読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 授賞式&トークセッション
受賞著者、編集者による白熱トークセッションレポート!

2019年2月19日、『読者が選ぶビジネス書グランプリ2019』の結果発表を兼ねた授賞式を開催しました。

「ビジネス書を評価するべきは、ビジネスパーソンではないのか?」をテーマに立ち上げた「読者が選ぶビジネス書グランプリ」。「読者=ビジネスパーソン」が価値ある書籍を評価する本グランプリは、今年4回目の開催となりました。

約200名が参加し、大きな盛り上がりを見せた授賞式、そして受賞作品の著者、編集者のトークセッション。その一部をお届します!

総合グランプリ&部門賞の結果詳細はこちらから。

総合グランプリ・各部門賞の結果発表!

授賞式は、フライヤー代表取締役CEO大賀康史からのスピーチでスタート。

大賀:ビジネス書グランプリの取り組みは、フライヤーの創業時の想いと強く関係しています。それは、読者の声を集約することにより、ビジネスパーソンにとって本当に価値のある本が健全に評価され、書店でもインターネットでも大きく露出されて新しい読者に届く、という世界観を実現することです。

皆様のおかげで、2018年12月末にフライヤーの会員数は30万人を突破しました。来年は50万人、そして3年後の2022年に会員120万人突破をめざしてまいります。



いよいよ投票結果発表です! グロービス経営大学院の鳥潟幸志(とりがたこうじ)さんより、各部門賞、総合グランプリ受賞の著者、編集者にトロフィーの授与を行いました。司会は文化放送アナウンサー、西川文野さん。その模様を写真で紹介します!



イノベーション部門賞 『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(幻冬舎)の著者 田中修治さん。



マネジメント部門賞 『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)の編集者 下田理(しもだおさむ)さん。



自己啓発部門賞 『前祝いの法則』(フォレスト出版)の編集者 稲川智士(いながわさとし)さん



リベラルアーツ部門賞 『ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来』(河出書房新社)の編集者 九法崇(くのりたかし)さん(写真左)。そして、翻訳者である柴田裕之(しばたやすし)さん。



ビジネス実務部門賞 『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』(SBクリエイティブ)の編集者、多根由希絵(たねゆきえ)さん。



「ビジネス書グランプリ2019」総合グランプリに見事輝いたのは、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)です! ノミネート全書籍71冊の中で最多得票を集め、政治経済部門賞とのダブル受賞となりました。編集者の桑原哲也さん、そして翻訳者の渡会圭子(わたらいけいこ)さんです。



2019年のビジネス書のキーワードは「不安」

ここで大賀より「2019年に支持を集めたビジネス書のトレンド」について総括が。

大賀:現代のビジネスパーソンが支持するビジネス書のキーワード。それは「不安」です。
2018年は、AIの世界がぐっと身近に迫った一年でした。それによりビジネス社会が新たなステージへと突入し、ビジネスのスピードがますます加速しています。

そんな中、自分のスキルが時代遅れになるスピードもまた速まることに「不安」を覚えつつ、
前向きに対処しようとするビジネスパーソンの姿が、今回の投票結果を通じて見えてきました。未来が見えないことの「不安」に対して、世界の変化に乗り遅れまいと、知識やスキルをアップデートする知的好奇心旺盛なビジネスパーソンが多いのではないかと考えています。



こうした現状を反映して、今回のビジネス書グランプリでは、「未来のルールに目を向けた書籍」「スキルアップのヒントが得られる書籍」「ビジネスリーダーの生き様をまとめた書籍」がバランス良く票を集めた印象です。

そんななかグランプリを獲得した『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』。ビジネス構造を塗り替え、未来を切り開くGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)がなぜこれほどの影響力をもったのか。そして今後の未来地図はどのようなものなのか。こうした点を知りたいというニーズに応える一冊として支持されたのだと考えています。

田中修治さん(『破天荒フェニックス』著者)×タケ小山さん トークセッション

第二部は、イノベーション部門賞に輝いた、『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(幻冬舎)の著者 田中修治さんと、プロゴルファーで文化放送「The News Masters TOKYO」パーソナリティを務めるタケ小山さんのトークセッションです。 本書は、メガネチェーン店OWNDAYS(以下、オンデーズ)の社長である田中さんが、実際にオンデーズの事業再生中に起きたことをもとに書き上げた自叙伝風フィクションです。中身はまさにタイトル通りの破天荒っぷり、不死鳥っぷり! 詳細は要約を入口に本書をお読みいただくとして、まずはお二人のトークをお楽しみください。



