
新入社員がまず覚えたい基本のコミュニケーションスキル
4月から新生活が始まり、いろんな方との新しい出会いが続くことでしょう。そんな場面では雑談が求められることも多いのですが、じつは「雑談が苦手」という方も少なくないと思います。
本記事では、リクルートで累計40回以上の営業表彰を受け、現在は研修講師として多忙な日々を送る『すぐに結果を出す新入社員は、「これ」だけやっている』(秀和システム)の著者・伊庭正康さんに、誰とでも話せる雑談のコツをお話していただきます。
ライター・伊庭正康
研修講師をしていると、多くの方から「雑談が苦手」といった声を聞きます。
でも、それほど気にしないでください。問題ありません。実は、雑談には法則があるからです。
雑談の法則は、この3つ。
①「話す」より「聞く」に徹する(7:3の法則)
②相手が、「答えやすい内容」から聞く
③「こと(出来事)」だけではなく、「心(意見や感想)」に関心を示す
では、具体的な方法を紹介します。

上司やお客様との会話をする際、ムリに話そうとして、空回りをしてしまう不安はないでしょうか。
大丈夫です。
「聞き役」に徹することで、解消できます。
会話の理想は、相手が〝7割話す"が鉄則です。
ハーバード大学心理学部のジェーソン・ミッチェル氏の「聞くことの効果」を示した研究を紹介しましょう。
2012年に発表し、注目された有名な研究です。
「fMRI(磁気共鳴機能画像法)を用いたところ、自分の感情や考えなどを他者に伝える『自己開示』によって、脳内の3つの部分が活性化されることが判明。1つは意欲と関係している内側前頭前皮質、あと2つは快楽物質ドーパミンに関連する側坐核と腹側被蓋野(VTA)。意外にも、食べ物やお金を得られるときの満足感や快感と関係している部分と一致した」というのです。
つまり、人は、自分の話を聞いてもらっているときには、おいしい料理を食べているときと同じような満足感を得るというのですから、聞き手に回らない手はないでしょう。

だからといって、答えにくい質問をしてしまうと、気まずい空気になってしまいます。2つ目の鉄則は「答えやすい内容から質問をする」です。
具体的には次の2つ。
鉄則1 「未来のこと」より「今や過去のこと」のほうが答えやすい
鉄則2 「意見や感想」より「事実」のほうが答えやすい
この鉄則を覚えておくと、会話がとても楽になります。
一例だとこんな感じです。
「最近、お忙しいですか?」
「どんなことでお忙しいのですか?」
「いつからお忙しいのですか?」
などと、現在と過去を聞くといいでしょう。
最初は、出来事などの「事実」を聞くのがお勧めです。
でも、それだけでは取材のようになってしまうので、「意見や感想」に話題をずらします。
「伺ってよろしいでしょうか? リモートワークは便利とも言われていますが、〇〇様はどう思われますか?」など、相手の考えを聞くと会話は深まります。

最後に「未来」のことも聞いてみてください。
「これから、どうなりそうですか?」「どうなるのが、いいのでしょうか?」と。
もっとも答えにくいのが未来の話題。この会話ができると、より深い雑談ができるようになります。
最後のコツは「何に関心を示すか」です。
具体的には、「訊く」と「聴く」をセットで質問するのがセオリー。「訊く」とは、こちらが知りたいことを「訊く(訊ねる)」ことを指し、「聴く」とは、相手が〝どう思っているのか、どう考えているのか" といったように、相手の心を聴くことを指します。
知りたいことを訊くだけでなく、そのことをどう思っているのか、どうしたいのかなど、どう考えているのかをセットで聴くことで、さらにお互いの距離は縮まるはずです。

まとめましょう。
雑談ができることは、ビジネスパーソンとしてのアドバンテージになります。本を読むのも勉強になるよう、やはり人との会話で教わることはたくさんあります。
そして、仕事の質は人間関係に大きく影響を受けることが多いもの。
ぜひ、重要なスキルとして、誰とでも打ち解けられるようにしておきましょう。雑談の法則を知れば、人見知りであっても、口ベタであっても、スグうまくなります。
伊庭正康(いば まさやす)
1969年、京都府生まれ。1991年リクルートグループ(求人情報事業)入社。もともとは、体力勝負の残業常習者だったが、独自のタイムマネジメント術をあみ出したことで、残業せずに短時間で結果を出せる方法を発見。リクルートの年間トップ表彰(営業部門)を4回、累計40回以上の営業表彰を受ける。営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任し、2011年らしさラボを設立。年間200回を超えるセッション(研修、講演、コーチング等)を行い、そのリピート率は9割を超える。主なテーマは、営業力向上、リーダーシップ向上、タイムマネジメント力の向上など。YouTube、Voicy、Udemyでもビジネススキルの情報を発信。
著書に『できるリーダーは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『できるリーダーは「教えない」』(大和書房)など多数。