あなたらしさに気づくBeingの種 人生の主導権を持つために
第4回 flier book labo オープントークセッション【イベントレポート】

あなたらしさに気づくBeingの種 人生の主導権を持つために

ご好評いただいているフライヤーの無料オンラインセミナー、今回のゲストスピーカーは、フライヤー主宰のオンラインサロン「flier book labo」第1期パーソナリティの一人である、株式会社圓窓代表取締役の澤円さんです。

自分のありたい姿で生きる人を増やし、多くの人をハッピーにしたいと願う澤さんが今回語るのは、自分の頭で考え、行動を起こすことの大切さです。コロナショックで働き方に大きな変化が訪れている現在は、「なんとなく」続けてきた慣習を改める絶好のチャンス。

株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行さんのファシリテーションで、澤さんの理論を実行に移す方法についても探っていきます。本記事では、当日の様子を再構成してお届けします。あなたらしく生きるための小さな一歩を踏み出してみましょう。


「雑にいろいろやっている」ことの重要性


澤円(以下、澤):

こんにちは、澤でございます。2020年の8月末で、それまで勤めていた日本マイクロソフトを退職し、現在は株式会社圓窓の代表取締役を務めています。

会社を登記したのは2019年10月で、事務所を借りたのはその年の5月のことでした。つまり、コロナショック以前から、ずっとリモートワークをしていたんです。現在、世の中のワークスタイルが、自分の流れに沿うようなかたちで変化してきているのを感じています。そうしたなかで、今強く求められている「好き勝手に生きている」ということを中心に、情報発信しています。

荒木博行(以下、荒木):

最近、僕は「何をやっているのか」と聞かれると、どう答えればいいのかわからなくなってきました。澤さんはどう答えていますか?

澤:

ボクは「雑にいろいろやってます」と答えています。むしろ、それこそが今求められていることだと思います。「自分の仕事は何々だ」と決め打ちで働くことは、もはやリスクになりかねません。今注目が集まっている仕事の多くは、5年前、10年前には存在しませんでしたよね。これからもこの傾向は加速すると考えられます。だから、「自分はこれをやっています」ということにこだわっていると、1年後には「古い」と言われかねない。

荒木:

先日、『2030年』(Newspicksパブリッシング)に関連した対談で、テクノロジーの変化や、それに伴う世の中の変化について話す機会がありました。そこでのキーワードは「コンバージェンス(融合)」だったんです。世の中に劇的な変化を起こすのは既存の技術のコンバージェンスです。だからこそ、組み合わせる人が大事なのだと感じました。一つの技術、一つの世界にだけコミットしていると、コンバージェンスで変化する世界についていけないのだと僕は解釈しました。

澤:

「イノベーション」とは本来、シュンペーターの言うところの「新結合」ですからね。既存の技術からどうやって新しい結合を生むのか、その組み合わせは自由に考えていい。

ボクはよく、「和風たらこスパゲッティ」を例に挙げます。これは、イタリアの食文化であるパスタに、日本の醤油やたらこ、海苔を新しく結合させています。ゼロから新しいものを生み出したわけではないけれど、既存のものの組み合わせで新メニューが誕生する。こんなふうに、イノベーションはある意味簡単にできるのではないかと思います。


「あなたらしく生きる」をはじめよう


荒木:

flier book laboの音声コンテンツTALKも、今日のトークセッションも「あなたらしさに気づくBeingの種」と題していますが、澤さんにとって重要なキーワードである「Being(ビーイング)」についてお話していただけますか。

澤:

「ありたい自分」を意味する 「Being」というキーワードに出合ったのは、ボクの妻が先だったんです。ウーマンズ・スタートアップ・ラボの創業者兼CEOの堀江愛利さんという方が、シリコンバレーで女性起業家のアクセラレーションのサポートを行っているのですが、そのスピンアウト企画に縁あって妻が参加しました。4日ほどかけて、これから生き方を変えるためのクラスに参加した妻は、「Beingというすばらしいキーワードに出合った。これが自分の探していたものだ」と目を輝かせて、生き方をアップデートするほどの影響を受けていました。

そのときのボクは、まだ「Being」という概念と距離があったのですが、1年ほどしてから男性向けプログラムに参加する機会を得ました。「自分のありたい姿で生きる」ことがいかに大切かを4日間じっくり考えるなかで、世の中の見え方が変わっていくのを感じました。それから日本に帰ってあたりを見渡すと、ありたい自分で生きていくことを追求できている人はとても少ないのだと気づかされました。特にビジネスパーソンは、「やれ」と言われたことを忠実に遂行している人がほとんどだと思うんです。