タケ小山さん(以下敬称略):田中さんは30歳という若さでオンデーズの社長になられて、何度も資金ショートの危機を迎えていますよね。そのたびに金策に奔走し、本書の終盤になってもまたもやショートの危機! もう夢中で読みました。


オンデーズのメガネで登壇してくださったタケ小山さん。

破天荒フェニックス
破天荒フェニックス
著者
田中修治
出版社
幻冬舎

田中修治さん(以下敬称略):ありがとうございます。この作品は事実をもとにしたフィクションですが、実際はもっとひどかったです(笑)。

タケ小山:大赤字だったオンデーズを買収して社長になられるのは、すごい決断でしたね。

田中:20億の売上しかないのに14億の負債を抱えていた会社なんて、無謀だといわれました。僕も今だったら社長になるかどうか、正直迷ったかもしれない。けれども当時は貯金もなく結婚もしていなかった。たとえ大赤字で事業に失敗しても何も取られるものがない。それならやれるだけやったほうが人生面白いと思ったんです。



タケ小山:従業員とのふれあいも印象に残っています。たとえば、従業員に「オンデーズの商品を買わすな」といったのに、従業員がどんどん買い始めるシーン。あれはいいですね~!

田中:アパレル業界では、店頭スタッフが自社商品を買うことは慣習的によくあることで、オンデーズもそうでした。でも僕は強制的には買わせたくなかった。自社商品のことを本当に好きで買ってくれているのかどうか、わかりませんから。まずは、従業員たちに「新しい社長がきて良い商品になったな」と認めてもらいたい。そんな一心でした。

タケ小山:なんといっても、タイトルの「破天荒フェニックス」はインパクトがありました。

田中:実はタイトルは最終原稿が出るまで決まっていなかったんです。「(売れるかどうかは)タイトルで7割決まる」と聞いて。100個案をつくって10個に絞り、全部表紙にあててどれが最も目を引くかを決めました。一番は「破天荒フェニックス」。そこで本文にも「破天荒」「フェニックス」という言葉を盛り込んで、帳尻を合わせた感じです。
そうしたら「破天荒社長」といわれるようになって。でもプライベートでは、僕は全然破天荒じゃないんですよ。お酒は飲まないしオーガニック志向ですから(笑)。

タケ小山:本当に面白かったので今後のドラマ化、映画化を期待しています! 最後に、この本をどんな方に読んでいただきたいですか。

田中:男性読者は充分確保できてきたので(笑)。もっと女性読者にも読んでいただきたいですね。何よりお読みいただきたいのは経営者の方々。人生いいとこどりはできないですから、だまされるリスクも許容して進んでいけば、10回に1回はよいことが起きるよねと。『破天荒フェニックス』を通じて、読者の方々にそんなメッセージが伝わればいいなと思います。


名編集者トークセッション! ベストセラーを生み出す秘訣とは?

総合グランプリと政治経済部門賞を受賞された『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(以下、『the four GAFA』)の担当編集者・東洋経済新報社の桑原哲也さん。ビジネス実務部門賞を受賞された『1分で話せ』の担当編集者・SBクリエイティブの多根由希絵さん。今をときめく名編集者のお二人に、受賞作品がビジネスパーソンの熱狂的支持を集めたのか、ベストセラーを生み出す秘訣をお聞きしました。モデレーターは、ジャーナリスト・評論家として活躍されている佐々木俊尚さんです。



佐々木俊尚さん(以下敬称略):最初に、それぞれの作品が売れた理由をどう分析されているのか、お聞きしたいと思います。桑原さん、いかがですか。



桑原哲也さん(以下敬称略):売れた要因は3つあったと思います。1つはタイミング。出版した時期は、まさに検索エンジンのグーグルやアマゾンなど、GAFAの評価が変わり始めたときでした。その後もGAFAという言葉がメディアでもよく取り上げられ、流行語大賞の候補になるなど、ますます注目が高まっていきました。

2つ目は中身。これまで良いと信じてきたものが必ずしもそうではないということを示す内容で、読者から「世界の見方がガラッと変わった」という声が多かったです。特にAmazonの影響は大きく、自動車、金融、小売業界など様々な業界の読者が、GAFAの影響について自分事として捉えていたように思います。

3つ目は読みやすさ。著者スコット氏の語り口調が独特で面白い。何より文章がわかりやすいのは翻訳者の渡会さんのおかげです。



佐々木:新しい世界観が開かれたような素晴らしい本ですよね。「アップルは下半身を攻めている」などと、表現がユニーク。たしかにアップルは官能的な製品を世に出し、人々の支持を得てきましたよね。

