
ランチを食べながら「知的筋力」を鍛えるフライヤーの「Lunch timeビジネスワークアウト」ウェビナー。2021年2月17日(水)のお昼の時間帯に第5回が行なわれました。リラックスしたムードの無料オンラインセミナーに、今回もたくさんの方がご参加くださいました。
メインスピーカーは株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行です。本記事では、当日のセミナーの様子をダイジェストで再構成してお届けします。
本日のテーマは「ワークプレイス改革」です。新型コロナウイルスの感染拡大によって、在宅勤務の機会が増えた人も多いでしょう。ところが、アドビ株式会社の調査によると、在宅勤務で生産性が「下がった」と回答した人は4割を超えます。



1冊目は、『集中力』(井上一鷹、日本能率協会マネジメントセンター)です。本書には、次のようなことが書かれています。
「何か作業をしているとき、周辺の対象(周辺視野)は180度以上目に入ってくる。この周辺視野のなかに置くことで集中度を上げてくれるのが植物だ」
「ポイントは、本物の植物を数種類用意し、緑視率10~15%で周辺視野に置くことである」
観葉植物が置かれているオフィスは多いでしょう。ですが、自宅だとどうでしょうか。植物が特別好きな人でなければ、二の次、三の次になっているかもしれません。
今後、在宅勤務が続くなら、意識的に植物を配置してみましょう。それと同時に、ゲームや漫画など、目移りするものを視界に入れないようにすること。「生産性を向上させるために、自分の視野に入るものをアレンジする」という感覚を持って取り組んでみましょう。


『在宅HACKS!』(小山龍介、東洋経済新報社)には、「ちょうどいい刺激を考えるとき、『ゆらぎ』がキーワードになる」といったことが書かれています。
本書によると、「ゆらぎ」とは「規則的でもまったくの不規則でもない、ふたつの調和が取れた状態」のこと。例として、水の流れる音や波の音、暖炉の炎の揺れ、水槽の中の小さな魚、観葉植物が挙げられています。
オフィスや自宅よりカフェにいる方が仕事に集中できる人がいますが、それはまさに、カフェには「ゆらぎ」があるからでしょう。
オフの状態になったとき、なかなかオンの状態に戻れないと、作業が止まってしまいます。その点、目に映るものに「ゆらぎ」があると、オンに戻りやすくなりますよね。


次は、『トップ5%社員の習慣』(越川慎司、ディスカヴァートゥエンティワン)です。本書のテーマは、大きな成果を出す「5%社員」と、それ以外の「95%社員」の違いです。
著者の調査によると、「5%社員」は、自席にいる時間が短いことがわかりました。その理由として、他部署や社外のキーパーソンなど、多くの人と対話し接点を持っていることが挙げられています。
在宅勤務において、このデータをどう再解釈するか。その本質は、一人で閉じこもるのではなく、誰かとインタラクションを持つことの重要性ではないでしょうか。
今回のオンラインセミナーは、著者である越川慎司さんも聴講してくださいました。越川さんのコメントによると、Withコロナの時代において、「5%社員」は「今ちょっといいですか?」という発言が多いとのこと。
数時間かけて一人で考えても答えが出なかったのに、「今ちょっといいですか?」の3分間ですんなりと答えが出ることもありますよね。誰かとかかわる時間を意識的につくることで、かえって時間が生まれるのです。


次は、『リビング・シフト』(柳澤大輔、KADOKAWA)。本書には、次のようなことが書かれています。
「カヤックは『旅する支社』という名称で、ある程度の期間イタリアのフィレンツェや伊豆などに支社を置いてきた」
「『旅する支社』によって知らない場所で異なる生活様式に触れることは、長期的に見てアイデアやクリエイティビティの創出につながっているはずだ」
Withコロナの時代、移動時間はすっかり減りました。そんな今、「非日常をどうプロデュースするか」が一つのテーマになります。
在宅勤務だと、非日常がなくなり、日常オンリーになってしまう人もいるはずです。だからこそ、これまで以上に「いかに非日常を作り出すか」を考えていきましょう。近所を散歩するときにカメラを構えてみるのも、「日常の非日常化」に役立ちますよ。


『THE CULTURE CODE』(ダニエル・コイル、楠木建監訳、桜田 直美訳、かんき出版)には、次のようなことが書かれています。
「シェイ(※編注:靴の通販会社であるザッポスのCEO、トニー・シェイのこと)の定義によると、衝突とは『ある個人と個人が偶然に出会うこと』だ。衝突は、あらゆる組織、コミュニティ、チームに欠かせない要素だと彼は信じている」
「社員は仲のいいグループで固まり、交流が広がっていない。どうやら家具が、人の流れを止めてしまっているようだ。シェイはすぐに行動した。まず部屋の真ん中にあった大きなカウチを移動し、次にランプやテーブルも動かした」
オフィスは、単に機能的であるだけではいけません。あえて機能的でなくしてでも、人との出会いを創出することが大切なのです。
在宅勤務がメインになり、部署によって出社曜日が固定されている組織もあるでしょう。そうすると、出社日が重ならない人との「衝突」は起こりにくくなってしまいます。部署を横断したオンラインランチなども、一つの選択肢になるかもしれません。


最後に、『なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか』(松井博、KADOKAWA)です。本書には、次のようなことが書かれています。
「なぜ日本の会社は社員の時間を尊重しないのか。これはおそらく、会社が自社の従業員を全く信用していないからだ。『目の届かないところにいたら怠けるに決まっている』と考えているふしさえある。そんな会社のために、社員が本気で働くわけがない」
マネジメント側が「怠けるに決まっている」という考えなら、社員に対するマネジメントも自然と「監視」になります。社員側が「監視されている」という感覚を抱くと、「いかに成果を出すか」よりも「いかに出し抜けるか」を考えるようになってしまいますよね。
会社と社員の信頼関係は、マネジメントの本質です。この本質が今、在宅勤務によって再び浮き彫りになっています。
一社員として手の出しにくい領域ではありますが、これからの時代、より大切になっていくイシューではないでしょうか。
ここまで、ワークプレイスを考えるための6つのポイントを紹介してきました。

荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員、株式会社絵本ナビ社外監査役。
著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。