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理想のキャリアを実現する「5つのステップ」
「やりたいこと」がなくても大丈夫!

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森数美保
理想のキャリアを実現する「5つのステップ」

「ありたい姿」という言葉を聞くと、遠い理想像を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、本当の「ありたい姿」は、あなたの心の中にすでにある大切な価値観や、日々の小さな選択の中に潜んでいます。 やりたいことが見つからない状態の中から、「ありたい姿」を見出すにはどうしたらいいでしょうか?『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略〜やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法〜』(日本能率協会マネジメントセンター)の著者・森数美保さんが、その方法をお伝えします。

「やりたいこと」より大事なこと

「ありたい姿」という言葉を聞くと、どのようなイメージが浮かびますか?

正直に言うと、私はこの言葉が少し苦手でした。理想の自分や成功した未来の自分を描くキラキラとしたイメージがあり、自分には遠い世界のように感じていたのです。「やりたいこと」が明確にある人じゃないと、この「ありたい姿」を描けないのではないかとさえ思っていました。

私自身が「ありたい姿」について改めて考え始めたのは、ある一言がきっかけでした。

「あなたは自分のことを“Willなし人間”と言っているけれど、実はWillがあるよね。むしろ“Willあり人間”だよ」

自分の認識とは大きく異なるこの言葉を受けて、なぜそう言われるのかを考え始めた結果、「大切にしている価値観のことを、Willと捉えられているのではないか」と思い至りました。

多くの人は職業選択の際に「やりたいこと(Doing)」を重視しがちです。しかし、実際に退職を考える理由の多くは、「ありたい姿(Being)」が守られなくなったときに生じます。つまり、「やりたいこと」が明確でなくても、「何を大切にするのか」「どんな自分でありたいか」を考えることは、キャリア選択において非常に重要なのです。

ありたい姿とは、自分の価値観や生き方を反映したものであり、心の置き場所であるのです。

recep-bg/gettyimages

「なりたい姿」と「ありたい姿」

もう一つ、「ありたい姿」と混同しがちなものに、「なりたい姿」があります。

●なりたい姿=外的な成果や目標(例:「○○になりたい」「○○のスキルを身につけたい」)

●ありたい姿=内面的な価値観や生き方(例:「どんな状況でも誠実でありたい」「挑戦を楽しめる自分でありたい」)

「なりたい姿」は将来の目標であり、達成すべき具体的なゴールを指します。一方、「ありたい姿」はどんな状況でも持ち続けたい価値観や生き方を示します。

「なりたい姿」だけを追い求めると、思い通りにいかなかったときに自己否定につながることもあります。一方、「ありたい姿」を軸にすると、目の前の環境が変わっても柔軟に対応しながら、納得感を持ったキャリア選択がしやすくなります。

この「ありたい姿」に基づいて、私が仕事で大切にしていることもいくつかあります。例えば、次のようなものです。

●売上のために魂を売らない

●まず、面白がってみる

●ネガティブを振りまかない

●相手の中にある光を必ず見つける

●チームで遠くへいく

recep-bg/gettyimages

ありたい姿は、企業でいうミッションやビジョンに近いものだと捉えられるかもしれません。そして、これらの行動指針は、日々の意思決定や行動に結びついています。それと同様に、「ありたい姿」もキャリアの選択肢を評価する際の羅針盤となり、日々の意思決定の基準となります。

ありたい姿を実現する方法は仕事だけではありませんが、キャリア選択のベースに「ありたい自分でいられるか」を置き続けることで、公私ともに良質な意思決定ができると考えています。

キャリアや人生はコントロールが難しく、不確実性に満ちています。それでも、自分の価値観を理解し、それに基づいて選択を重ねることで、「こんなはずじゃなかった!」という後悔を減らすことができるのです。

「ありたい姿」を見つける5つのステップ

「ありたい姿」を描くためには、まず自分の価値観や感情を見つけることが大切です。次の5つのステップに従って、自分の価値観や感情を掘り下げていきましょう。

■ステップ1:過去に感じた違和感やモヤモヤに気づく

違和感やモヤモヤした感情は、自分が大切にしていることが脅かされていると感じた時に起こります。これらは、仕事のパフォーマンスや行動選択にも大きな影響を与える要素です。小さなことでも書き出してみてください。例えば、次のような感じです。

●「言われたことだけやってくれればいい」と上司に指示されてモヤモヤした場合

→脅かされた価値観:「自分で考えたい」「自主的に進めたい」

●プロジェクトの目的を聞いたとき、「前年も同じことをやったから」と言われて違和感を覚えた場合

→脅かされた価値観:「常に改善を目指したい」「前提を疑い、より良い結果を追求したい」

私は、「期待値は少し超えればそれでいい」「仕事が早すぎるのはよくない」と言われた時に強いモヤモヤを感じました。また、転職エージェント時代、自社の締め日に合わせて企業や候補者に無理なお願いをする場面で大きな違和感を覚えたことがあります。この経験から、「正しいと信じられる価値観を大切にしながら結果を出す」ことが、自分の中で重要だと気づきました。

simon2579/gettyimages

■ステップ2:夢中になれた瞬間を振り返る

次に、何をしている時に一番テンションが上がり、没頭できたのかを振り返ってみましょう。夢中になれる瞬間は、あなたが「好き」や「価値を見出している」ことを表しています。次のように具体的な場面を思い出してみてください。

