
flier×TSUTAYA ビジネスパーソンが読むべき“推し本”フェア開催記念
ビジネスパーソンの「知の探索」を促し、既存の「本屋」の常識を超えていく。「これからの本屋さん」のコーナーでは、そんな本屋さんと、その場を生み出す「中の人」にスポットライトをあてていきます。
第7弾は、本、映画、音楽などを通じて、文化やライフスタイルを提案してきたTSUTAYA。2019年9月から、「flier×TSUTAYA ビジネスパーソンが読むべき “推し本”」フェアの開催がスタートしました。全国438店のTSUTAYAおよび蔦屋書店で、ビジネス書の共同販促を展開します。フライヤーの閲覧数書籍ランキングなどをもとに、 TSUTAYAが来店者の好みや購買状況を分析して17冊を選書。専用のコーナーに各本の販促 POPを設置して、店頭で販売するという取り組みです。
本とビジネスパーソンの出会いを広げるために、ネットとリアルが融合することで、どんな可能性が生まれるのでしょうか? ビジネス書に力を入れている、TSUTAYA馬事公苑店の橋本さつきさんに、馬事公苑店の魅力、フェアへの期待についてお聞きしました。
ライター・松尾美里
── TSUTAYA馬事公苑店のコンセプトは何でしょうか。
馬事公苑店は、東京郊外にあることから、ゆっくり充実したオフを過ごせる「休日の本屋さん」というイメージです。併設しているスターバックスでゆっくりコーヒーを飲みながら、本との出会いを楽しんでいただける場をめざしています。
ここ世田谷区は、一流のビジネスパーソンが多く住んでいる立地。そのため、大型書店と遜色ないようなビジネス書、話題の専門書を、できるだけそろえるようにしています。ビジネス書コーナーを売り場の一等地にしているのもそのためです。
休日にファミリーでお越しになる方が多いため、児童書コーナーも手厚くしています。お子さんが児童書を選んでいる間に、親御さんがビジネス書を読んでいる光景をよく見かけます。


── 本とお客さまとの出会いを増やすために、書棚づくりなどでどんな工夫をされていますか。
注力しているのは、雑誌や本を棚に立て、表紙を見せて陳列する「面陳」の展開を増やすことです。面で展開すると扱える書籍の点数は減りますが、背表紙だけを見せるよりも、表紙やタイトルが目にパッと飛び込んできて、気づいてもらいやすいというのは、大きなメリットです。売り伸ばしの可能性がある本を面陳にすると、その本の売上が上がるんです。
私たちが大事にしているのは、「ライフスタイルの提案」。お店に寄られた方が書棚を見て、気になった本を手に取る。そして、カフェでゆっくり読んでみて、もっと読みたいと思った本を買っていただければいいなと思っています。


── 選書のための情報は普段どのように収集されていますか?
参考にするのは、他店舗の売上ランキングなどの定量データです。過去に馬事公苑店で売れた本の続編や、同じ著者の新著、似た志向のタイトルの書籍は必ずチェックします。
それと同じくらい選書に活きるのが、現場で得られる定性データ。プライベートでも、街で書店に出くわすと、自然に足が向き、書棚を見て回るのが日課になっています。普段からレジに立っていると、「こういう方がこんな本を買われるのか」と、定量データでは読み取れないお客さまのニーズが見えてくるのです。
購入された本から、「次はこんな本を手に取られるのでは?」と想像して、それを実験的に平台に置くことも。次回そのお客さまが来店されて、仕掛けた本を購入していただいたときには嬉しくなりますね。
── 都内の他のTSUTAYAと比べて、「馬事公苑店ではこういう本が売れる傾向にある」といった点はありますか。
印象的だったのは、『現代地政学 国際関係地図』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を、一番目を引く、スターバックス前の平台に置いたときのこと。この本は、貧困・紛争といった地球規模の課題など、世界を俯瞰するための100の地図がカラーで収録された、分厚い図鑑のような本です。当初はビジネスパーソンがターゲットでした。ですが実際には、グローバル志向で教育への関心が高いお母さんが、お子さんと一緒に本を眺めて、購入に至るケースが多かったのです。これは馬事公苑店ならではの特徴だと思います。
そのほか、『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』(文響社)も、馬事公苑店だけで300冊が売れました。『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社)など、教養や学問の専門的な話を、子どもでもわかるように解説した本は人気があります。子どもが好奇心を広げられる機会をつくりつつ、ご本人の学び直しにも役立てていらっしゃるのでしょう。リカレント教育の重要性が高まるいま、このトレンドは今後広がっていくのではないかと見ています。
── 9月1日から、「flier×TSUTAYA ビジネスパーソンが読むべき“推し本”フェア」がスタートしました。フェアの感想や期待していることをお聞かせください。
いいなと思ったのは、推し本17冊のキャッチコピーが書かれた販促のPOP。文字数が少なくてキャッチーなのがいいなと。たとえば、『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)では、「アウトプット、してますか?」。『勉強大全』(KADOKAWA)では、「努力の方向性、合っていますか?」などと、グサリと心に刺さるものばかり。
また、フライヤー専用棚のPOPからフライヤーのサイトにアクセスでき、要約が読めます。本のポイントを「立ち読み感覚」で確認できて便利だなと。要約から本の読みどころが伝わってきて、本自体も実際に手に取りたくなるんです。

