flier_logo
flierで要約を利用するための無料会員登録を案内するバナー新刊からベストセラーまで4000冊の要約を利用できる、flierの無料会員登録促進バナー

つらい肩こりが簡単に消える驚きの方法
なぜ「1分うちわをあおぐ」だけで肩こりが改善するのか?

ライター画像
歌島大輔
つらい肩こりが簡単に消える驚きの方法

つらい肩こりにはどう対処したらいいでしょうか。なかなか痛みが解消せず、整体院などでマッサージを受けている人が少なくないかもしれません。また、つらくても「肩こりくらい我慢しよう」と放置している人も多いと思います。 本記事では『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法』(Gakken)の著者で、肩専門の整形外科医として数多くの診療や手術にあたっている歌島大輔さんが、自宅で簡単にできる肩こり解消法をお伝えします。

肩こりを放置すると「生活の質」が下がる?

さまざまな疾患がある中で、最も有訴者率(症状のある人の割合)が高いのは何でしょう? それは肩こり。2019年の「国民生活基礎調査」によると、女性で1位、男性で2位と発表されています(厚生労働省調べ)。

日本人の国民病ともいえる肩こりですが、有訴者数が多いのは、動けないような重い症状ではなく比較的軽い症状が中心なので、痛みがあっても放置している人が多いという理由があります。実際、「肩こりくらい我慢しよう」という方が多いですよね。

しかし、じつは肩こりがある人は、ない人に比べて「QOL (Quality of life=生活の質)が低い」という研究結果があります(*1)。肩こりを放置した結果、生活の質が下がっている可能性があるのです。

たとえば、肩こりは身体のほかの部位の痛みにもつながります。上記の研究では、「肩こりがない人」の中で「腰痛がある人」の割合は30.7%でしたが、逆に「肩こりがある人」を対象にすると「腰痛がある人」は44.4%と高くなります。

また、「肩こりがない人」の中で五十肩(四十肩)や腱板断裂(けんばんだんれつ)などによる「肩関節の痛みがある人」の割合は22.2%であるのに対し、「肩こりがある人」を対象にすると「肩関節の痛みがある人」は40.7%になると報告されています。

DINphotogallery /gettyimages

このデータからいえるのは、肩こりを放置すると、身体のほかの部位に悪影響をおよぼすだけでなく、肩こりよりつらい五十肩や腱板断裂などの肩関節の痛みにもつながりかねないということです。

つまり、生活の質を高めたい(=身体が元気で好きなことができて、家族やパートナーや友人と楽しく人生を過ごしたい)ならば、肩こりを放置すべきではないのです。

肩こりの正体

肩こりのつらさをご経験の方ならおわかりかと思いますが、言葉で表現するのがなかなか難しい痛みですよね。「張っている」「重苦しい」「だるい」「おもりが載っているみたい」などなど、患者さんの訴えもさまざまです。

また、首や肩を動かしたときに痛みを感じる人もいれば、逆に首や肩をしばらく動かさずに同じ姿勢を続けていると痛みが増すという人もいます。

このように、痛みの感じ方は人それぞれですが、じつは肩こりのほとんどは「肩まわりの筋肉(肩甲骨周囲筋)の緊張」が原因で起こります。この「筋肉の緊張」こそが「肩がこっている」という感覚の正体です。

肩こりの人を調べた研究では、肩まわりの筋肉の中でも僧帽筋(そうぼうきん)が通常より硬くなっていることが報告されています(*1)。僧帽筋とは背中・首から肩にかけて伸びている大きな筋肉で、「肩がこった……」というとき、皆さんが痛みを感じるゾーンにあります。

Itakayuki/gettyimages

ちなみに、「肩というより首こりがつらい」という方がいらっしゃいますが、端的にいうと、「肩こりと首こりは基本的には同じ」です。首こりも肩こり同様、肩まわりの筋肉の緊張によって起こります。

原因が同じならば対処法も基本的には一緒なので、首こりがつらいという方も、ぜひ続きをお読みください。

「筋肉の緊張」の原因

一般に、多くの病気は年齢が高くなると、その発症率も高くなります。それは老化(加齢性の変化)が関係しているためです。

しかし、肩こりは20代後半~30代にもっとも多く、そこから年齢が上がるにつれて、肩こりがある人の割合が少しずつ減っていくという調査結果が報告されています(*2)。つまり、肩こりは老化の影響が小さいといえるかもしれません(ただし、同じ肩の痛みでも、五十肩や腱板断裂については加齢性の変化が影響します)。

では、肩こりの発症に何が大きく関係するのか? それはストレスです。なぜなら、ストレスは筋肉を緊張させる原因のひとつだからです。

就業時間の平均を年代別に見ると、女性は20~30代がもっとも長時間労働の割合が高く、男性は30~40代が多くなっています(総務省の労働力調査より)。この就業時間の長さが、一般的にストレスを増やす要因のひとつと考えられています。