ボク自身の「Being」は「多くの人をハッピーにする」こと。多くの人が今の時点では気づいていないけれど、気づいたら間違いなくハッピーなこと、というのがボクにとっての「Being」の位置づけなんです。「Being」を広めることが、そのままボクのライフワークだと考えています。

荒木:

その対比としての「 Doing(ドゥーイング) 」とはどういうものですか

澤:

「 Doing」は行動を意味します。「私はこうありたい。だからこう行動するのだ」という、「Being」に根ざした状態の「Doing」はハッピーな行動です。ところが、「Being」がないまま「Doing」だけがあると、外側から型にはめられた状態になってしまいます。そのままでも社会のパーツとして生きていくことはできます。でも、目標や目的がないままだと、死ぬ間際に後悔するのではないかと思うんです。

ボクが自分のやっていることを「雑にいろいろやってます」と言えるのは、それが全部「Being」に根ざしたものだからです。「Doing」を説明しなくてもいい、極論を言ってしまえば、相手に通じなくてもいいと思えるんです。

でも、一般的には自分が何のために仕事をしているのかが説明できないと、自分の社会的存在意義がないような気がして、怖くなってしまいますよね。だからつい、会社名や会社の中の役職に重きを置いてしまう。

荒木:

澤さんの理論を理解はできても、実現することに難しさを感じる人は多いのではないかと思います。そんな人にどんな言葉をかけますか?

澤:

「何から始めればいいですか」という質問について、ボクがよく口にする提案は2つです。

まずは「やめることを決める」ということです。「なんだかわからないけれどやっている」ものをどれでもいいから一つやめてみてください。やめてもきっとなにも起きなくて、せいぜい上司から小言を言われるぐらいです。人生から見たらそんなもの、誤差にすぎません。どうでもいいことに時間を取られるのはもったいないことですから、まずはなにかをやめてみましょう。

次は、いきなりフルスイングしなくていいから、自分が本当にやりたいと思っていることを一つ始めることです。たとえば「いつか海の近くで住みたい」と思っているなら、いきなりマイアミの海辺に豪邸を買うことはできなくても、湘南の海辺に3日間Airbnbで滞在して働くことはできますよね。旅行ではなく「住んでいるんだ」というマインドセットを持って仮想体験ができれば、それはスモールステップになります。そうした小さな行動で、見える世界が変わってくるんじゃないかなと思います。

荒木:

組織に所属していると、「あなたはこうしなさい」「あなたのキャリアはこうです」という、強いメッセージが組織から送られてきますよね。そうしたなかで、小さなことであっても「自分で考えて自分で決める」という体験ができることは重要ですね。


個人と組織のフラットな関係を目指して


澤:

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今は自分で考えて行動を起こす絶好の機会です。たとえば、「ミーティングはやっぱり対面じゃないと」と言われても、「出勤を強要するということは、私たちを新型コロナウイルスのリスクにさらすということですよね」と言い返すことができる。対面で行う必然性について、説明する責任がマネジメント層に生まれたわけです。

もちろん、正当な理由があって出社という判断が下されたなら、出社してもいいと思うんです。でも、「上司が来いと言っているから」という理由だけで出社するんだったら、もっと自分の頭で考える必要があると思います。

荒木:

時代の流れのなかで、僕たちには武器が与えられつつありますよね。今までは組織に属して上下関係の中に取り込まれるかたちで働く人が圧倒的多数でしたが、これからは個人と会社がフラットに契約するという考え方が徐々に強まっていきそうです。

澤:

ヒエラルキーを重視するマインドセットは、管理する側の都合で存在しているものだとボクはとらえています。武士のヒエラルキーが日本人に根づいているという言い方がされることがありますが、そうした考え方を現代の組織に適応してしまうことには違和感を覚えます。

最近、『武士と世間』という本を読んでいるのですが、そこに「世間」の語源はサンスクリット語で「loka(ロカ)」だという話がありました。「loka」の語源は、「否定され壊されていくもの」なんだそうです。そして、漢語になって「世間」という字があてられたわけですが、「世」は時間、「間」は空間を意味します。

ボクはこれがものすごくおもしろいなと思ったんです。テクノロジーで解決するのは、時間と空間なんですよ。進歩したテクノロジーが、時間と空間を、本来壊されるべきであった世間を、壊すタイミングが来ているのだと思います。

荒木:

壊された結果、ますます「あなたは何がやりたいか」ということが問われることになりますね。チャットでも、「やりたいことが見つからない」という質問が来ていますが、それについてアドバイスはありますか?

