
ご好評いただいているフライヤーの無料オンラインセミナー、今回のゲストスピーカーは、フライヤー主宰のオンラインサロン「flier book labo」第2期パーソナリティの一人であり、KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院の教授に加え、早稲田大学ビジネススクール・女子栄養大学の客員教授や、放課後NPOアフタースクール・認定NPO 3keysの理事を務めるなど、多彩な活躍をされている三谷宏治さんです。
そんな三谷さんは、これからの時代にはどんな力が必要だと考えているのでしょうか。今回のオープントークセッションでは、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行さんのファシリテーションで、「前提に立ち返る力」と「面白いことの発見力」の重要性や、2つの力の身につけ方についてお話しいただきました。本記事では、当日の様子を再構成してお届けします。
オンライン読書コミュニティflier book laboの「TALK」(※会員限定の音声コンテンツ)のある回で、三谷さんは『フェルマーの最終定理』を紹介していましたよね。あの回で、「前提に立ち返る力」を重んじる三谷さんの思想のエッセンスを感じました。
TALKの最後で三谷さんは、「天才とは、答えを出すのではなく、答えの出し方を新たに考える人。さらには、答えの前に、重要な問いそのものを見つけ出す人だ」と語っていました。
仕事をしていると、「既存のルールの中でいかに答えを出すか」に時間を費やしてしまい、時間の使い方そのものを定義することはありません。でもだからこそ、「そもそもこのルールで生きていていいのか?」という問いに価値があるはずだと感じました。


天才をそのまま真似することはできませんが、根本にさかのぼることは大切ですよね。そうしないと、同じことを繰り返すだけになってしまう。
荒木:同感です。ただ、問いを立てる人って、組織の中では面倒な人扱いされがち(笑)。問いを立てることの意義は重々承知ですが、どうすればいいんでしょう。
三谷:問いを立てたり受け入れたりして「正しく決める」には、時間的余裕・精神的余裕がないといけません。生きるか死ぬかという局面で、違う意見を取り入れるのは難しいものです。
だから私は常に「早めにやること」を意識しています。たとえば全8回にわたる「TALK」の各回で取り上げる本を、放送開始の1か月前には一旦ピックアップしていました。そのベースがあるので放送を始めてからも、余裕をもって変更することとができました。「リスナーからこういう反応が届いたから、ここを深掘りしてみよう」とか。こうしたことは、ギリギリのスケジュールでは難しいですよね。
荒木:余裕があるから工夫を凝らせると。
三谷:その通り。そうしておもしろい仕事ができれば、認めてもらえる。認めてもらえれば、あまり口出しされずに好きなことができる。そこからまた余裕が生まれるのです。
一方、余裕がないと、面白いことができず、認めてももらえません。「鶏(行動)が先か、卵(作品)が先か」でいえば、まずは行動を変えて余裕をつくり、いい作品をつくるしかないのです。そして余裕をつくるには、とにかく早めに着手するというのが一番です。
荒木:なるほど。余裕を生み出すために、仕事のやり方そのものを変えるんですね。仕事をするだけでなく、「仕事のやり方を定義する」という一段高いところにいかないといけない。
ところで三谷さんは、 前提に立ち返るヒントを、大好きなSFから得ていらっしゃるように思います。SFで描かれる世界って、今の世界と基本的には同じで、たった一つの前提だけが異なっている場合が多いですよね。それだけで、世界は大きく変わってしまう。そんなSFは、純粋に読み物として楽しめるだけでなく、思考トレーニングにもなるのではと感じました。
三谷さんの「人生の転機を支えた一冊」をインタビューした記事はこちら
三谷宏治が語る「人生の転機を支えた一冊」SFは「本質」を探るための最高の実験場
SFこそが人類の最強の思考実験場です。たとえば機械知性と人間知性が戦うようなストーリーでは、「人間知性の存在価値」が問われているわけです。この破滅的な知性に意味はあるのか、と。そして、機械知性と対比することではじめて、人間知性の非効率性や創造性が際立つのです。SFの名作といわれるものの多くは、そうした根源的な問いを投げかけてくれます。
荒木:「人間って?」と考えるのは難しいけれど、人間でないものとの対比によって、人間というものの縁取りが見えてきますね。
「前提に立ち返る力」に加えて、「面白いことの発見力」もダイジです。
多くの創造は、頭の中でなく「発見」から生まれます。多くの現象や情報の中から、「これは面白い!」と思えるものを見つけだすこと。そして、ここでも時間や心の余裕が必要です。
荒木:余裕がないと、「面白いもの=外れ値」を、「発見」ではなく「ノイズ」と捉えてしまいそうです。
三谷:そうですね。余裕がないと、そもそも外れ値自体を見つけることもできません。
上から見ると全部同じでも、横から眺めたら外れているものが見つかるかもしれない。こういった「面白いこと」を見つけ出す力は、「センス」だったりするわけですが、鍛えられるものでもあります。そのためには、書籍などからいろいろな切り口を学び、学んだ切り口を試してみることが有効なのです。
荒木:なるほど。発見力を身につけるために、「型」としていくつかの切り口を本から学び、試してみるということですね。
今回は「前提に立ち返る力」と「面白いことをの発見力」について、三谷さんの経営コンサルタントとしての経験も踏まえてお話しいただきました。三谷さん、ありがとうございました!


![戦略読書[増補版]](https://static.flierinc.com/summary/2373_cover_300.jpg)
![戦略読書[増補版]](https://static.flierinc.com/summary/2373_cover_300.jpg)






三谷宏治(みたに こうじ)
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
1964年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業後、BCG、アクセンチュアで19年半、経営戦略コンサルタントとして活躍。1992年 INSEAD(インシアード)でMBA修了。2006年から教育分野に活動の舞台を移し、年間1万人以上に授業・講演。無類の本好きとして知られる。著書多数。『経営戦略全史』はビジネス書賞2冠。『ビジネスモデル全史』『新しい経営学』の他に、『お手伝い至上主義!』『戦略子育て』などの家庭教育書も。
早稲田大学ビジネススクール・女子栄養大学で客員教授、放課後NPOアフタースクール・認定NPO 3keysで理事を務める。永平寺ふるさと大使、3人娘の父。