G式 「勝つために戦う」戦略
ジャンル
著者
A・G・ラフリー ロジャー・L・マーティン 酒井泰介(訳)
出版社
朝日新聞出版 出版社ページへ
定価
1,944円
出版日
2013年09月30日
評点(5点満点)
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

戦略の本質を正しく理解している人はどれだけいるだろう。多くの組織では、戦略の定義や有効な戦略立案に頭を悩ませており、戦略の立て方のコンセンサスも乏しい。そして、明確で選り抜かれた勝利の戦略をもつ企業は少ない。よくある間違いは、戦略をビジョンや計画とだけ定義することや、戦略=旧来の方法の改善と捉えることである。これでは、自社ブランドを独自のポジションに位置づけ、競合に対し持続可能な優位性やより優れた価値を生み出すことは難しい。

本書は2000年から09年までP&Gの改革を断行したCEOとビジネススクールの学部長による戦略書である。最大の魅力は、「オレイ」ブランドの再生や、ファイン・フレグランス事業の成功、SK-IIブランドの展開といった数々の事例を通じて、P&G流の戦略立案とマーケティングの本質を学べる点だ。勝利の選択を、①勝利のアスピレーション(憧れ)、②戦場選択、③戦法選択、④中核的能力、⑤経営システムの5つに分け、各々の選択の下し方を掘り下げ、具体的な助言をしていく。さらには、戦略的論理フローと、相容れない戦略的選択肢に折り合いをつける方法論(リバースエンジニアリング)を紹介し、どんな組織にも通用する戦略の組み立てのプレーブック(兵法)を提供してくれる。本書から得られる「勝利の戦略を打ち立てる力」は、業種・職種を問わず、組織の中核を担うリーダー人材の大きな武器になるだろう。

松尾 美里

著者

A・G・ラフリー
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の会長、社長そしてCEO(最高経営責任者)を務めた。彼の任期を通じてP&Gの売り上げは倍増、利益は4倍増、市場価値は1000億ドル以上向上。10億ドル規模のブランド――タイド、パンパース、オレイそしてジレットなど――は10から24に増加した。その後、未公開株投資会社などを経て、2013年5月にP&GのCEOに復帰。

ロジャー・L・マーティン
トロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネジメントの学部長であり、戦略、デザイン、イノベーション(技術革新)、統合的思考などについてCEOたちに助言している。2011年にはシンカーズ50(経営思想家トップ50)の第6位に選ばれた。本書は8冊目の著書である。さらに、『ハーバード・ビジネス・レビュー』『フィナンシャル・タイムズ』『ワシントン・ポスト』などに定期的に寄稿している。

本書の要点

  • 要点
    1
    戦略とは、①勝利のアスピレーション、②戦場選択、③戦法選択、④中核的能力、⑤経営システムの5つを統合的に選択したものである。
  • 要点
    2
    コスト・リーダーはコスト削減に集中し、製品・サービスの標準化に順応しない顧客を見捨てる一方、差異化プレイヤーは消費者へのユニークな奉仕方法を考え、ブランドづくりに励む。
  • 要点
    3
    自分たちの戦場・戦法選択に合った独自の戦略を立てるには、企業の中核的能力群を絞り込み、相乗的に競争優位性を生み出す能力に重点投資することが重要だ。

要約

戦略の核心

5つの「勝利の選択」
tombaky/iStock/Thinkstock

スキンケア市場でオレイが高収益な25億ドルブランドという成功を収めることができたのはなぜか? それは、戦略を明快に定義し、関係者が明確かつ難しい選択を下せたからだ。勝利に導くには、「何をし、何をしないか」についての明確な選択が不可欠である。選択の結果、オレイは業界内の独自のポジションと競合への持続的な優位性、より優れた価値をもつことができた。

戦略の核心は勝利であるべきだ。戦略とは、調和し統合された次の5つ――①勝利のアスピレーション(憧れ)、②戦場選択、③戦法選択、④中核的能力、⑤経営システム――の選択である。

実行可能で持続的な戦略をつくるために、各段階での選択はまとめて行う必要があり、ある段階で知見を得た場合、他の段階にも目配りしなくてはならない。CEOも前線のスタッフもこうした戦略的選択を重ねていく点は同じである。違いは選択の規模と制約の質だけなのだ。

勝利のアスピレーションとは
maxsattana/iStock/Thinkstock

勝利のアスピレーションとは、どんな勝利を望んでいるのか、という他の全ての選択の枠組みをもたらすものである。オレイの場合は、次の3つのことだった。まず、北米で市場シェアトップ、10億ドルの売上、世界的トップブランドの地位を得ること。それから、スキンケアをヘアケアと並ぶ柱にすること。そして量販とプレステージの中間に位置するマスステージ市場でリーダーとなること。このように、アスピレーションを明確に表現することが重要だ。勝利を規定せずに市場に参戦しても、勝てる見込みはないからだ。

では、適切なアスピレーションを設定するにはどうしたらよいか。そのためには、自社の事業において、誰が最も大切な顧客で、誰が最良のライバルなのかを考え抜くことが必要だ。携帯電話のメーカーの多くは、事業について聞かれたら製品ラインやサービス詳細を説明するだろう。しかし、消費者を意識してビジネスモデルを考えると、「人々をいつどこにいても結びつけるビジネス」という見方ができる。勝利のアスピレーションは、消費者を意識して立てなければいけない。また、真のライバルを見極め、彼らの戦略や業務遂行の優れた点をよく観察することが、勝利のための洞察を与えてくれる。

苦渋の選択を下すときの拠り所は、勝利のアスピレーションだ。ただし、戦場選択や戦法選択とアスピレーションの関わりが曖昧だと、機能不全になることを肝に銘じてほしい。

【必読ポイント!】 正しい戦場と戦法を選ぶ

どこで戦うか(戦場)
cacaroot/iStock/Thinkstock

会社やブランドにおいて、「どこで競争し、どこでは競争しないのか」を選ぶことも重要だ。戦場選択は、地理、製品タイプ、消費者セグメント(消費者グループ・価格帯・満たすべきニーズ)、流通チャネル、製品の垂直的段階(製造のどの段階に参入し、バリューチェーンのどの位置を占めるか)という切り口で、包括的に行わなくてはいけない。

P&Gでは、消費者の実像を知ることから始める。顧客の観察と家庭訪問によって、満たされないニーズを探ることに投資を惜しまない。そして、競合状況を考える。単に競争相手とは違うやり方を探すのではない。強敵から狙うのか、まずは弱い競争相手から打破するのかを選ぶことが必要だ。ここで、戦場選択の3つの罠に気をつけてほしい。

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P&G式 「勝つために戦う」戦略
ジャンル
経営戦略 マーケティング
著者
A・G・ラフリー ロジャー・L・マーティン 酒井泰介(訳)
出版社
朝日新聞出版 出版社ページへ
定価
1,944円
出版日
2013年09月30日
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