総合グランプリ・各部門賞・特別賞の結果発表!
フライヤー執行役員で、読者が選ぶビジネス書グランプリ事務局長を務める井手琢人のスピーチでスタート。

フライヤー執行役員で、読者が選ぶビジネス書グランプリ事務局長を務める井手琢人
井手:昨年から今年にかけては新型コロナウイルスの影響で、出版業界も大打撃を受けました。一方で、コロナ禍においては「学び」にフォーカスが当たり、多くのビジネス書がコロナ禍におけるビジネスパーソンの学びを促してくれました。
今年の「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は、そんな読者の声を集約し、コロナ禍を支え、これからのニューノーマル時代を支えてくれるビジネスパーソンにとって本当に価値のある本を表彰させていただきます。
今回も皆さまのご協力をいただきまして、過去最多のエントリー数と得票数になって、賞の規模がさらに大きくなりました。また、受賞作が全国の書店でフェア展開されたり、メディアで多く取り上げていただけたりといった広がり出てきています。この場をお借りしまして感謝を申し上げます。

アナウンサーの竹内夕己美さん
いよいよ投票結果発表へ。フライヤー代表取締役CEO大賀康史より、各部門賞、総合グランプリ受賞の著者、編集者にトロフィーの授与を行いました。司会は、アナウンサーの竹内夕己美さんです。
イノベーション部門賞
『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ社)
著者でフィンランド大使館で広報の仕事に携わる堀内都喜子さん
本書は、コロナ以前に「働き方改革のヒントになれば」という想いで執筆しました。コロナ禍において生活様式や働き方が見直される中で、本書を手に取っていただけたこと、本当にうれしく思います。
初めてフィンランドに行ったとき、人口も天然資源も少ない国であるにもかかわらず、「いかに効率よく働いて人材を生かすか」を考え尽くして努力している国だと感じました。これは、今後の日本においても大切な考え方だと感じています。
マネジメント部門賞
『心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える』(日本能率協会マネジメントセンター)
著者で株式会社ZENTechの取締役を務める石井遼介さん
働く人一人ひとりが輝くには、心理的安全性が担保され、自分の力を出し切れる環境が大切です。この考え方を日本に広めたい、組織が変わってほしいという想いから、本書を執筆しました。
「高い心理的安全性」と「高い成果」は相反するものだととらえ、この2つの両立に悩む方も多くいらっしゃるでしょう。しかし実は、成果のためには心理的安全性の担保が欠かせません。心理的安全性が高ければ、立場を越えて意見を言い合えます。そうすれば、さまざまな視点から情報を得て、正しい方向に進んでいけるでしょう。だから心理的安全性の高い環境こそ、成果の上がる環境なのです。
自己啓発部門賞
『科学的な適職 4021の研究データが導き出す 最高の職業の選び方』(クロスメディア・パブリッシング)
著者でサイエンスライターとして活躍する鈴木祐さん
本書の企画は、編集者の悩み相談から始まりました。ベタなデータを選んで「適職の見つけ方」について答えたつもりだったのですが、その回答は、編集者の予想を裏切るようなものだったようです。「ぜひ本に」ということになり、本書の執筆がスタートしました。
「適職を見つけるには?」とよく聞かれますが、まず重要なのは、正解はないということです。人生は仮説と検証の繰り返しなので、自分なりの仮説を立てて検証をしていけば、自ずと方向性が見えてくるのではないでしょうか。
リベラルアーツ部門賞
『LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界』(東洋経済新報社)
ご登壇いただいた担当編集者の東洋経済新報社・九法崇さん
今まで「年をとると、辛い日々がやってくる」というのが常識でした。ですが本書で著者は、「老いは常識ではない」と言っています。
人間は、テクノロジーによって自らの未来を変えていける、特別な存在です。悲観的になることもあるかもしれませんが、きっとどこかに解決策があるはず。本書は、人類の力を感じていただけるような一冊に仕上がっているのではないかと思います。
ビジネス実務部門賞
『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)著者の両@リベ大学長さんからのメッセージ
このたびは、栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。2年前、社員や友人に豊かな人生を送ってほしくて始めた「お金の講義」が、ネットを通じて多くの方にご覧いただき、書籍となり多くの読者様にご支持いただけたことを、大変嬉しく思います。
最近は暗いニュースばかりが目に入りますが、本書が「お金にまつわる5つの力」を身につけ、自由で豊かな暮らしへ行動するきっかけに少しでもなれれば、これに勝る喜びはありません。
『お金の大学』に関わってくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

