金持ち脳と貧乏脳

脳とお金のただならぬ関係
未読
金持ち脳と貧乏脳
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脳とお金のただならぬ関係
未読
金持ち脳と貧乏脳
出版社
総合法令出版
出版日
2013年11月21日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書(金持ち脳と貧乏脳)は脳科学の専門家として知名度が高い茂木健一郎氏による、脳とお金の関係をまとめた本である。著者は、「脳」と「お金に関する行動」はとても深い関係にあり、人には、「お金持ちや成功者に共通する脳の使い方(金持ち脳)」と、「お金がなかなか貯まらない貧乏な人の脳の使い方(貧乏脳)」があるとし、本書において、その解説を行っている。

本書は、金持ち脳、貧乏脳の説明だけではなく、それらを踏まえて、「どのような脳の使い方をすれば豊かになれるのか、貧乏脳から脱却し、金持ち脳の持ち主になれるのか」を意識して展開されているため、実際の我々の生活の中でも応用性が高い。また、例えば、「なぜ人は貯金をするのか」といった問いに対して、「脳による、未来に投資をするという楽観主義、及び、不確実性なものを受け入れるバランスを保つため」と答えるなど、脳科学の分析に基づく回答がなされている。そのため、今までなんとなくそうだろうと思っていたことが、学問的な観点から説明されることでより理解しやすく、納得できるようになる点も本書の優れているポイントだと考えられる。

著者情報にも書かれている通り、非常に著作数が多い著者でもあり、多様なジャンルの本が出版されている。脳科学の世界は深遠なる謎とロマンに満ちた領域であるので、本書及び本分野に興味を持たれた方は、是非実際に手に取ってみてお読みいただきたい。

著者

茂木 健一郎
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。
理学博士。脳科学者。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授。
専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
主な著書に『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『ひらめき脳』(新潮社)、『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)、『挑戦する脳』(集英社新書)、『脳を最高に活かせる人の朝時間』(すばる舎)、『脳が冴える快眠法』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    金持ち脳とは、お金を増やすことを考えている脳であり、貧乏脳とは、ただお金を使うことだけしか考えていない脳である。貧乏脳の持ち主は、何よりも先に自己欲求を満たすことを優先してしまう。
  • 要点
    2
    リスクテイクのスケール感は、その人の経験によって大きく異なる。そして、ここがお金持ちと貧乏人の間にある、決定的な脳の使い方の違いのポイントとなる。
  • 要点
    3
    お金持ちに共通する脳の使い方は、「動かざること山のごとし」である。お金を出すときと出さないときのメリハリがしっかりしており、そのメリハリを判断する脳の「危険シグナル」が発達している。

要約

【必読ポイント!】 誰も知らなかった脳とお金のただならぬ関係

tang90246/iStock/Thinkstock
金持ち脳と貧乏脳の決定的な違い

脳とお金という関係を考えたとき、お金持ちや成功者に共通する脳の使い方と、お金がなかなか貯まらない貧乏な人の脳の使い方に分類することができる。簡単に言えば、金持ち脳とは「お金を増やすことを考えている脳」であり、貧乏脳とは「ただお金を使うことだけしか考えていない脳」である。

もし、自分が現在貧乏脳であったとしても、これからでも自分を変えていくことができる。なぜならば、金持ち脳・貧乏脳というものは、生まれ持った素質や才能ではないからだ。つまり、普段の生活でちょっとしたことを改善していくだけで、誰でも金持ち脳に変わっていけるのである。

「10年後をしっかりと見据えて、いかに自分の価値を高めていくことができるか」を考えるのが金持ち脳の思考法である。そこで、金持ち脳をつくる最初のトレーニングとして、まずは10年後にどのような自分になっていたいか、どのくらいのお金を稼ぎたいかを考えてみるとよいと著者はいう。

著者の研究によると、リスクテイクのスケール感は、その人の経験によって大きく異なるのだそうだ。お金持ちと貧乏人の間にある、決定的な脳の使い方の違いのポイントはリスクテイクの経験値にある。お金持ちになった人は、数々の修羅場やリスクを経験しつつ、ピンチをチャンスに変えてきた人たちである。その一方で、貧乏な人というのは、うまくリスクテイクができず、修羅場を潜り抜けられず借金をしてしまったり、投資に失敗してしまうような人たちと言える。つまり、確実性と不確実性を計算しながらリスクテイクをしっかりと考えられるかどうかが大きな違いを生むのだ。

人間の経済活動は脳がすべて支配している

ollaweila/iStock/Thinkstock
お金とは脳にとっての抽象的な報酬

脳は基本的に、自分にとってうれしいものを報酬として捉え、その報酬をより得られるような行動を学習するという性質がある。

「食べ物」や「異性」などの報酬は、脳科学の世界では「具体的な報酬」と呼び、「お金」、「社会における評判」、「誰かに認められるといった評価」を「抽象的な報酬」と呼ぶ。そして、現在の脳科学では、「具体的な報酬」の他に、「抽象的な報酬」に対しても、脳が喜びや快感を得て、ドーパミンのような報酬系の神経伝達物質を出すことがわかっている。

一方、ある調査によれば、自分の収入が10%上がったとしても、それによって幸せだと感じる人は意外に少ないとのことである。お金と幸せの関係性は過去に研究されてきた分野であり、一般的には金銭的に豊かな人は貧しい人よりも幸せかもしれないが、脳科学的な見地でいえば、経済的に豊かな人が貧しい人よりも幸福度が高いとは限らないと言える。

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要約公開日 2014.05.29
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