20代後半~30代に肩こりが多いのは、この「ストレスが増えやすい=筋肉の緊張を生みやすい労働環境」が大きな要因になっているのです。

VioletaStoimenova/gettyimages

とはいえ、「ストレスを減らせば肩こりは改善できるんだ」とわかったところで、ご自身の働く環境を変えることなんて、そう簡単にはできませんよね。

肩こりや肩関節の痛みに「うちわあおぎ」が効く

肩こりを改善するには、どうしたらいいのでしょうか。

肩こりがつらくなると、痛み止め(消炎鎮痛剤)を使ったり、マッサージを受けたりする人が多いと思います。しかし、どちらも一時的には楽になるかもしれませんが、根本的な改善とはいえません。

肩こりの根本的な改善を目指すのであれば、筋収縮をともなった運動(体操)を行い、筋肉のコンディションや姿勢を改善していくことが大切です。その結果、筋肉の余計な緊張がゆるんで症状が軽減していきます。

ただし、普段から運動する習慣のない人には、運動をすることも、それを続けるのも、なかなかハードルが高いと思います。

そこでおすすめしたいのが、「1分うちわあおぎ」です。「うちわであおぐだけで肩こりがよくなるの?」と疑われた方もいらっしゃるかもしれません。筋収縮をともなう運動といえば、腕立て伏せやベンチプレスといったトレーニングをイメージしますよね。でも、肩の痛みを抱える人にとっては、強い負荷の筋トレではなく、「うちわあおぎ」のような弱い負荷の運動が正解なのです。

そして、私がおすすめする「うちわあおぎ」は、普通のうちわの持ち方・あおぎ方とはちょっと違います。下のイラストをご参照ください。この「うちわあおぎ」は、うちわを手ではさむように持ち、肘(ひじ)を約90度に曲げて、手首を動かさずにあおぎます。すると肩関節を中心に腕が回旋運動します。この「回旋」がポイントです。2015年の研究で、「うちわあおぎ」のような回旋動作で肩甲骨周囲筋(肩回りの筋肉)が働いていることが示されています(*3)。つまり、「うちわあおぎ」によって、僧帽筋をはじめとする肩まわりの筋肉に適度な刺激が加わるのです。

自宅でもオフィスでもやりやすい! 椅子に座って行う「基本のうちわあおぎ」(Gakken提供)
就寝前や起床後におすすめ! 寝て行う「肩こりに効くうちわあおぎ」(Gakken提供)

うちわをあおぐだけなので動きがとても簡単ですし、続けやすいというのも大きなポイントです。うちわがなければ、扇子やクリアファイルでもできます。

また、「うちわあおぎ」のような回旋運動は、肩のインナーマッスル(深層筋)にも刺激が加わるという研究結果があります(*4)。肩のインナーマッスルは肩関節を守るためにとても重要な筋肉なので、「うちわあおぎ」は五十肩や腱板断裂の予防・痛みの改善にも有効です。

まずは騙されたと思って、1日1分、うちわをあおいでみてください。

肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法: 名医が教える痛みの正体と治し方
肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法: 名医が教える痛みの正体と治し方
歌島大輔
Gakken
本の購入はこちら
肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法: 名医が教える痛みの正体と治し方
肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法: 名医が教える痛みの正体と治し方
著者
歌島大輔
出版社
Gakken
本の購入はこちら

【本稿の参考文献・論文】

(*1)矢吹 省司「肩こりの病態―対照群との比較を中心に」.『臨床整形外科』(2007)

(*2)高澤英嗣, 山本敦史 & 大沢敏久.「一般住民における肩こりの疫学」.『臨床整形外科 45, 821–825』(2010)

(*3)Alizadehkhaiyat, O., Hawkes, D. H., Kemp, G. J. & Frostick, S. P. Electromyographic Analysis of the Shoulder Girdle Musculature During External Rotation Exercises. Orthop. J Sports Med. 3, 2325967115613988 (2015)

(*4)Reinold, M. M. et al. Electromyographic analysis of the rotator cuff and deltoid musculature during common shoulder external rotation exercises. J. Orthop. Sports Phys. Ther. 34, 385–394 (2004)

歌島大輔(うたしま だいすけ)

整形外科専門医

日本整形外科学会認定スポーツ医

専門領域:肩関節、肩関節鏡手術、スポーツ医学

1981年生まれ。広島県出身(茨城県育ち)。山形大学医学部卒業。プロ野球選手を夢見て、夢破れた野球少年が「医学を究めて、怪我や病気に負けずにやりたいことやり続けられる方法を確立する」と決意。フリーランスの整形外科医となり、複数の病院で日本全国から来院する患者の診療・手術を行っている。とくに肩関節鏡手術数においては年間約350件と全国トップクラス。日々の診療・手術のかたわら、YouTubeやSNSでの健康情報発信やオンライン講座なども積極的に展開しており、YouTubeのチャンネル登録者数は18万人を超える。

YouTube

https://www.youtube.com/@d.utashima

公式HP

https://utashima.com/

公開日:2024/05/27