ご登壇いただいた担当編集者の朝日新聞出版・佐藤聖一さん
本書の制作は、私が著者のYouTubeチャンネルを拝見したことから始まりました。独特な世界観がありながら、本質を明瞭に話していること。そして、やるべきことを、誰でもできる行動レベルに落とし込んでいることに感銘を受け、出版のお願いをしました。
今回の本は、ゼロベースから構成し、著者に原稿を書き下ろしていただきました。毎日のYouTubeの配信がある中、制作にあたった著者からは「寝る間もなく、きつかった」「二度とやりたくない」というコメントをいただきました(笑)。でもその甲斐あって、多くの方に届く本になったのではと思っています。
[特別賞]コロナ禍を支えたビジネス書
『人は話し方が9割』(すばる舎)
著者で株式会社人財育成JAPANの代表取締役を務める永松茂久さん
オンラインのやり取りが増えたことで、本書を手に取ってくれた方が多かったようです。それは、オンラインのコミュニケーションの難しさに気づかされたことと、自分と向き合う時間が増えた中で、話し方を見直してみようと感じたことが主な理由でしょう。
本書を通して伝えたかったのは、「話し方はスキルよりメンタルだ」ということ。親しい人と話すときはリラックスしているのに、初対面の人との会話で緊張することからも、それは明らかです。だから本書は、スキルよりメンタルに重きを置いて書きました。
総合グランプリ/政治経済部門賞 ダブル受賞
『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』(ニューズピックス)
著者で慶應義塾大学 環境情報学部教授を務める安宅和人さん
日本はいま非常に不連続的な局面にあります。でも、それを放置してはいけない。現実を見つめれば、いくらでも攻め方はあるのです。
「われわれには希望がある」ということをしっかり伝える必要があるとは思っていたのですが、出版は考えていませんでした。ですがある方から「いまあなたが書かなければならない」と言われて決意し、唐突に書き始めたのが本書です。
執筆中は、夜中の1時から4時までを執筆にあて、少し寝て朝から仕事をする日々を過ごしました。まさに命を削って書いた一冊です。
今年支持を集めたビジネス書の傾向とは?
フライヤーの大賀より、今年支持を集めたビジネス書の傾向について総括です。

フライヤー代表取締役CEO大賀康史
大賀:今年のキーワードは「当たり前からの変化」です。
今回の新型コロナウイルスによる世界的な影響の大きさは、少なくとも自分が生きてきた中では最大のものだったと感じています。このような変化に直面した現代は未知に満たされているように感じますが、歴史を振り返れば人類は、数多くの戦争、飢饉、疫病といった災難を乗り越えてきました。
総合グランプリに輝いた『シン・ニホン』は、コロナ禍の前に構想された作品ながら、まさに「変化に対応できる国家」を目指す内容です。国家の発展を導くためには、教育、科学技術と若年層への配分強化が大切であると、明確な根拠をもって語られた傑作だと感じています。国家100年の計をここまで大胆に構想して、具体的で的を絞った提言に落とし込んだ本は唯一とも言えるものです。
そして私たち自身も「人生100年時代」を迎えようとしています。この言葉は『ライフ・シフト』の大ヒット以降定着しましたが、それが現実になることを確信させる本が、リベラルアーツ部門賞となった『LIFESPAN(ライフスパン)』です。老化を病気の一つととらえていて、その根本的な対処策に届くハーバード大学の研究成果が印象に残ります。
組織や職業、働き方についても、今までの「当たり前からの変化」に読者の興味が強いようです。『心理的安全性のつくりかた』『科学的な適職』『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』は、漫然と働いていると考えが及ばないところを鋭くついた、ビジネス書らしい名作だと思います。そして、ビジネス実務部門賞の『本当の自由を手に入れる お金の大学』は、私たちの生活の豊かさを守る貴重な情報が、わかりやすく提供された作品でした。
もう一面から見た最近のビジネス書業界の特徴は、ロングセラーとなった本がビジネスパーソンを支えている点だと思います。当たり前ではなかったリモートワークが、当たり前のようになったこの1年は、コミュニケーションのあり方が変わって悩んだ方が多かったはずです。特別賞「コロナ禍を支えたビジネス書」に輝いた『人は話し方が9割』はその中でも特に注目され、たくさんの人を救った本ではないでしょうか。
よって立つ「当たり前」が消え去ったなかで、書籍に新しい指針を探し求めようとすることは、とても前向きな姿勢だと思います。ビジネス書が前年比で増加傾向にあることは、これからの困難な時代を生き抜くためのビジネスパーソンの希望を表しているように思います。
今回受賞された各部門賞の作品は、これから全国の950を超える書店でフェア展開をされる段取りになっています。そして、各メディアでの露出の機会も増えていきます。この企画の主催者としても、できるだけ多くの人に本が届くように最大限力を尽くしてまいります。
最後に
最後に共催団体を代表して、グロービス経営大学院の廣瀬聡さんからのご挨拶です。

グロービス経営大学院の廣瀬聡さん
廣瀬:「読者が選ぶビジネス書グランプリ」を開催するたびに、世に問いたいものがある著者のみなさん、そして、そのお手伝いをしている編集者や翻訳者のみなさんがすばらしい結果を出されたことに感動します。
いま世界的に、ダイバーシティやインクルージョンが課題になっています。ダイバーシティやインクルージョンが大切なのは、ビジネスにおいて、違った人を理解することで新しい機会を得るためだけではありません。社会の中で、誰もが取り残されることなくケアされる社会をつくっていくために、一人ひとりがダイバーシティやインクルージョンを大切にすべきなのです。
そういった意味でも、これからもみなさんには、多様な意見を発信していただきたいと思います。私もグロービス経営大学院として、受講生にその意見をお伝えする努力をしたいと思っています。
受賞者のみなさま、このたびは本当におめでとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
登壇者のみなさま、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。今回の結果を受け、全国の書店と連携して受賞作品を並べて販売する店頭フェアが順次開催されます。
来年のビジネス書グランプリもお楽しみに!