
第8回 flier book labo オープントークセッション 【イベントレポート】
ご好評いただいているフライヤーの無料オンラインセミナー、今回のゲストスピーカーは、フライヤー主宰のオンラインサロン「flier book labo」第3期パーソナリティの一人、「1枚」ワークス株式会社代表取締役の浅田すぐるさんです。
浅田さんは、トヨタ自動車勤務時代の経験を踏まえ、「紙1枚」にまとめる思考法を実践し、多くの企業で研修・講演登壇をされてきています。今回は独自に考案されたテクニックの仕事への応用法や、パーソナリティとしてのご活動を中心にお話いただきました。株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行さんのファシリテーションで行われ、申込者700人超と盛況だった当日の様子を再構成してお届けします。
ライター・南龍太
浅田さんと言えば、社名にもなっている「紙1枚」ですね。
オンライン読書コミュニティflier book laboの「TALK」(※会員限定の音声コンテンツ)では全8回、本を使った学びの型について話していただきました。8回のお話を振り返っていかがでしたでしょうか?

こうしてまとめてもらったのを見ると感慨深いですね。20分ほどの音声を月2回配信するために、毎回苦労してやっていました。選書も結構悩みましたね。
荒木:特徴的だったのは、紙1枚でコンパクトにまとめているという点です。こちらは第1回、Day1で使った紙1枚ですね。

この第1回は「「分かりやすかった」という感想を禁句にする」という命題について、紙1枚を使って学ぶ内容でした。
この命題に取り組むに当たり、What、Why、 Howの問いを設け、答えを書き込んでいきます。この3つの疑問詞を解消できれば、とりあえず分かったという感覚が生まれてくるので、その枠組みに当てはめて考える練習をしました。
荒木:この紙1枚にあるのは16マスほど。それぞれが小さく、制約があるのがポイントですね。
浅田:おっしゃる通りです。制約があるためにあれもこれもできない。つまり、要る・要らないの取捨選択をすることになり、おのずと優先順位も付けられます。
荒木:ビジネスパーソンがいろいろなテクニックを覚えてくると、さまざまなステークホルダーに配慮して角を立てないような丸い表現にするといった、別の方向の学習をしてしまうこともありそうです。
「分かりやすい」を禁句にするという、短くシンプルにすることはあらためて大事なことですね。
浅田:丸める技術もスキルといえばスキルですが、丸めずに本質を射抜いてシンプルに言語化する能力の方が重要です。そのさじ加減が難しいのですが、吟味というか別の言葉に置き換えるような思考整理を日常的にしていけば、言葉は磨かれていきます。
そうしたマインドでコミュニケーションをしていくと、薄っぺらくない本質的な仕事ができるようになります。これは私がトヨタ自動車で働いていた時代に学ばせてもらったことです。
こちらがDay1~8の全体像ですね。

全体を貫いて一番感じてほしかったことは、学生と社会人の違いは何かについて。つまり、社会人になってからは、仕事に活かしてなんぼということです。仕事で活かせる読書、学びを身につけるために大事なポイントは、Day8の「人間交際」やDay6の「他者目線」の「国語力」などです。
学生と社会人の学びの違いに関し、あえて線を引くとすれば、他者が登場するかどうかに尽きる、と強調してきました。なぜ他者か。それは、売り上げは1人で立てられないからです。誰かお客さまに払ってもらう必要があり、自己完結で仕事は成立しません。必ず他者が登場します。
他者に説明する意識づけの習慣が身についているかどうかが、成長する上での最大の分岐点と考えていました。そのことが聴講者の皆さんに漢方薬のようにしみ渡ればいいなと考え、2週間ごとに配信していました。
荒木:「他者」が全8回を貫く大事なコンセプトでしたね。同様に指南されていた「20字にまとめる」というテクニックも、他者に伝えようと意識するからこそ、エッセンスが凝縮されるわけですし。
浅田:はい。最近は独学ブームの風潮を感じていますが、人間は社会的動物なので、1人ではだめなんです。
荒木:多くのビジネスパーソンは自己完結で終わってしまっている印象でしょうか?
浅田:それはずっと感じています。これまで何千人もの社会人と話す中で、何のために仕事しているか聞くと、「成長のため」、「キャリアアップのため」という答えが非常に多かったです。
しかし成長してキャリアアップしてどうするのか尋ねると、ぽかんとされてしまい、自分以外の他者が登場しないまま会話が終了してしまうことがたびたびありました。そういう仕事観でいると、成長は途中で頭打ちになってしまいます。
仕事の本質は、人様の役に立つということなのにそこが抜け落ち、成長のためといって行き詰まり、力を出し切れていないビジネスパーソンが少なくありません。
荒木:その話でいうと、Day1の「分かりやすいを禁句」のテーマにつながりますね。「自分が楽しかった。以上」では、他者へ学びを広めたり報いたりする「ペイフォワード」が出てきません。
浅田:その通りで、「分かりやすかった」というのは完全に自己完結になってしまいます。「この分かりやすい説明をあの人にもしてあげよう」だったらペイフォワードになりますが、「そこまで念頭に置いて話を聞いていますか」ということなのです。
「いい話を聞いたな」で終わってしまうとそれで本当に終わり。私はそれを「消費」と呼んでいますが、そうではなく、誰かに伝えるように「投資」した方がいい。その方が社会の役に立ち、ビジネスライクだと思います。
学びの最大の王道は人に教えることです。人に教えることが自分の学びにもなると昔から言われ、中高生の頃、分からない子に教えるのが一番自分の勉強になったという経験は、多かれ少なかれ皆さんもおありではないでしょうか。
「それを社会人になってもやろうよ、学んだことを独り占めするんじゃなくて」と説いています。
荒木:Day7は『知識創造企業』(野中郁次郎)を紹介されていました。「スパイラルアップ」と野中先生は表現されますが、今の文脈で言うと、他者に教えると他者からフィードバックがあって、それがまた新たな刺激となって新たなアウトプットにつながる。しかし自分だけで完結すると、スパイラルアップがそこで終わってしまうんですよね。


そうですね。野中先生が言わんとしているのは関係性。自分一人では知識は創造できず、人との関わりの中で人との関わりの中で創造されていく。私はそう解釈しています。本日のセッションも、オンラインではありながら、関係性を紡ぎながら進めているので、知識化されていると言ってもよいと思います。
生涯学習の時代と言われて久しいですが、仕事を通じた他者との関係性の構築は、捉え方次第では最良の学習機会・知識創造の機会だと言えます。「独学」も大事ですが、独力では得られない学びも、社会人学習では重要です。
荒木:成長し続けるのが大事ということですね。今回は「社会人の学び型」について、浅田さんにお話しいただきました。ありがとうございました!




浅田すぐる(あさだ すぐる)
「1枚」ワークス(株) 代表取締役、パーソナルビジネススクール:「1枚」アカデミア・プリンシパル、オンライン動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。
著者累計43万部超のビジネス書作家。『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版、2021年5月に文庫版としてリニューアル)『-超訳より超実践-「紙1枚!」松下幸之助』(PHP研究所)『説明0秒!一発OK!驚異の「紙1枚!」プレゼン』(日本実業出版社)など6冊を上梓。
2012年より公式メールマガジンを1,000号以上継続して配信中。読者数19,000人超。
荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教員、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員、株式会社絵本ナビ社外監査役、株式会社NOKIOO スクラ事業アドバイザー。
著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。