
会話で絶対言ってはいけない「NGワード」とは?
書店には”話し方”の本が溢れていますが、人は誰でも自分の話を聞いてもらいたいもの。 “聞く力”を磨くことは、あなたの武器になるのです。 本記事では、『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』(朝日新聞出版)の著者で、「渋谷109」の元カリスマ店員から有名週刊誌の記者に転身した異色の経歴を持つ山田千穂さんが、“聞く力”を磨く効果や会話でのNGワードについてお伝えします。
ライター・山田千穂
渋谷109で販売員をしていた当時、お客さまにこんな質問をよくいただきました。
「同じ洋服はどこにありますか? 着心地はどうですか?」
「髪の毛はなんのコテを使って巻いていますか?」
「口紅は何を使っていますか?」
お客さまが自分に興味を持って近づいて来てくれては、さまざまなことを聞いてくれたので、そこを糸口に、お客さまの本心を聞き出すことができました。

その後、週刊誌の記者に転身してからは、こちらから近づき、相手が聞かれたくないことや話したくないことを引き出す力が求められました。上司からは、
「タレントAが事務所を独立した真意を聞いてきくれ」
「おしどり夫婦のBとCが離婚間近。別居しているらしいが真偽を確かめてきてくれ」
と、定かではない一行情報の真偽を確かめたり、本人しか知り得ない真意を聞くことが求められました。
最初はあまりに単刀直入に問いかけたり、相手のペースに飲まれたり、また怒鳴られて出直したりと失敗ばかりでした。
人と接して相手の本心をつかもうとする点は同じであっても、好意的に会話をしてくれる接客業と、嫌悪感を示される記者業では、対話の入口が全く異なりました。
それでも、失敗を重ねるうちに、少しずつ話を聞き出せるようになっていきました。
「あ、今日は足を止めてもらえた」
「少し世間話に応じてもらえた」

その度に、自分なりに研究し、レポートにまとめていきました。何が相手の足を止めさせたのか、笑顔にできたのか、世間話に応じてもらえたのか。
先輩記者に同行させてもらったときには、真似したい点と、真似はできないけれど、相手の話を引き出すきっかけになったことなど細かに書いていきました。
そうして少しずつ「あなたになら話すよ」と言われるようになっていったのです。
取材では、失敗もたくさん経験しました。たとえば取材が始まって間もなく、つい、口走った一言で相手をげんなりさせてしまったことがあります。
そのNGワードが、「知っています!」です。

会話で無意識に発している方も多いのではないでしょうか。たとえばあなたが気持ちよく話し始めたことに対し、途中で「知っています!」と遮られたらどんな気持ちでしょうか。
「なんだ、知っているのか。じゃあ、この話はしなくてもいいや」と思いませんか?
知っている話でも最後まで聞くことで、異なる視点が見えてきたり、自分の認識が間違っていたといった、新たな気づきがあったりします。また、実際に体験している人の話を聞くことと、情報として単に知っているのとでは、厚みも全く違います。
本当は知っていることを、知らない体で聞くことは、ちょっと「ずるい」テクニックかもしれません。ただ、このずるさは、相手を陥れたり負かしたりしようとするのではなく、相手への敬意があってこその裏ワザです。
こちらの知りたいことも聞きつつ、相手は「つい話してしまった!」 と思っても、むしろ「話せてよかった」という後味を残せるようなコミュニケーション術。それを「ずるい聞き方」と呼んでいます。
より良いコミュニケーションは、「聞き方」を磨くことで生み出せるのです。
山田千穂(やまだ ちほ)
記者。埼玉県川口市出身。1988年生まれ。『週刊ポスト』『女性セブン』で記者を約10年経験。芸能、事件、健康等の記事を担当。取材で、聞く力、洞察力、コミュ力を磨く。3000人以上に取材。直撃取材、潜入取材を得意とする。 大学在学中は渋谷109で販売員としてアルバイトをし、お正月セール時には1日最高500万円を売り上げる。