flier_logo
flierで要約を利用するための無料会員登録を案内するバナー新刊からベストセラーまで4000冊の要約を利用できる、flierの無料会員登録促進バナー

コンプレックスを味方にする方法
弱点や欠点があるから強くなれる!

コンプレックスを味方にする方法

誰にでもコンプレックスはあり、多かれ少なかれ悩みを抱えていることでしょう。では、どうしたらその悩みを軽くできるでしょうか? 本記事では『自分を動かす魔法:10代で身につけたい、一生きみを助ける「本物のプラス思考」』(三笠書房)の著者・齋藤孝さんが、「コンプレックスを味方にする方法」をお伝えします。

コンプレックスは味方にできる

人によって抱くコンプレックスはさまざま。顔立ちや体形などの見た目だけではなく、学校の勉強ができないとか、運動神経がよくない、うまくしゃべれない、モテない……誰もが何かしらのコンプレックスを感じているようです。

でも、この世のなかに完ぺきな人間などいないのですから、探せばどこか「人より劣っているかも」と思うようなことは見つかって当然です。それなのに、そのことに引きずられて、思い悩む時間が増えてしまうのは非常にもったいないことだと思います。

そこでぼくからの提案。

「コンプレックスを軽くとらえてみる」

コンプレックスは、大人でも「ひとりで抱え込んで悩んでいる」人は多いように思います。自分の弱点や欠点、劣っている点などは、まわりの人に知られたくないという気持ちがあるからでしょう。

裏を返せばそれは、自分のコンプレックスを重くとらえすぎているということです。人より劣っていることや苦手なことは、誰にでも「あるもの」なのですから、もっと軽く考えましょう。

大丈夫。練習すればできます。

《グループワーク》「コンプレックス話」レース

3〜4人一組のグループをつくり、それぞれが順番に自分がコンプレックスに感じていることを明るく話す、というワークです。

あらかじめいくつかの話を準備しておきます。それを制限時間30秒で話します。

たとえば、

「私は足が遅いのがコンプレックスです。運動会の徒競走ではいつもビリか、ビリから2番目で、とてもはずかしい思いをしています。歩くのは速いのですが。速く走るコツがあったら、教えてほしいです」

「私は忘れ物が多くて、母や先生からよく叱られます。記憶力が悪いのかもしれませんが、いいこともあります。いやなことがあってもすぐ忘れます」

といった具合に話していきます。

mediaphotos/gettyimages

実際、授業で大学生にこのワークをやってもらったことがあります。それでわかったのは、みんなで“コンプレックス話“をぐるぐる回すうちに、だんだんネタ(コンプレックス)がなくなってくることです。わずか4、5周で、「あれ、あと何がコンプレックスだったっけ?」という感じになりました。

このグループワークに参加した学生からは、「自分のコンプレックスがたいした悩みではないとわかった」という声がたくさん聞かれました。

また、グループで行なうので、クラスメートが意外なことをコンプレックスに思っていたことがわかったり、自分の弱点や欠点も明るく短く話せば、仲よくなるきっかけになったりするんだという気づきも得られたようです。

つまり、コンプレックスというものは誰にでもある。でも、それを気にならないようにすることはできるということです。

弱点や欠点があるから強くなれる

コンプレックスがあることは、けっして悪いことではありません。どうとらえるかの問題です。「悩みのたね」と考えてしまうと、自分に自信がなくなったりして、いいことは何もありません。

PeopleImages/gettyimages

けれども「エネルギーのもと」ととらえると、その価値が180度変わります。そうなると、自分を成長させるうえでコンプレックスほど大事なものはないといっていいくらいです。

現実に、コンプレックスをエネルギーに変えて成功した人はたくさんいます。

たとえば、バスケットボールでめざましい活躍をしている河村勇輝選手と富樫勇樹選手。NBAでは身長2メートル級の選手が多いなか、河村選手は172センチ、富樫選手は167センチです。

けれども、日本を代表する司令塔”Wユウキ”の活躍を見ていると、ほかの選手より背が低いことはマイナス要素どころか、強みでさえあるとわかります。

2人を漫画 『スラムダンク』(井上雄彦、集英社)の登場人物にたとえるなら、小柄だけれどスピードが持ち味の宮城リョータでしょうか。

タッパだけで、バスケができると思うんじゃねえぞ!