澤:

まずは、子供時代に見たテレビアニメや漫画のヒーローやヒロインでもなんでもいいから、憧れていることやこうなりたいものを徹底的に分析することがおすすめです。「あれになりたかった」というものがあれば、「じゃあ、なんで?」という理由を分析していくと、自分のありたい姿についても気づきが得られると思います。荒木さんは子供の頃、なにになりたかったですか?

荒木:

小学校の卒業文集では「社長になりたい」と書いてありましたね。きっと、自分の道を自分で切り拓きたいという、根源的な欲求の発露だったんだと思います。

澤:

ちゃんと叶っているじゃないですか。そうした欲求が、荒木さんの生き方にそのまま反映されているのかもしれないですね。


肩書きも名刺も不要な場所へ行く


荒木:

単一の価値観の中にいると、そもそも自分が何をやりたいのかという疑問を持つこと自体が難しいかもしれません。澤さんがよくおっしゃっていますが、多様な価値観を知ることはとても大事なことだと思います。

澤:

ボクは「外のものさし」を持ちましょうとよく言っています。特に日本企業に属していると、「同じような人であれ」と同調圧力が強くはたらくと感じています。そうすると、自分を測るためのものさしが、「会社の中で評価される」という単一の価値観になってしまいます。たとえば、上司より早く出勤して遅く帰るという、社会貢献とはまったく関係のないことが評価基準になったりしますよね。そうした閉じた価値観以外に、考え方がまったく違う人たちの「外のものさし」を知ることはとても重要です。

荒木:

新卒で大手総合商社に勤めていたのでとてもよくわかります。多様な価値観ももちろんあるんですが、それよりも先に「何年次で管理職何級に昇格した」「何歳で部長になった」という記号的な情報がすごく多くて、人の見方がフラットじゃないんですよ。そうした記号情報から離れて、いろんな価値観に触れて、「ああ、こういう生き方もあるんだ」と知ることは、「Being」を追求するうえで重要なことですね。

澤:

肩書きや名刺が必要のないところに自分をおくことはとても重要です。ボクは幸運にも、そういう機会に恵まれてきました。

たとえば、ボクは野沢温泉スキー場のスキースクールのインストラクターを40歳を過ぎてから4〜5年やらせてもらいました。普段は畑や田んぼで仕事をしている農家の人たちの中に、スキーにかんしてはオリンピック級の腕前で、グローバルな視点を持っている人たちがいて、とてもおもしろかったです。ボクのもう一つの趣味でもある格闘技の試合会場にもいろいろな人がいます。異なる価値観の人が一つの格闘技のルールのもとに集まっていて、「札付きのワル」と警察官がグローブをつけて試合をすることもある。そうした価値観のミックスする場を知っておいたほうがよいと思います。

flier book laboも、心理的安全性が担保されたうえで、運営するスタッフがちゃんといて、本という一つのキーワードで多様な価値観の人たちが集まれる貴重な場ですね。オンラインだと移動の制約もないし、大きな投資をしなければいけないわけでもないし、なおかつ得るものもある。特に、ボクは知的好奇心をくすぐる、本が題材になっているところがいいと思います。

荒木:

flier book laboも含め、オンラインコミュニティでは名刺を交換することがないですよね。そういう記号情報から解き放たれて、その人がなにを言っているのか、なにを考えているのかだけが重要な世界を持つことは、重要なことかもしれません。

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澤円(さわ まどか)

株式会社圓窓代表取締役。1969年生まれ、千葉県出身。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報共有系コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年、マイクロソフトテクノロジーセンター・センター長に就任。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみ授与される、ビル・ゲイツの名を冠した賞を受賞した。2020年8月に退社。現在は、年間300回近くのプレゼンをこなすスペシャリストとしても知られる。ボイスメディア「Voicy」で配信する「澤円の深夜の福音ラジオ」も人気。著書には、『外資系エリートのシンプルな伝え方』(KADOKAWA)、『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1 プレゼン術』(ダイヤモンド社)、伊藤羊一氏との共著『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)などがある。

荒木博行(あらき ひろゆき)

株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員、株式会社絵本ナビ社外監査役。

著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。

flier book laboについて

flier book laboは、フライヤーが主催するオンラインコミュニティです。さまざまな領域で活躍するパーソナリティによる音声コンテンツの「TALK」、パーソナリティーといっしょにオンラインで書籍について語り合うワークショップ「LIVE」、labo会員の皆さんの自主企画による読書会「CLUB」を中心に活動を行っています。

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文責:池田友美 (2021/02/16)
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