複雑な事象もこれでシンプルに!「構造化」のポイント
イベントレポート:flier book camp開講記念セッション

複雑な事象もこれでシンプルに!「構造化」のポイント

フライヤーが運営するオンラインコミュニティflier book laboでは、さまざまな会員限定コンテンツを提供しています。その魅力をちょっとだけ体験していただける、無料のランチタイムセッションが2022年1月11日に開催されました。

今回のゲストスピーカーは、株式会社学びデザイン代表であり、オンライン講座「flier book camp」で講師を務める予定の、荒木博行さんです。2月〜5月に全4回で開講予定の講座のテーマは「ストラクチャード・シンキング」。どんな仕事をしていても求められる、「読む」「書く」「聴く」「話す」力の本質にあるのは「構造化力」です。講座では、そのスキルの体得を目指します。

今回のセッションでは、講座に先がけて「構造化力」について荒木さんにポイントをお話しいただきました。本記事では、当日の様子を再構成してお届けします。

自分でゼロから仕組みを作る「構造化」

荒木博行:

世の中の事物は、基本的にランダムです。講座で扱う「構造化」は、そんな世の中に一定の法則を見出すことです。僕は「荒木博行のbook cafe」というVoicyの番組で、毎日本を紹介しています。書籍の中でランダムに展開する論理にどんな法則を見出してまとめるか、ということも構造化の一種です。

たとえば、友人の本棚を眺める機会があったとします。そこに並んでいるいろいろな本には、どんな特徴があるでしょうか。世の中は本棚と同じように、事物がランダムに並んでいます。そこに構造を与えて、分けるとしたら、いろんな分け方が考えられますね。この本棚は赤い本と白い本ばかりだなと気づいたら、色に着目するというのも一つの分類の仕方です。

色という「変数」を発見し、そこから赤と白という「要素」の発見に至ったわけです。変数を固定したままで要素を変えれば、「朱色の本」「赤い本」「オフホワイトの本」「純白の本」と、要素をどんどん細かく分けていくこともできます。変数を変えると、「テーマ別」に分類することもできますし、「翻訳本」と「原著」という分け方もできます。

変数にも要素にも無限の可能性があります。しかし、ある構造を作ると、それを絶対視して、それがすべてだと思ってしまうことがよくあります。色で分けたら、それ以外が見えなくなってしまうような状態です。

たとえばとある会社の社員をどうやって分けていくか。よくある変数には、年齢、性別、役職、部署などがあります。しかし、変数は無限に考えられるはずです。なぜあえてその変数を選ぶのか? その変数が今の環境にとって本当に最適か、本来ならばそうしたことを考えなければなりません。

では、なぜ私たちがそういうことを考えないのか、といえば、平たくいえば面倒臭いからです。変数や要素をゼロから考えて構造を作ることはすごく大変なことですよね。だからこそ、こういう場でトレーニングを繰り返し、いざという時にさっとできるようにしておくことにはすごく意義があると思います。

「ストラクチャード・シンキング」講座のDAY 1では、まず「構造化の全体像」を理解します。先ほど簡単に説明した「変数」と「要素」の裏には、「問い」があります。何が良い変数かを決めるのは「問い」です。作りたいのが見栄えの良い本棚か、創造性が高まる本棚かで、どう本を分けるかが違いますよね。「問い」によって無限にある変数と要素を決めることができます

DAY 2では、構造化に必要なスキルである、具体的な「違い」の発見と「抽象化」を扱います。抽象化と具体化というスキルセットを身につけられれば、構造化はぐっとやりやすくなります。演習を通じてポイントの体得を目指します。

DAY 3で扱うのは、構造をどう表現するかです。ピラミッド・ストラクチャーやマトリクス、因果関係図など、人に伝えるためのツールはたくさんあります。問いに合わせて、適切な表現方法を選択します。

