
飲み会はビジネスチャンスの宝庫!
忘年会・新年会シーズンがやってきました! 顧客や取引先の方々と会食する機会も増えるこの季節、今年は“ただの飲み会”をビジネスチャンスに変えてみませんか? 本記事では『ビジネス会食の技術: 仕事で結果を出す人は「飲み会」で何をしているのか?』(三笠書房)の著者・戸賀敬城さんが、仕事の勝率を上げる会食のノウハウをお伝えします。
ライター・戸賀敬城
私は2007年から10年間、『MEN’S CLUB』(ハースト婦人画報社)という男性ファッション誌の編集長を務めていました。雑誌不況のなか、編集長に就任してから同誌の改革に取り組み、そのポジションを退くまでに売上を倍増させ、右肩上がりの成長を実現することができました。
そんな私にとって、雑誌の誌面をつくることと同じくらい重要な仕事がありました。
夜の飲み会と昼のランチタイムを最大限に活用することです。
当時の私は、自宅で食事をとるとき以外、ほぼ毎日、仕事に関連した会食をスケジュールに組み込んでいました。
1年間365日のうち最大364日は仕事がらみの会食をしていたと言っても過言ではありません(妻の誕生日だけは、なんとか予定を空けるようにしていました)。
そして、独立した現在も当時と同じように、平日は毎日、会食をしています。
なぜ、そんなに会食の予定を入れているのか。
それは、会食が仕事の結果を大きく左右するからです。

みなさんの仕事でもそうであるように、仕事はあくまで、「中身の質」が重要です。
「どれだけ魅力的な商品・サービスか」「お客様にとってお金を出す価値があるものを提供できるか」が問われます。
私が現在おこなっているメディアの仕事も、コンサルティングの仕事も、どれだけ読者・クライアントを満足させる企画を提案できるか、そしてクライアントにお金を出したいと思ってもらえるかにかかっています。そのための努力を怠ることは許されません。
しかし、「仕事の中身」がどんなに優れていても、望むような結果が出ないこともあるのが現実です。プレゼンの場でお客様に企画を評価されても契約に至らないこともありますし、コミュニケーション不足によるボタンのかけ違いで、相手の信頼を得られないこともあります。「企画には自信があったのに……」と悔しい思いをした経験を持つ人は少なくないでしょう。
残念ながら、「仕事の中身だけ」では、勝負にならないこともあるのです。しかし、勝率を高める方法はあります。それが、飲み会などを通じた会食の場なのです。

それでは、具体的にどのようにすれば、結果にコミットすることができるのでしょうか?
『MEN’S CLUB』編集長時代から現在までの会食の経験から導き出したマイルールを、ここでほんの一部だけご紹介しましょう。
まず、「高級店に連れていけば、すべてうまくいく」という考えは間違いです。たしかに、1人2万〜3万円もするような高級店であれば、料理もサービスも一流でしょう。しかし、飲み会の目的を考えれば、単価が高ければ正解とは限りません。
自分のプレゼンスを上げると同時に、相手との距離感をつめて、結果につなげる。これが飲み会のおもな目的です。
高級店を予約したことで満足し、あぐらをかいているようでは、これらの目的を達成することはできません。「飲み会で自分がどのように振る舞い、何を伝えるか」が重要なのです。また、高級店を選ぶと相手に余計なプレッシャーをかけることにもなります。「大変なお願いごとをされたら困るなあ」と身構えさせてしまっては、かえって不利な状況に陥ります。
飲み会のお店は高級店でなくてもかまいません。
関係が深くていつもお世話になっている相手であれば、10回に1回くらいは感謝の気持ちを込めて高級店でもてなすという心遣いは大切です。しかし、普段の飲み会で使うお店は、まったく背伸びをする必要はありません。
実際、私が普段使っているお店は、1人あたり4000〜8000円の価格帯が中心。1万円を超えるようなお店はめったに使いません。そもそも会社の経費を使っているのですから、費用対効果を意識した飲み方が求められるのは当然です(ちなみに、私が勤めていた会社は外資系なので、経費の使い方は厳しく問われました)。
ねらい目は、箸で食べられる和食割烹(かっぽう)の比較的新しいお店。有名店で修業した板前さんが独立して初めて出した、カウンター席といくつかのテーブル席があるような小規模な店舗……そんなイメージです。老舗や有名店ではないので、料金も比較的リーズナブルです。

