自分らしいキャリアのヒントは「欲望」にあり
「ワタシを大切にするキャリア戦略」開講記念イベントレポート

フライヤーが主催するオンラインコミュニティflier book laboでは、さまざまな会員限定サービスを提供しています。その魅力をちょっとだけ体験していただける無料のランチタイムセッションが、2022年5月12日に開催されました。
ゲストスピーカーは、オンライン講座「flier book camp」で講師を務めてくださる安田雅彦さんです。安田さんが担当する講座は、題して「ワタシを大切にするキャリア戦略~パーパス人間になろう~」。
今回のセッションでは、株式会社フライヤーで「flier book camp」企画運営を担当する久保彩のファシリテーションで、プログラムの内容を先取りしてご紹介いただきました!
ハッピーに働ける人の特徴とは?
久保彩(以下、久保):
西友、グッチグループジャパン(現ケリングジャパン)、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカ、ラッシュジャパンと、名だたる企業で人事を務めてこられた安田さん。6月より4回にわたり、「ワタシを大切にするキャリア戦略~パーパス人間になろう~」の講師を務めてくださることになりました。
講座名に入っている「パーパス」という言葉、近年よく耳にするようになりましたよね。ミッション・ビジョン・バリューとどう違うのでしょうか。
安田雅彦さん(以下、安田):ミッション・ビジョン・バリューとの違いは、「わが社と顧客」という直線的な関係だけではなく、ステークホルダーの存在が前提にあることではないでしょうか。利益を出すだけではなく、社会課題を解決したり、世の中に変化を起こしたり……そうしたところに意義を見出すのがパーパスだと考えています。
久保:なるほど。そうしたパーパスが、どのように個人のキャリアとつながっていくのでしょう。
安田:会社は一人ひとりの社員が集まって成り立っているので、会社のパーパスと社員のパーパスは切っても切り離せません。
理想は、会社と社員のパーパスが重なっていることですね。自分と会社のパーパスが一致していると、いきいきと、ハッピーに働けます。
久保:たしかに! 個人と会社の方向性が重なっているということですもんね。とはいえ、2つのパーパスが一致しているのは珍しそうです。
安田:おっしゃるとおり、最初から一致していることはほとんどないでしょう。少しかすっているだけでもいいのです。2つのパーパスの接点を見つける努力をすれば、自分と自分の仕事をより良い方向に進めていけるのではないでしょうか。
キャリアのかけらは「欲望」と「仕事の価値」の中にある
久保:「キャリアプランを考えるのがしんどい」という声もよく聞きます。
たとえば、会社で唐突にキャリアシートを渡されて「〇〇日までに提出してください」と言われ、書くことが思い浮かばず戸惑うとか……。
安田:そうかもしれません。ただ、キャリアは「さあ考えよう!」というものではなく「自分の中にかけらがあるもの」だと思っています。そのかけらと向き合うことで、自分をもっとハッピーにできるはず。
久保:自分の中にあるかけらを見つけて、向き合うということですね。講座では、どのようにそのかけらと向き合うのでしょう?

ポイントは、仲間と一緒に、一人ひとり異なる「欲望」と「自分の仕事がもたらす価値」に目を向けることです。
「欲望」の内容は、キャリアと無関係でかまいません。欲しい、見たい、知りたい、言われたい、食べたい……など、自分の中の欲望を言語化してみましょう。僕は「人からこう言われたい/見られたい」という欲望が、キャリア形成の参考になりました。
「仕事がもたらす価値」なんてない、と思う人もいるかもしれませんね。でも、価値がないなんてことは絶対にありません。ワークを通して自分の仕事の価値を見出しましょう。
そして「欲望」と「仕事がもたらす価値」を並べ、薄くてもいいので、線でつなげていくのです。
久保:「キャリアの展望」「仕事で実現したいこと」「Will」などと言われると難しいけど、「欲望」と言われるとたくさん出てきそうですね! 仲間と一緒に考えることについても教えてください。
安田:参加者同士で1on1をして、相手からアドバイスをもらいます。今まで他の企業さんでもやってきましたが、これが好評なんですね。
上司との1on1はうまくいかないのに、まったく知らない人からアドバイスされるとスッと入ってくるのはなぜだろう――。そのことについても考えてみてもらえればと思います。
久保:その感覚、なんとなくわかる気がします。「仕事の場や利害関係から離れて、ゆっくり自分のキャリアを考えられる時間だから」という理由もありそうですね。
“ゆるいつながり”の中で学ぶことの意義
久保:講座の特徴は、単に自分と向き合うだけでなく「いまの会社や組織で自分をどう生かすか」という軸が加わっているところにありそうです。
安田:おっしゃるとおりです。
自分と組織の接点を見つけられないと「安田さんの話を聞いて前向きな気持ちになったけど、職場に戻って現実にガッカリ」となりかねませんから。日頃の仕事の中でも機能するような形で進めたいですね。
久保:企業人事として、さまざまな人と向き合ってきた安田さんだからこそのやり方だと思います。
今回の講座は、1カ月に1回、2時間の講座を4カ月かけて受講していただくものになっています。講座と講座の間の1カ月間をうまく使って、他の参加者と1on1をくり返してみるのもよさそうです。
安田:まさにコミュニティラーニングですね! 有志のコミュニティの中で学ぶことは、これからの時代、すごく大事になってくると思います。先ほどもお話ししましたが、ゆるいつながりの人からのアドバイスって、意外と自分の中にスッと入ってくるものなんですよね。
久保:その通りだと思います! 最後に、講座に参加する方へのメッセージをお願いします。
安田:5社の企業人事として多様な方と向き合ってきた経験を生かし、参加者のみなさんのお役に立てるのではないかと思います。楽しい講座にしますので、キャリアにモヤモヤしている方のご参加をお待ちしています!
久保:安田さん、ありがとうございました! 6月からの講座がますます楽しみになるお話でした。
安田雅彦(やすだ まさひこ)
1989年に南山大学卒業後、西友にて人事採用・教育訓練を担当、子会社出向の後に同社を退社し、2001年よりグッチグループジャパン(現ケリングジャパン)にて人事企画・能力開発・事業部担当人事など人事部門全般を経験。2008年からはジョンソン・エンド・ジョンソンにてHR Business Partnerを務め、組織人事やTalent Managementのフレーム運用、M&Aなどをリードした。2013年にアストラゼネカへ転じた後に、2015年からラッシュジャパンの人事統括責任者 Head of Peopleに就任。
2021年7月末に同社を退社し、人事・組織コンサルティング事業を主とする株式会社We Are The People(https://wearethepeople.jp)を起業。
久保彩(くぼ あや)
株式会社フライヤー 新規事業担当 執行役員
大学卒業後、大手メーカーにてシステム開発の企画・開発・PJマネジメントに携わる。その後、総合系コンサルティング・ファームで大手企業の新規事業/新規サービスの企画・立上・展開を担いながらMBAを取得。2020年よりフライヤーの新規事業担当 執行役員に就任。読書の新しい価値を追求するコミュニティflier book labo、本から深く学ぶflier book camp企画運営責任者。