ドリブルこそ、チビが生きる道なんだよ!

リョータのこの言葉はそのまま、コンプレックスがエネルギーのもとになることを示しています。

bernardbodo/gettyimages

また、俳優の高橋英樹さんは、低音が響くとても魅力的な声をしています。あるとき「いいお声ですね」といったら、意外な答えが返ってきました。

「もともとはすごく高くて、あまりいい声ではなかったんです。練習して、練習して、低い声を手に入れました」

時代劇のヒーローを演じるには、高い声より低い声のほうがはまります。高い声の高橋さんにとっては不利です。でも、そこであきらめることなく、声を低くする練習を重ねたからこそ、時代劇俳優として成長したのだと推察します。

練習は裏切らないし、練習して身についたワザは“一生もの”です。コンプレックスがあったからこそ、手に入れられる財産です。

「真善美」をめざして生きる

いまの時代、見た目コンプレックスの悩みは大きいと書きましたが、中高生は、小学生のころよりも「自分が人からどう見られているか」ということが気になってくる年代です。そのことばかり考えてしまう人も少なくありません。

「自分はそういう“人の目を気にしたりする世界”とは違う世界で生きる」と思えればいいのですが、中高生でそう思える人はなかなかいないかもしれません。

ぼくが中学を卒業したとき、卒業生全員が学校から記念の盾をもらいました。そこに書かれていたのが、

「真善美」

という三文字です。

「真」とは、「真実」──正しいことを知り、正しいことを行なうことです。

「善」とは、社会でなすべき「善い行ない」を意味します。

「美」とは、本質的な美しさを感じとる「豊かな心」を持つことです。

これらは3つまとめて、人間の理想的な価値の基準を指すもの。いいかえれば、「人が本来、求めてやまない価値」──それが真善美だということです。

古今東西の哲学者たちも真善美を哲学の大本とし、最高の価値として追求しました。そこに情熱を注いで生きることが、人生を豊かに生きるということでもあるのです。

ぼくが通った中学は、「真善美を求めて生きていきなさい」というメッセージを、卒業生に贈る盾にこめたのでしょう。

i Mazda/gettyimages

京セラの創業者である稲盛和夫さんも、著書『生き方』(サンマーク出版)のなかでこういっています。

人間は真・善・美にあこがれずにはいられない存在ですが、

それは、心のまん中にその真・善・美そのものを備えた、

すばらしい真我があるからにほかなりません。

あらかじめ心の中に備えられているものであるから、

私たちはそれを求めてやまないのです。

稲盛さんは得度を受け、仏門に入った人物です。「私たち人間は本来、一点の曇りもない美しい心を備えている」という仏教の教えを、このように表現されたのでしょう。

その「美しい心」を具体的に表現したのが「真善美」。それを求めて生きると、「自分をよく見せる」という発想がなくなります。うわべを飾ったりすることに価値がないと思えるからです。

当然、コンプレックスとも正しくつき合えるようになります。「ここが劣っている、あそこが劣っている」と落ちこんでいるヒマがあったら「自分を磨こう」という気持ちになるのです。

「本当のいいことって何だろう?」と考えながら生きることが、「真善美」を求める生き方に通じる。ぼくはそう思います。

自分を動かす魔法: 10代で身につけたい、一生きみを助ける「本物のプラス思考」 (単行本)
自分を動かす魔法: 10代で身につけたい、一生きみを助ける「本物のプラス思考」 (単行本)
齋藤孝
三笠書房
本の購入はこちら
自分を動かす魔法: 10代で身につけたい、一生きみを助ける「本物のプラス思考」 (単行本)
自分を動かす魔法: 10代で身につけたい、一生きみを助ける「本物のプラス思考」 (単行本)
著者
齋藤孝
出版社
三笠書房
本の購入はこちら

齋藤孝(さいとう たかし)

1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。

ベストセラーとなった『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞受賞)などで提唱した独自の方法論は、教育業界のみならず広く日本人に感銘を与えた。NHK・Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導も行なっている。

著書に『今日から実践できる成功哲学 「フランクリン」超・入門』(三笠書房)、『本当の「心の強さ」ってなんだろう?』(誠文堂新光社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『10歳のミッション』(幻冬舎)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)など多数。また訳書に『超訳 ヒルティの幸福論』(三笠書房)がある。

公開日:2024/09/02