── フライヤーの要約をそのように捉えてくださって嬉しいです!
フライヤーの要約の価値は、本の理解度が上がること。プレゼンでも、いきなり本論を聞くより、「論点は3つあります」とポイントを列挙されてから本題に入るほうが、頭に入りやすい。同様に、要約でポイントをおさえてから本を読むと、その内容をより深く理解できます。
── 推し本17冊のなかで、橋本さんが特におすすめする作品は何でしょうか。
どの年代にも刺さる本が多い印象ですが、一番のおすすめは、私自身が非常に助けられた、『1分で話せ』(SBクリエイティブ)です。新入社員の頃、伝え方を磨きたいと思い、この本を手に取りました。具体的なシーンとともに、伝え方のNG例と良い例が図で対比されているので、わかりやすくて実践しやすいのです。
実は私の父も、管理職として人前で話す機会が増えたからと、『1分で話せ』を読んでいました。新入社員から管理職まで、どんな立場の人でも自分の状況に当てはめて読み、学びを得られる。それがこの本の価値だと感じます。



また、『メモの魔力』(幻冬舎)は単なるメモ術ではなくて自己分析の本でもあると、新たな訴求ポイントに気づきました。自分自身について掘り下げる問いが1000問も収録されていて、答えをメモするにつれ、自己理解が深まっていきます。その意味で、ビジネスパーソンはもちろん就職活動生にもこの本を推したいと思いました。


── 本とビジネスパーソンの出会いを増やすために、「ネットとリアルの融合」は大事な動きだと捉えていますが、どんな可能性があると考えていますか。
フライヤーのようなネットのサービスとリアルな書店が連携することで、相乗効果が生まれると感じました。ビジネスパーソンの具体的な活用シーンはこうです。忙しいオンの日は、通勤時間などのスキマ時間を活用し、フライヤーで本の要点をサクッとつかむ。とはいえ、本を買うかどうかは手に取ってから決めたい。そこで、オフの日に書店を訪ねて、じっくり本を選び、購入する。こういう導線がもっと自然になれば、いま読むべき本と読者の出会いが広がり、その質が高まるのではないかと思います。
── 普段からフライヤーを利用してくださっているとお聞きしました。書店員ならではの利用法をぜひ教えてください。
フライヤーは書店員の選書ツールにも最適だと感じています。ビジネス書だけでも年間約6000タイトルの本が出版される現在、すべてを読むことはできません。そのためお客さまのニーズがある本が埋もれてしまうこともあります。
そんなとき、フライヤーの「要約ランキング」を見ると、全国のTSUTAYAのランキングでは上位に来ていない既刊書が上位にあることも。そこから「売り伸ばしの可能性がある本」の掘り起こしにつながっています。「出版社のイチオシ」のコーナーから、各社の推している本を知れるのも良い機会です。また、フライヤーでは、ビジネス書に限らず、リベラルアーツやノンフィクションも紹介されています。この情報は、いろいろな角度から売り場の企画を練る際に大いに活きています。
── 「特にこんな方にフライヤーをすすめたい」というのはありますか。
特にすすめたいのは、仕事や子育てなどで忙しい女性の方。最近では馬事公苑店でも、30~40代女性のビジネス書の購入が増えています。たとえば、育休から復帰してトレンドのビジネス書を読みたいけど、どこから手をつければいいのか迷うこともあると思います。そんなときに、フライヤーで1日1冊紹介される本をおさえておくと、短期間で効果的に情報収集ができるのではないでしょうか。
── 橋本さんは、ビジネス書を通じて今後どのような場をつくっていきたいですか。
売れ筋だけでなく、馬事公苑店にお越しになるお客さまに刺さる本がそろっているお店にしていきたいですね。私たちのお店で特徴的なのは、他店と比べて、海外の翻訳書の購入が多いという点。海外の最先端のトレンドや世界的に有名な著者の考えを、いち早くつかみたいというニーズが大きいのだと考えています。
最近では、『PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則』(日本経済新聞出版社)という、世界最大のヘッジファンド創業者による仕事哲学の本を、レジ前の平台に置いてみました。すると、1冊4000円という高単価で600ページ近くの大著にもかかわらず、1週間で3冊も売れたのです。読み応えある海外書籍の翻訳書へのニーズを改めて実感しました。

何より、馬事公苑店で過ごすひとときが、お客さまの生活の一部になってほしいですね。カフェでくつろいで、本を楽しむなら馬事公苑店。そう思っていただけるようなサードプレイスを今後もめざしていきたいです。

住所 〒158-0098 東京都 世田谷区上用賀2-4-18 コリーヌ馬事公苑 1F
営業時間
朝 10:00~深夜12:00(2Fレンタル・販売)
朝 08:00~深夜12:00(1F本販売)
朝 08:00~深夜12:00(カフェ)
年中無休
橋本さつき
1995年生まれ。大学在学中4年間TSUTAYA錦糸町店アルバイト勤務、映像レンタル担当。大学卒業後2018年4月カルチュア・コンビニエンスクラブ入社。株式会社首都圏TSUTAYA、首都圏第5支店 首都圏直営第一エリア TSUTAYA馬事公苑店にて、書店売場で働く。
flier×TSUTAYA ビジネスパーソンが読むべき“推し本”フェア
2019年9月1日〜2019年10月31日