割烹料理店は、たいてい雰囲気も落ち着いているので、仕事の飲み会には適しています。
また、カウンター席が中心のお店は、お客様から調理風景が丸見えなので、少なくともレンジでチンしたり、手抜きをしたりしません。むしろ一般的なお店にはないようなこだわりのメニューを出してくれる可能性が高いといえます。
仕事の緊張感から少し離れ、お客様と他愛もない会話を楽しむ。こうしてお互いに心を開いて打ち解けるのも飲み会の大切な目的です。しかし、結果を出す人は、「とりとめもない会話をして楽しく過ごせれば十分」とは考えません。飲み会は「舞台」ですから、言うべきセリフまで用意してから本番に臨んでいます。
たとえば、広告を出してくれる可能性のあるクライアントを飲み会に誘ったとします。こちらのメンバーは、編集長である私とクライアントを連れてきた広告営業の担当者。クライアントは、雑誌に広告を出すか迷っています。
このような状況のとき、私は広告営業の担当者と次のようなやりとりをします。
戸賀「(お客様のご予算ですと)2ページを使って商品を紹介しましょうか」
営業「 ちょっと待ってください。編集長は2ページと申しておりますが、私のほうで編集長を口説いて3ページにさせます」
戸賀「おい、ちょっと勝手なことを言うな!」
営業「編集長、あとで相談に乗ってください」
「この広告予算では2ページしかとれない」と言う私を、身内である営業担当が「なんとか3ページにならないか」と説得している構図です。
勝手なことを言う営業担当に対して、私は少し慌てた様子で「勝手なことを言うな!」と怒ったりもします。すると、飲み会の席には少し緊張が走り、クライアントの中には、逆に「まあまあ」と仲介に入ってくださる方もいます。
しかし、これらはすべて営業担当と事前に打ち合わせ済みの会話です。「俺がこう言ったら、こう言い返せ」「ここのセリフは大事だから、少し大きな声で強調しろ」と、ちょっとした“演技指導”もします。
つまり、飲み会は「舞台」であり、会話には「台本」が存在しているのです。

こうしたやりとりを見せられたクライアントは、どう思うでしょうか。
多くの人は、広告営業の担当者に対して「この営業担当は、私たち(クライアント)のために編集長に怒られるのを承知で説得してくれている。仕事熱心な人だ」といった好印象を抱くはずです。会議室でこんな芝居を打ったら不自然ですが、お酒の席では、このくらい芝居がかっていても案外平気ですし、かえってドラマチックに映ります。
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いかがでしょうか。
「ここまでしないといけないのか!」と思う人もいるかもしれません。たしかに、多少極端な例かもしれませんが、飲み会は、結果につながらなければ意味がありません。
会食は、相手から“YES”を引き出す(お金をいただく)ためのひと押しとして必要なもの。
仕事柄、優秀なビジネスパーソンとお付き合いする機会が多いですが、結果を出す人ほど「仕事の中身」以外の部分、つまり、会食などを通じたコミュニケーションの場を戦略的に活用しています。
ワイワイガヤガヤと飲み会をやって、「盛り上がってよかったね」と満足するのではなく、結果を出すためのプレゼンテーションの場という前提で臨んでいるのです。
戸賀敬城(とが ひろくに)
1967年東京生まれ。編集者。オフィス戸賀代表。
オンラインメディア『J PRIME』編集長、『B.R.ONLINE』顧問を務めるほか、様々なブランドのアンバサダーやコンサルタントとして活動する。
2007年から10年ほど男性ファッション誌『MEN'S CLUB』編集長を務め、雑誌不況のなか売り上げをV字回復。定期購読者も約8000人と、他の雑誌ではあり得ない強固な会員組織を作り上げた。
ビジネス/プライベートの様子を日々発信しているブログ『トガブロ。』も人気。華やかなライフスタイルとキャラクターが注目を集め、月間平均100万PVを誇る。
1年365日中、max364日は仕事の会食で予定が埋まっており、山手線の駅ひとつにつき1店は、会食に使う店リストを持つ。
主な著書に、『結果を出す男はなぜ「服」にこだわるのか?』(集英社)など。