
フライヤーが主宰するオンラインコミュニティflier book laboでは、さまざまな会員限定コンテンツを提供しています。その魅力をちょっとだけ体験していただける、無料のランチタイムセッションが2022年2月17日に開催されました。
ゲストスピーカーは、flier book laboでパーソナリティを務め、オンライン講座「flier book camp」で講師を務めてくださる予定の、チャーリーこと近藤哲朗さんです。それぞれの人が自分の中に持っているであろう「問い」。その人の「気になる」気持ちや「感動」を道しるべに、知識の海へと漕ぎ出す講座を目指します。
今回のセミナーでは、株式会社フライヤー アドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行さんのファシリテーションで、プログラムの内容を先取りしてご紹介いただきました!
今回は、『ビジネスモデル2.0図鑑』や『会計の地図』の著者として知られ、図解をご専門に活躍している、近藤哲朗さんにお越しいただきました。すっかり「図解の人」というイメージが定着していますね。今日はよろしくお願いします。
近藤哲朗(以下、チャーリー):株式会社そろそろ代表取締役社長、ビジュアルシンクタンク「図解総研」代表理事を務めています、近藤哲朗です。普段はチャーリーと呼ばれています。現在は図解を軸に、講演やコンサルティングなどのさまざまな活動を行っています。
荒木:チャーリーさんには、3月から「読書の図解」をテーマに全4回の講座を開講していただくことになりました。まず、講座の概要を聞かせていただけますか。
「読書を深める図解ワークショップ」を開講するにあたって、「そもそも読書とは何か」ということについて考えました。まずは、講座の第1回のテーマであり、講座全体の考え方にもつながる「読書の構造」について、解説したいと思います。

読書の構造を、僕はこの図のようにとらえました。「書籍」「引用」「単語」という3つの要素があって、これを行き来しながら仮説を深め、知識化していくイメージです。この三角形の底面は、まだ自分の考えが一切ない状態を表しています。その状態から、「書籍」を読んで、何かしら気になる文章を「引用」したり、気になる「単語」を見出したりすることで、この面が徐々に上に上がっていきます。

たとえば、何の前提知識もないまま、ある本をおすすめされて読んだとします。その時点では、自分の考えは一切ない、フラットな状態です。それでも、本を読んでいると、気になった箇所が出てきますよね。「気になる」は、自分の知識や経験から生まれます。気になる文章に線を引いて引用する、気になる単語を見つけて別の書籍を探す、そうした連鎖を経て、螺旋状にぐるぐるとある分野の知識の階段を登っていくんです。
なぜこういう構造を思いついたかというと、玉村豊男さんの『料理の四面体』(中央公論新社)という本で紹介されていた、すべての料理を包括する一般的なモデルを表現した四面体を思い出したからです。僕はその図を見たときに、すごく衝撃を受けたんです。料理自体にはそこまで関心があるわけではないのですが、料理がこんな形で表現できるんだということに感動しました。
「料理の四面体」の図では、「油」「空気」「水」の3つの要素を底面において、一番下はまったく火が通っていないナマモノの状態を表しています。そして、上にいくにつれて、火が通っていくんです。きっと、料理が好きな人が見たら、これで料理が理解できる、料理がしやすくなる、と感じると思うんです。でも、僕がここから得たキーワードは「フレームワーク」でした。
僕は日頃から、「ある事象についてあらゆるものを説明しうる一般原理はどう生まれるか」という問いを持っていました。だから、料理にこんなフレームワークがあるんだと知ったとき、自分の問いに答えてくれたような気がしてうれしくなったんです。
先ほど話したように、読書では、「書籍」「引用」「単語」を行き来します。なぜその「引用」をしたか、「単語」を抽出したか、自分は何に心を動かされるのかの裏側には、問いの存在があります。知識は問いに始まり、問いに対する答えで終わります。そして、その答えから、新しい問いが生まれていきます。
こうして得た知識をより深め、知識同士を連結させるには、自分の持っている「仮説」を、図としてストックしておくことが有効なのではないかと考えています。図は、関係性を描くのが得意なので、図解にすることで自分の知識が整理され、人に伝えやすい状態にすることができます。でも、いきなり図解をしようとしても、なかなかうまくいくものではありません。事前の準備として、まずは自分の頭の中にある知識を整理して、何を図解するかを見極める必要があります。
講座では、「Notion」というツールを使って、読書ダッシュボードを作成することで、知識の棚卸しを行う予定です。「Notion」を使うと、データをストックして、関連づけながらダッシュボードを作成することができるんです。
僕は、先ほど紹介した読書の構造に合わせて、「Notion」上に「書籍ボード」「引用ボード」「単語ボード」を作成しています。読んだ書籍は「書籍ボード」に紐付き、その中から気になって引用した文章は「引用ボード」にまとめることができます。さらに、引用した文章の中から気になる単語を「単語ボード」に集約することができるんです。自分の脳内にあるネットワークを、「Notion」上に作って見える化するイメージです。この作業を行うと、自分はこんなことが気になっているんだな、とそれまで意識していなかったテーマや単語が目に留まるようになります。
荒木:「図解の講座」と聞くと最初から図解を始めるような気がしてしまいますが、そうではないんですね。受講者の方は、チャーリーさんから単に図解のコツを学ぶというわけではなく、それぞれの人が持っている問いをベースに、本から得られる知識を形にしていこうというワークなんですね。
チャーリー:そのとおりです。扱う本はその人がバイブルにしている一冊でも良いですし、今気になっているテーマに関する本を複数冊取り上げるというかたちもあると思います。
自分にはない問いをゼロから作るというよりも、誰もが持っているであろう、自分の中にもやもやとある、言語化できていない段階の問いを引き出せればと思っています。自分がどんな引用をしているか、どんな単語を抽出しているかを可視化すると、自分にとって気になるものは何なのかを気づくヒントになると思うんです。
荒木:知識を深めるプロセスについてはすごく共感できますね。私が概念を自分の中に落とし込む過程でも、同じようなことをやっています。書籍に触れ、引用し、気になる単語を見つけると、芋づる式にいろんな本がつながっていって、それによって知識が深まっていくんですよね。
チャーリー:僕自身も、今回のワークの準備のためにはじめて読書をテーマにして「Notion」を使ってみたのですが、知識が数珠つなぎのようにつながっていく感覚を味わっています。たとえば、データを連結したときに、自分が「協同組合」という単語を気にしていることに気づいたんです。そこで、他にも「協同組合」という単語が入っている本がないかと探してみると、他の本へとつながって、違う引用が出てきます。どんどん知識の海に潜っていく感じがして、これはもう抜け出せなくなるくらいにハマってしまいそうです。
荒木:「Notion」を使い慣れていない人もいると思うのですが、受講者の方にはどの程度の前提知識が必要ですか?
