【オンライン読書会レポート】『2020年6月30日にまたここで会おう』
あなたのhomeworkはなにか?

フライヤーが主催するオンラインコミュニティflier book labo。
今回は、flier book laboの魅力を少しでも多くの方に味わっていただければと、 2020年11月19日(木)の夜に実施された「LIVE」(オンライン上で書籍について語り合う読書ワークショップ)の様子をお届けします。
ゲストスピーカーは、flier book laboのパーソナリティで、プロデューサー/編集長の岩佐文夫さん。ファシリテーターは株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストを務める荒木博行さんです。
ディスカッション・イシュー:あなたのhomeworkはなにか?
LIVEは、岩佐さんがflier book laboの皆さんと議論したい書籍として『2020年6月30日にまたここで会おう』を選んだ理由からスタートしました。岩佐さんは、2019年に亡くなった瀧本さんと親交があったのだといいます。
知り合ったのは、7~8年前、岩佐さんがDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの編集長を務めていたときのこと。執筆を依頼したり、食事をともにしたりと、岩佐さんは瀧本さんのことをメンターのように慕っていたそうです。

次に荒木さんより、本書の概要が紹介されます。flier book laboのLIVEでは、取り上げる書籍の要約を読んだ上でご参加いただきますが、議論に入る前に、本書の内容を復習する時間をとっています。
著者の瀧本さんは、エンジェル投資家や経営コンサルタントとして活躍するかたわら、教育者として若者世代にメッセージを送り続けてきました。本書は、2012年6月30日に東京大学の伊藤謝恩ホールで行われた“伝説の講義”を一冊にまとめたものです。


本書で瀧本さんは、“Do Your Homework”として、「みなさん自身が今いる場所で、ちょっとだけでも変えられることがあるんじゃないかと。自分が興味あることをトライアンドエラーでやってみたり、自分が正しいと思うことを選択してみたり。それをネットワークで広げていけば、少し長い時間はかかるかもしれませんけど、たぶん社会は変えていけるんじゃないかと思うんですね(P191-192)」と述べています。

※当日使用した資料の一部を抜粋しています
本書の内容を復習した後、今回の「ディスカッション・イシュー」が2つ提示されました。
・あなたのhomeworkはなんだろうか?
・それはなぜ「あなた」である必要があるのだろうか?
LIVEでは、参加者がオンライン上で3、4人ずつの小グループに分かれ、提示された「ディスカッション・イシュー」について議論します。ここでは、たった一つの見解を見つける必要はありません。それぞれの考えをシェア・発散し、お互いがお互いの壁打ち相手になるようなイメージで話します。
自分のhomeworkを言語化せよ
20分間ほど議論した後は、立候補制で、小グループで話した内容を全員にシェアしていきます。1時間ほどかけて「ディスカッション・イシュー」を深めていきますが、今回のレポートでは、そのほんの一部をお見せします!
参加者Aさん:僕のhomeworkは、「人の話を聞くこと」。会社で自主的に1on1ミーティングをはじめた経験をお話ししたいと思います。もともと、会社という画一的な組織の中でモヤモヤしているとき、誰かに話を聞いてもらって気分が晴れた経験がありました。また、自分が同僚や後輩の話に耳を傾ける中で、相手が一歩を踏み出せたこともあります。
僕の会社には1on1ミーティングに取り組んでいる人はいませんでしたから、「自分は相対的に、『人の話を聞くこと』にフォーカスしているんだな」と自覚するようになりました。こうして、homeworkの輪郭が徐々にクリアになってきたと感じています。
荒木さん:画一的であることを求められるなかで、個人の「声」が潰れていくのを自覚して、行動したのかな。その「声」を拾い上げていくことが、あなたの役割だと感じているんでしょうね。
岩佐さん:キャリア選択においてよく言われることですが、「何をするか」を考えるとき、「want to:自分がしたいこと」「can:自分ができること」「must:自分がすべきこと」という要素がありますよね。
僕自身は、「want to」軸で駆動されていると自覚しています。「must」に取り組んできたつもりが、一生懸命やってきたのはどれも「やりたかったこと」。「社会のためになるから」という「must」は、結局、後付けにすぎなかったんです。
荒木さん:「must」軸で駆動する人はごくわずかだという印象があります。「can」からはじめるのが手っ取り早いですからね。「人から感謝されること」「他の人は苦労しているけど、自分は無理せずできること」を自己増幅させていけばいい。岩佐さん:荒木さんのおっしゃるとおりだと思います。付け加えるなら、人生のフェーズによって「must」に駆動される時期があったり、「want to」に駆動される時期があったりと、軸は変動していくと思っています。

荒木さん:そうですね。何より大切なのは、homeworkを曖昧なまま放っておかないこと。言語化する努力を重ねるうちに、輪郭がはっきりしていきます。
もしかすると、ある日突然、言葉が「降ってくる」かもしれません。そのためには、日頃から「準備運動」、つまり言語化する努力をしておかなければいけませんね。


自分の可能性を広げる読書コミュニティ「flier book labo」
1時間ほどのシェアタイムの後、荒木さんによるサルトルの引用と解説でまとめをし、会はおひらきとなりました。

フライヤーが主催するオンラインコミュニティflier book labo。主なコンテンツとして、以下の3つがあります。
・LIVE:オンライン上で書籍について語り合う読書ワークショップ
・TALK:さまざまな領域で活躍するパーソナリティがご自身の経験や解釈、アイデアなどを語る音声コンテンツ
・CLUB:labo会員の皆さんの自主企画による読書会
今回はそのうち、LIVEの様子を一部ご紹介しました。flier book laboの活動については、flierのWebサイトやアプリ、ニュースレターなどでも随時ご紹介しています。ご興味をお持ちになった方は、ぜひチェックしていただけますと幸いです。
岩佐文夫(いわさ ふみお)
プロデューサー/編集者。ダイヤモンド社にてビジネス書編集者、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集長などを歴任し2017年に独立。2018年3月からハノイに3か月在住し、6月よりラオスのビエンチャンに3か月滞在。現在は東京。書籍『シン・ニホン』などをプロデュース。
荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリスト、株式会社ニューズピックス NewsPicksエバンジェリスト、武蔵野大学教員就任予定。
著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中。