能力を発揮しやすい組織、しにくい組織
本書からの学びを一言で表すと、「組織づくりは一筋縄ではいかない」ということ。理想の組織を実現するにあたっては、並々ならぬ知恵や努力が必要なんだということを教えてくれる一冊だと思います。
組織は、理屈通りにはいかないものです。そんな人間観、組織観を持って書かれた本だということは、本書を読み始めてすぐに気づきました。
私は以前から、「組織の営み」「組織と人の関係」といったテーマに関心がありました。というのも、私自身、自分にフィットしている組織に所属しているときとそうでないときとでは、やる気や発揮できる能力が異なっていたからです。
たとえばある企業に所属していたときは、「人柄はいいが能力は今ひとつ」という評価を受けていました。しかし転職すると、「優秀だが人当たりは悪い」と、真逆の評価に。つまり人材を評価するモノサシは、組織によってまったく違っているということです。
所属する組織によって、自分の強みも弱みも変わってくる――この気づきが非常に印象深く、自分の能力がのびのび発揮されるのはどんな組織か、組織とどんな関係性を築いていけばいいのかと考え続けてきました。
THE CULTURE CODE
ダニエル・コイル,楠木 建(監訳),桜田 直美(訳)
かんき出版
THE CULTURE CODE
著者
ダニエル・コイル楠木 建(監訳)桜田 直美(訳)
「共通の目標を持つ」とはどういうことか
本書では、「成功しているチームの共通スキル」として、「安全な環境をつくる」「弱さを見せる」「共通の目標を持つ」の3つが挙げられています。これらはシンプルなようでいて、非常に難しい。実現が難しかったり、経験がないと理解しにくかったりする側面もあります。だからこそリアリティがあるし、その生々しさに深く共感しました。
たとえば、「共通の目標を持つ」スキル。ここでいう「目標」とは、日本で一般的に言われる目標、つまりスローガンや事業計画、売上目標などといったものではありません。「この組織、このチームで明日をつくっていこう」「この仲間とともに未来があるんだ」といったことをお互いに感じさせられるスキルを指しているのではないでしょうか。
本書においては、「困ったときはこう切り抜けるんだよ」といった、先輩から後輩への知恵の共有も、「共通の目標を持つ」スキルの重要な側面として描かれています。「困ってもとにかく笑顔で」のような標語があり、それを繰り返し唱えながら実地訓練を積んでいく。そうすれば、その組織らしさが自然と浸透するし、同じ仲間として歩んでいけるというわけです。
コロナ時代、チームがぎくしゃくするのは当たり前
コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの日常は一変しました。現代を生きる人にとって、この状況は初めて経験するものでしょう。だからこそ、「コロナ時代のチームづくり」については、すっぱり明快な答えが出るものではありません。チームがぎくしゃくするのは当たり前で、最初からうまくいくはずがないんです。
では、どうすればいいか。「今、チームはどうあるべきか」「理想のチームをつくるために試せることはあるか」を一つひとつ考えながら、チームを運営していくしかないのではないでしょうか。
状況が大きく変わったとき、誰よりも不安なのはリーダーです。だからこそ、リーダーの不安を減らせば、チームの状況は改善するはず。今メンバーにできることは、リーダーの苦労を理解し、リーダーに安心感を抱かせることなのかもしれませんね。
THE CULTURE CODE
ダニエル・コイル,楠木 建(監訳),桜田 直美(訳)
かんき出版
THE CULTURE CODE
著者
ダニエル・コイル楠木 建(監訳)桜田 直美(訳)
【編集後記】篠田さんは2020年5月から7月にわたって、flier book laboで「篠田真貴子の頭の中」という音声コンテンツを配信してくださいました。今回のお話を伺って、組織は生ものであり、組織づくりに正解はないのだとあらためて実感しました。
『
THE CULTURE CODE』を通して、自分にとって理想の組織とはどんなものか、今所属している組織を改善するためにはどんな振る舞いが効果的なのか、考えるきっかけとしていただければ幸いです。
LIVE第4弾以降も、さまざまなゲストスピーカーがおすすめの本を紹介してくださいます。お楽しみに!