
フライヤーは2022年3月25日、ゴールドプラン会員の方々を対象に、オンラインのトークイベントを開催しました。
今回は、TORiX株式会社 代表取締役の高橋浩一さんに、3月17日に出版したばかりの著書『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』に込めた思いについて語っていただきました。当日の様子をダイジェストでお伝えします。
新型コロナウイルスの感染が広がるなか、若手社員や若手リーダーの方から「研修がなくなってしまい、仕事の基礎が身についていない」「仕事の進め方が変わって、部下の指導に苦戦している」といったご相談を多くいただくようになりました。
著書『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』は、そうした若手社員や若手リーダーに向けて、「質問力」をテーマに書いた本です。ストーリー形式で、登場人物は新卒2年目になるマサル、チームリーダーのノリコ、そして2人を導く敏腕マネジャーのカピバラ部長。
実は「カピバラ部長」はもともと「猫山部長」でした。カピバラ大好きな私が、担当編集者さんに「カピバラ部長でどうですか?」と提案してみたところ、オッケーをいただいたという裏話があります(笑)。


仕事を遂行するには、相手から悩みや課題を聞き出す力が必要ですよね。上司から依頼を受けたら、相手の課題を確認し、期待を満たす方法を考えるはずです。
営業なら、お客様のお困りごとを聞き出すことが受注につながります。でも多くの営業担当者は、“テンプレトーク”をすることによって、お客様からの“テンプレ対応”を受けてしまいます。これでは、お困りごとは聞き出せません。

特にはじめて会う相手との商談では、相手は内心「自分の時間を無駄にしないように、軽く話を聞いて終わらせよう」と思っているもの。僕はこの状態を「購買者の仮面をかぶっている」と呼んでいます。これでは商談が進みません。

お困りごとを聞き出すといっても、「悩みはありますか?」と聞かれて、正直に答えてくれる人は少ないもの。ここで役立つのが、次の3つの質問です。
1つ目は、「真の課題を理解する質問」。「一見すると困っていないように見えるのですが……(本当に困っていることは何なのでしょうか)」。
2つ目は、「真の期待を引き出す質問」。「他にも選択肢はあるはずなのに……(なぜ、当社に対して時間を割いてくださっているのでしょうか)」。
3つ目は、「真の壁を理解する質問」。「これまでも、課題の解決に向けて手を打ってこられていると思うのですが……(なぜ、解決されないままになっているのでしょうか)」。
この3つを使って、「今ここに時間を使っている理由」を聞いてみましょう。
どうでしょう? ストレートに質問されたときよりも、つい正直に答えたくなりませんか?
相手が忙しそうだったり、「こんなこと聞いていいのかな」と不安になってしまったりして、質問を躊躇してしまうこともありますよね。そんなときは「枕詞」を使ってみましょう。
『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』では、聞きづらい「壁」を越えるための「枕詞」を5つに分類しました。
(1)きっかけを作る枕詞:質問するモードに入りたいとき
(2)予防線を張る枕詞:こんなこと聞いていいのかなと思ったとき
(3)切り込む枕詞:忙しく、気が短そうなお客様に質問したいとき
(4)踏み込む枕詞:発言のハードルを下げて内情を聞き出したいとき
(5)考えを促す枕詞:相手に発想を広げてもらいたいとき

これらの枕詞は、商談に限らず、社内のやり取りなどでも使えます。枕詞をうまく活用して積極的に質問し、気づきやチャンスを生みましょう!
視聴者の方から質問をいただきました。「質問するとき、どれくらい踏み込んでいいのか悩んでしまう」ということですね。
僕は「え、そこまで聞くの?」と相手が感じるところまで深掘りすることをおすすめします。なぜなら、「相手がいま話していること」や「聞かれるだろうと相手にとって想像がつくこと」を聞くだけでは、ごく普通の答えしか得られない可能性が高いからです。
一方、「聞かれるだろうと想像してもいなかったこと」や「意識はしていなかったが、聞かれるとハッとするような発見があること」を聞けると、相手の反応は大きく変わってきます。誰しも、自分を認め、深いところまで質問してもらえるのはうれしいものですからね。

私の知人に、ある事務所の所長さんがいます。その人はオフィスの引っ越しを検討していて、不動産の仲介会社さんに相談したそうなんですね。
仲介会社さんの定番の質問といえば、「最寄り駅はどこがいいですか?」「築何年まで許容できますか?」「家賃はいくらまでですか?」といったものでしょう。当然その所長さんも、そのあたりまでは想定していました。
でも実際、仲介会社さんから聞かれたのは「貴所のビジョンは?」というもの。その質問をきっかけに、会話が弾んだそうです。そして「所員のために、立地のいいオフィスにしたい」「ビジョンを実現するために、内装にもっと工夫をして……」とついつい奮発してしまったのだといいます。
質問によって相手の感情やアクションが変わることがよくわかるエピソードですよね。
実は僕も、やっぱり質問を躊躇してしまうことはあります。でも、質問したからといってお金や時間を失うわけではありません。むしろすばらしい気づきやチャンスが得られるのです。
僕は20代のころ、初回訪問の後にお客様に電話して、「今回の商談は100点満点中、何点でしたか?」と質問していたことがあります。もちろん電話の向こうにいるお客様はあぜんとして、大半の方は「ええと……よかったと思いますよ」という返答です(笑)。
でも時折、親切にフィードバックをくれるお客様がいました。そこでいただいたフィードバックは宝物です。
あなたも「こんなこと、聞いてもいいのかな?」と躊躇することがあるでしょう。でもそれは、お宝がすぐ目の前にあるということ。枕詞を駆使して、思い切って質問してみましょう。『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』が参考になれば幸いです!
画像提供/高橋さん


高橋浩一(たかはし こういち)
TORiX株式会社 代表取締役
東京大学経済学部卒業。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。事業と組織を統括する立場として、創業から6年で70名までの成長を牽引。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。これまで4万人以上の営業強化支援に携わる。
コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略』(ともに日経BP)を出版 、シリーズ累計7万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす 〜共感とロジックで合意を生み出すコミュニケーションの技術〜』(クロスメディア・パブリッシング)、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法』(KADOKAWA)を出版。年間200回以上の講演や研修に登壇する傍ら、「無敗営業オンラインサロン」を主宰し、運営している。