多根由希絵さん(以下敬称略):著者の伊藤さんはお会いすると非常に熱があるし、話し方について研究熱心な方。「結論から話す」など、誰よりもわかりやすく解説してくれました。これまでも話し方に関するテーマではベストセラーがいくつも出ています。「短く、わかりやすく話せるようになりたい」というのは、ビジネスパーソンの普遍的なニーズなのではないか。そのニーズにあてていけば、伊藤さんならではの良さが発揮されるはず。そう思って企画しました。



佐々木:「1分で話せ」というタイトルも秀逸ですよね。

多根:書店の棚を見ていると、タイトルが短いほうが目につきやすいと思ったためです。伊藤さんは「1分で話せなんていっていないけど」とおっしゃっていましたが(笑)。

佐々木:コミュニケーションの本はすでに数多くありますが、どう差別化したんですか。

多根:読者から「話し方の本はいっぱいあるけど、読んでも理解するのが難しい」という声がありました。それならダメな例と良い例を見せたほうが早いんじゃないかと。

佐々木:たしかに。たとえば、南国について描写する前に、「想像してみましょう」と一言ワンクッションが入ると伝わりやすいとか。非常に巧みでわかりやすいアドバイスだと思いました。

「読者がなぜこの本を手に取るのか」を考え抜く

佐々木:ベストセラーをつくるための秘訣は何ですか?

桑原:『the four GAFA』の特徴は、ヨハネの黙示録の四騎士にGAFAをたとえている点です。邦訳書ではオリジナルで、「四騎士とは何か」がわかるようなイラストを挿れました。実は「四騎士は日本の読者には馴染みが薄いだろうし、宗教的なテイストなのでマニアックな印象を与えないか?」と迷っていたところでした。

そこで編集段階では、社内外の想定読者に色々と意見を聞いていきました。そうしたら、この本を読んでくださいそうな方からは、「四騎士のイラストを載せたほうがいい」という意見がほとんど。四騎士のイラストを載せることがかたまってから、装丁のデザインや見出しのイメージなど、本書の世界観が一気に決まっていきましたね。

佐々木:「この本はこう打ち出そう」というビジョンを最初にガッチリかためるのが大事なのですね。編集者に迷いがなく、軸がまっすぐ通っていることはベストセラーの秘訣の1つではないかと。多根さんはいかがですか。

多根:「なぜ読者がこの本を手に取るのか」「手に取らないといけないのか」。こうしたことがきちんと筋が通っているかどうかを、一冊、一冊考え抜くことが大事だなと。「この人にぜひ届けたい」というのを明確にしようと意識しています。『1分で話せ』の場合は、ターゲット読者を「話下手な人全般」ではなく、「1回でも話が長い、または話がわからないといわれたことがある人」に絞りました。

佐々木:漠然としたペルソナを立てるのではなくて、いかに隠れた良いマーケットを掘り起こして、そこに訴求していくかが大事なのですね。


「その本がきっかけで新しい棚がつくれるような本」を世に出したい

佐々木:お二人は、これからどんな本をつくっていきたいですか?

桑原:本の企画段階では、「その本、書店のどの棚に置くんですか?」と聞かれることがしばしば。もちろん、それが大切なのですが、いつかは「その本がきっかけで新しい棚がつくれるような本」を手掛けてみたいですね。

多根:これまでのこだわりをいったんリセットして、新しいものを生み出していきたい。『学問のすゝめ』のような、長く読み継がれる本をつくれたらと思います。

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
著者
スコット・ギャロウェイ 渡会圭子(訳)
出版社
東洋経済新報社
1分で話せ
1分で話せ
著者
伊藤羊一
出版社
SBクリエイティブ

最後に締めくくりの挨拶を鳥潟さんよりいただきました。

鳥潟さん:受賞されたみなさま、おめでとうございます! 普段から私はグロービス大学院でもおすすめの本を紹介していたり、他の場でも読書会を開催したりしています。このグランプリによって、著者のみなさん、読者の方々が本を通してつながり合い、知恵の循環が生まれているのだと改めて思いました。そして、そのような書籍を生み出されている方々に感謝と尊敬の念をおぼえています。
最後になりますが、出版の取次店、メディア各社さま、多大なご協力をありがとうございました!



登壇者のみなさま、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
今回の結果を受け、全国の書店と連携して受賞作品を並べて販売する店頭フェアが順次開催されます。
来年のビジネス書グランプリもぜひお楽しみに!

※書店の方へ
書店用のPOP・書籍リスト・ロゴはこちらからダウンロードすることができます。ぜひ販促にお役立てください。

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文責:松尾 美里 (2019/02/27)
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