最後のDay 4は実践として身の回りのいろいろなものを構造化する練習を行います。たとえば、会議の間に書き散らかされたホワイトボードを「まとめて議事録にしてね」と言われたら、腕の見せ所です。発言者と発言の順番が大事な会議なのであれば、議事録は「時間軸」という観点でまとめるべきかもしれない。一方、アイデアの創発を重視するのであれば、話者も時間も必要なくなります。議論されたテーマの塊ごとに記録したほうがそこからアイデアが生まれやすくなるはずです。DAY 2とDAY 3で学んだ、ストラクチャード・シンキングを支える大きな二本柱を、DAY4でどんどん実践していきます。

こうした構造化ができるようになると、さまざまなシーンに応用することができるようになります。

強い構造を作れば、応用できる

僕が過去に出版した『世界「倒産」図鑑』と『世界「失敗」製品図鑑』は、実はどちらも同じ構造で失敗例を紹介しています。

世界「倒産」図鑑
世界「倒産」図鑑
荒木博行
日経BP
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世界「倒産」図鑑
世界「倒産」図鑑
著者
荒木博行
出版社
日経BP
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世界「失敗」製品図鑑
世界「失敗」製品図鑑
荒木博行
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世界「失敗」製品図鑑
世界「失敗」製品図鑑
著者
荒木博行
出版社
日経BP
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まずは「ファクト」として成立したプロセスと失敗したプロセスを紹介し、次に「解釈」として個別事例の解釈と、汎用化の解釈を僕の視点から提示するという構造です。2冊合計で45の例は、すべて同じ構造の繰り返しで書かれています。

一度強い構造を作ってしまえば、それを違うテーマで再利用することができます。強い構造を作るためには、他の人が作った強い構造の上に乗っかるだけではなく、その当たり前のように存在する構造を見直すことが必要なんです。

すべてのビジネスモデルには構造があります。変わりゆく環境の中で、いつまでその構造が適切かは、その構造の上に立っていると見えなくなってしまいます。その構造が当たり前で、唯一のものだと思い込んでしまうのは危険です。

チャット欄で、みなさんいろんな構造を挙げてくださっていますね。「終身雇用」「新卒一括採用」、みんないろんな構造の上に立っていますね。自分がどんな地平、建造物に立っているのかを理解して、分解して考えてみると、別の構造ができる可能性に思い至るかもしれません。

「構造化はクリエイティブなんですね」というコメントもいただきました。構造化は、無限に存在する可能性の捉え方自体を変えるということですから、とてもクリエイティブですし、人間が不得意な「当たり前を疑う」ということが必要とされるチャレンジングな活動でもありますね。

構造化の力が、キャリアを一歩前に進ませてくれる

ストラクチャード・シンキングを講座で学ぶ意義は、心理的安全性のある場所で構造化の練習ができることです。新しい構造を提示するとき、既存の構造に異を唱えることになります。今の構造の中で頑張っている人にとっては、それはノイズでしかありません。そもそも論を唱える人はときには異端扱いをされて、同調圧力から疑いを持つことすらできない空気があるかもしれません。そんな中で新たな問いを発するのであれば、相当の覚悟と実力が必要になります。周囲の否定的なリアクションに耐えられるくらいの構造の提案ができるかが問われることになります。いきなり実務でやるのは難しいことですから、講座を実践を積む場として利用してもらえたら嬉しいですね。

本音を言えば、全人類に受講してもらいたいのですが、キャリアのフェーズによっては今は必要ないという人もいるかもしれません。ある段階では、自分の今いる構造に没入して、実績を積むことが大切です。でも、そういう段階を乗り越えて、今のやり方に行き詰まりを感じているとしたら、この講座が助けになると思います。構造を自分で作ることで、きっと新たな世界が見えてくるはずです。

荒木博行(あらき ひろゆき)

株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教員、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員、株式会社絵本ナビ社外監査役、株式会社NOKIOO スクラ事業アドバイザー。

著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。

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文責:池田友美 (2022/01/20)
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