●新しいプロジェクトを任された時に、次々にアイデアが湧き、時間を忘れて没頭した場合

→価値観:「クリエイティブな仕事」「新しい挑戦」

●チームでディスカッションしながら、問題を解決していくプロセスが楽しかった場合

→価値観:「チームワーク」「協力して問題を解決すること」

私の場合は、 採用代行事業の責任者をしていた時に採用に関する数字を分析し、科学的にアプローチすることに夢中になりました。点と点をつなげ、数字に意味を見出し、再現性のあるフレームを考えるプロセスに非常にやりがいを感じていました。また、何よりも新しいことを知ること自体が私にとって最大の喜びでした。

■ステップ3:感情に火がついて、行動するスイッチが入ったと自覚した瞬間を知る

これまでの経験の中で、何かの一言や出来事で突然スイッチが入り、すぐに行動を起こした瞬間はありますか? このような瞬間を振り返ると、あなたが本当に大切にしている価値観が浮かび上がります。例えば、こんな場面を思い出してみてください。

●「みんな困っているから何とかしてくれ」と頼まれた瞬間に、一気にスイッチが入った場合

→価値観:「人を助けたい」「頼られることへの価値」

●「このままだと失敗する」と警告された瞬間に、問題解決モードに入った場合

→価値観:「失敗を防ぎたい」「計画的に進めたい」

マネージャー時代、成績が伸び悩んでいたメンバーがいました。「このままだと今の等級で雇い続けるのが難しい」という宣告を会議で聞いた瞬間、何としてでも結果を出せる状態にしたいという強い決意が生まれました。その時、「自分自身が強くなり、周りの人たちを幸せにしたい。そのために、自分自身が強くなる」という根底の思いが自分の中にあることを再認識しました。

kokouu/gettyimages

■ステップ4:自分が好きな自分でいられる時や、好きになれた瞬間を考える

どんな状態の自分が好きですか?どんな感情の自分が好きでしょうか。そう思えた場面を振り返りましょう。例えば、次のような瞬間です。

●チームをリードし、全員で協力してプロジェクトを成功に導いた時

→価値観:「リーダーシップ」「協力」

●同僚や後輩から感謝された時に、「役に立てている」と実感した

→価値観:「人への貢献」「サポート」

私は、目の前の人が笑顔になった瞬間に最も幸せを感じます。私にとっては、「その人が持っている可能性や光を見つけて、それを最大限に引き出し応援する」ことが、自分が大切にしている価値観です。

■ステップ5:外部からの視点を取り入れる

ここまでの4つの観点から、自分自身の内側にある価値観や思いを見つめてきました。次は、外部からの視点を取り入れることで、さらに視野を広げていきましょう。

・上司や同僚からの評価

例:「あなたは〇〇な場面で力を発揮するね」「チームの中であなたの△△な特徴は貴重だ」

・友人や家族からの言葉

例:「あなたの□□な部分が好き」「いつも◇◇なところが素敵」

・メンターからのアドバイス

例:「あなたの持ち味は××だと思う」「▽▽を活かせる方向に進むといいかも」

・過去の評価シートやフィードバック

例:定期面談での上司からのコメント、プロジェクト終了時の振り返り

全てに完璧に答える必要はありませんし、答えに正解はありません。あなたの素直な思いを書き留めてみましょう。

「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略  やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法
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森数美保
日本能率協会マネジメントセンター
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著者
森数美保
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
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森数美保(もりかず みほ)

株式会社Your Patronum 代表取締役/組織・キャリア開発の専門家

大阪大学卒業後、新卒一期生として人材紹介会社ジェイ エイ シー リクルートメントに入社し、最年少マネージャーを経験。その後、株式会社Misoca(現・弥生株式会社)に転職。ゼロからエンジニア採用を推進。1年間で組織を2倍に拡大させた。

2018年株式会社キャスターに入社。採用代行サービスCASTER BIZ recruitingの事業責任者に就任。3年間で累計導入社数350社を突破。300名以上のメンバーがフルリモート勤務の組織を運営しながら事業開発を実施。2021年同社執行役員に就任。複数事業を管掌。

2022年株式会社ミライフに執行役員として入社。キャリアコンサルタント/人事/事業経営の経験を活かして、本質的なキャリア構築や組織づくりを推進。

2024年株式会社Your Patronum(ユアパトローナム)創業。代表取締役に就任。「チームの行動を変容させ、強い組織をつくり事業を伸ばす」をミッションに、法人向けの組織開発コンサルティングサービス「ユアパト」、個人向けのキャリア支援サービス「キャリパト」を提供している。

社会保険労務士有資格者。

名古屋在住。16歳女子、13歳男子の母親。https://company.yourpatronum.jp/

公開日:2025/05/26