
ランチを食べながら「知的筋力」を鍛えるフライヤーの「Lunch timeビジネスワークアウト」ウェビナー。2021年7月20日(火)のお昼の時間帯に第10回が行われました。和やかなムードの無料オンラインセミナーに、今回もたくさんの方がご参加くださいました。 メインスピーカーは株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行さんです。当日のセミナーの様子をダイジェストで再構成してお届けします。


本書では、多くの営業担当がハンターのように顧客を追いかけている一方、トップセールスは長期的な関係を築けそうな顧客を見つけ、長期的に育てていく、そのことに9割の時間を使うと説いています。良い顧客基盤というものを持っているんですね。顧客基盤を形成するにあたっては、どちらかというと、営業担当者側から与える量のほうが多くなりますよね。そして徐々に関係を築き、興味を持っていただけるようなら、最終的なクロージング行為として営業するという考え方です。
その最初期のところでいかに顧客基盤を築くか、長期視点をいかに持つか。そこが重要となります。


これはヒットした『無敗営業』のシリーズ2作目です。著者の高橋浩一さんと以前対談をしましたが、再現性についてとても深く考え、型をつくっている方でした。
本書では、対面商談とオンライン商談を場面に応じて使い分ける方法を紹介しています。そして、商談機会を得るために電話やメールを活用して顧客との接点を増やす、ハイブリッド営業のスタイルを提案しています。
このハイブリッド営業は、決裁者への提案準備に向けて担当者と二人三脚で進めていくのが勝ちパターンのポイントです。こちらが一方的に提案するのではなく、担当者とコラボレーションしながら、案件を磨き上げていくと。営業に限らず、こうした双方向性の対話は今、とても求められているように思います。


インサイドセールスではなく「インサイトセールス」です。平たく言えば顧客の経営理念、ビジョンと自社の商品とを重ね合わせ、相手の文脈に沿って提案していくスタイルです。
自分たちの商品や実績、顧客の困り事など、それも大事ですが、もっとディープなところで顧客との接点を探すことこそ大事という考え方です。そのために、顧客の経営理念やビジョンを聞き出し、そこに自社の提案を位置付けるようにするということですね。
担当者レベルの困り事を見ていくと、最終的には価格勝負になりがちです。そうならないようにするには、相手のストーリーとつながり、強いコネクションをつくること。
そこの根源的なつながりを見いだせるかどうかがとても大切です。難易度は高いと思いますが、そういうことができると営業は強くなっていくのではないでしょうか。


カスタマーサクセスは、「この商品・サービスを使っていただくのは究極的に顧客の成功に帰する」ということで、先ほどお話ししたインサイトセールスとも通じます。カスタマーサクセスは究極的には事業やビジョンの実現、経営理念とつながっていきます。
顧客が理解していない部分も含めてしっかりと興味、関心を持ち、互いに定義したうえで、「その成功に対して、私たちは寄与できます。機能や価格ではなく、サクセスに関与する存在なのです」ということです。冒頭の話に戻ると、これはまさに顧客基盤、関係づくりの対話です。
目の前の契約に気を取られ、お互いに成功という概念がないまま話が進んでしまうこともありますが、そうした関係から抜け出し、一歩踏み込んで、「本当に実現したいことは何ですか。一緒にいい仕事をしませんか」といった関係を築くことが大事なのです。
そうなるとまさに長期的な商売につながり、そういうことを考えてくれる営業の方となら一緒に仕事をしたいと思ってもらえるようになります。


著者の足立さんと西口さん、この2人はマーケティングの世界ではとても有名な方です。
引用したカスタマージャーニーは、顧客が自社の商品・サービスに辿り着いてもらうまでの長い旅路(ジャーニー)について、行程を考えて設計し、心地よい旅になるよう、うまく整理していこうというものです。
実際に考えてみるととても難しいと分かります。陥りがちなのが平均化された顧客像による、最大公約数のジャーニーです。平均化して一つにまとめると見えないものが出てきてしまいます。平均化した裏側で消されてしまったユニークなジャーニーも忘れずに考えよう、顧客が100人いるなら100通りのジャーニーがあると心得ようということです。
1つに集中して「こうだよね」と決める方が分かりやすくはあります。しかし、そうして考えると抜け落ちるものがある。そんなマーケティング要素の強いメッセージですね。


最後6冊目は変化球で営業関連の本ではありませんが、営業の本質はここにあると思っています。
本書では、畑で野沢菜を作っているベテランのおばあちゃんが、「肥料を手にこんくらい持って、ぱらっとな」と栽培方法を教えてくれます。しかし、「こんくらい」が分かりません。
この「こんくらい」がいわば暗黙知であって、体で覚える、感覚的なものですが、営業においてもそういうことはありますよね。
本書では、まず暗黙知だった土壌を分析することで数値化します。そして「こんくらい」という暗黙知が形式知となる中で、畑を観察する目が養われます。そこでみんなが害虫対策などを考えるようになって、集合知が生まれる。
つまり、暗黙知が形式知化することによって、形式をベースにみんなの知が議論できるものになる、みんなが興味、関心を持って「うまくいった、いかない」といった議論が生まれ、集合知になっていくということです。
荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教員、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員、株式会社絵本ナビ社外監査役、株式会社NOKIOO スクラ事業アドバイザー。
著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。