チャーリー:パソコンやスマホで簡単に操作ができるので、そうした端末を使い慣れていなくて文字入力もおぼつかないということでなければ、そこまで多くの知識は必要ありません。僕が作ったダッシュボードのテンプレートがあるので、受講者の方にはそれをお配りします。一から自分でダッシュボードを作る必要はありません。テキストの入力ができれば大丈夫です。そのやり方も細かくお伝えする予定です。
荒木:なるほど、そこまで心配する必要はないんですね。今日の冒頭のお話のように、「読書の構造」についての考え方を理解して、自分が持っている問いをベースに知識を整理して図解を行うことになりますよね。詳細は講座でということになると思いますが、図解のコツについて少しだけ教えていただけますか。
チャーリー:図解をする際には2つの重要な考え方があります。まずは、本質的に「図」とは何かを理解するということです。より良い図を作るためには、習熟度が高い図の定義を知らなければなりません。まずは、図にするというのはどういうことか、どんなレベルで図を描くかということを理解していただくことから始めます。
荒木:おもしろい考え方ですね。極端なことを言えば、長文を書いた後に矢印を一つつけて、その後にまた長文を書いても「図解です」と言うことはできますもんね。
チャーリー:そうなんです。それは「レベル1」の図解ですね。受講者の方には、図としての練度を高める、レベルの階段の全体像を掴んでいただく予定です。 もう1つお伝えするのは、テクニックです。先ほどお話しした図解のレベル感に合わせて、図を構成するためのテンプレートをいくつか用意しようと思っています。図解しようとしていることに必要とされるレベル感や、自分の問いにあったパターンの図を選んでカスタマイズすることで、図解をしてもらいます。最終的には、受講者の方それぞれの図解の発表をしていただきたいと思います。
先日チャーリーさんは、「図解の根底には感動がある」という話をされていましたよね。図解にする前提としてのモチベーションには感動がある。先ほどのお話にあった『料理の四面体』にも感動があったんですね。
チャーリー:そうなんです。それは今回も大事にしたいと思っているところです。それぞれの人が、自分の中にいろんな問いを持っていると思うのですが、感動する問いとしない問いがありますよね。他の人に求められて仕方なく持っている問いに感動はありません。自分の好奇心や感動がどこに向かっているかを知ることは、知識を深める第一歩になるはずです。感動は、知識の海を進むコンパスのようなものです。感動を頼りに歩き、心が動く瞬間をとらえないと、自分にとって何が必要なのか、自分は何が知りたかったのかがわからなくなってしまい、迷子になってしまいます。
荒木:そうした経験を積むと、自己表現もうまくなりますね。仕事で役立つのはもちろんですが、もっと広い場面で活用できる力になりそうです。どんな方に講座を受講してほしいですか?
チャーリー:自分が何に感動して、どんな問いを持っているかを図として可視化する、その一連のプロセスに興味が湧いた方には、ぜひ講座に来ていただきたいです。普段の生活や仕事では、気になったもやもやが言語化できないまま滞留しがちです。それを図にしてまとめることができたら精神的なデトックスにもなるのではないかと思っています。
持っている知識を棚卸し、情報を構造化し、そこで生まれた知識を定着させ、伝えられるようにすることを講座の場で練習してみたいという方には、ぜひ来ていただきたいと思います。
近藤哲朗
株式会社そろそろ代表取締役社長。ビジュアルシンクタンク「図解総研」代表理事。
東京理科大学工学部建築学科卒。千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻修士課程修了。面白法人カヤックでディレクターを務め、2014年、株式会社そろそろ創業。
海外のスタートアップから大企業までのビジネスモデルを図解した『ビジネスモデル2.0図鑑』(KADOKAWA)が9万部のベストセラーとなり、「ビジネスモデル図解」で2019年度GOOD DESIGN AWARD受賞。2020年、「共通言語の発明」をコンセプトに「図解総研」を設立。大手企業・研究機関・行政との共同研究を通して、環境問題や政策、共創の図解に取り組む。共著に『会計の地図』『ビジネスの仕組みがわかる 図解のつくりかた』がある。
荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教員、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員、株式会社絵本ナビ社外監査役、株式会社NOKIOO スクラ事業アドバイザー。グロービス経営大学院副研究科長を務めるなど人材育成・指導の分野に20年以上携わる。
著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)『自分の頭で考える読書』(日本実業出版社)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。