LINEを辞めた理由は「日本を元気にする」という使命感
C Channel株式会社代表取締役社長 森川亮

LINEを辞めた理由は「日本を元気にする」という使命感

フライヤー×サーキュレーションの「知見と経験の循環」企画第2弾です。

経営者や有識者の方々がどのような「本」、どのような「人物」から影響を受けたのか、「書籍」や「人」を介した知見・経験の循環についてのインタビューです。

今回登場するのは、森川 亮氏。日本テレビ放送網、ソニーを経て、2003年にハンゲーム・ジャパン株式会社(現LINE株式会社)へ入社。2007年に同社の代表取締役社長に就任し、LINEを世界規模に成長させた人物です。2015年4月に独立起業し、ファッションやフードを扱う女性向け動画メディア「C CHANNEL」を立ちあげました。

「日本を元気にしたい」という使命感を背負い、新しい挑戦を続ける森川氏の「背骨」をつくった本選びの軸は何だったのでしょうか。彼の読書観に迫ります。

本を読む目的は「未来を読むため」

── 森川さんはブログでも『クリエイティブ・マインドセット』『時間資本主義の到来』など、本の紹介を多数されていて、大変な読書家だとお見受けしましたが、1カ月に何冊くらい読まれているのでしょうか。

森川 亮氏(以下、森川):「C CHANNEL」を立ち上げてからはなかなか読む時間を取れていませんが、それまでは毎月10冊くらいですかね。多いときは1日1冊のペースで読んでいましたよ。

── どんなジャンルの本を読むことが多いのですか。

森川:やっぱり経営者が書いた自伝やビジネス関連の本が多いですね。最近は歴史の本なんかも読むようにしています。なかでも「未来をどう読むか」というヒントが得られる本を選んでいます。

未来を読む方法には2つあると思います。1つは、過去に起きた出来事の周期が未来ではどう現われてくるのかという視点。もう1つは今の延長線上でこれからどんなブレイクスルーが起こるかという視点です。あるテーマについて、まわりに詳しい人がいればその人に聞けばいいし、そういう人がいなければ、本に答えを探すというスタンスです。

── 経営者で、歴史書を読んでいる方は多いですよね。

森川:歴史の本は「原点を知る」という意味でも便利なんです。例えば、インターネットがどんな背景で生まれたのか、ユダヤ人の性格はどのように形成されたのか、中国という国がどうやって生まれたのか、とか。今って一瞬の事象だけで物事を判断するのは難しいじゃないですか。そういうときにはなるべく原点を調べるようにしていますね。

雑誌感覚の「使い捨て」読書法

── 小さい頃から本が好きだったのですか。

森川:読むことは昔から好きでした。文字なら自分のペースで読むことができるのがいいですね。本だけじゃなく雑誌もかなり読みました。ファッション誌も読んでましたし、政治経済の雑誌もよく読んでましたね。

── そういった雑誌を手に取るきっかけは何だったんでしょうか。

森川:普通の人なら目を向けないようなことでも、僕の場合は好奇心というか、ついつい気になっちゃうんですよ。野球番組を観ているときに、野球が好きなわけでもないのに「なんでこのチームは負けているんだろう」と疑問に思って調べてみたりとか(笑)

本は、雑誌を開く感覚で読んでますね。自分にとっては「情報収集のチャネル」の一つなんですよ。言い方は良くないかもしれないですけど、「使い捨て」というか、全部を読み込もうとするのではなく、自分にとって必要なものだけを吸収するというスタイルです。知識を記憶するっていうこと自体に興味はなくて、自分にとって大切なことは自然と記憶に残るだろうと割り切っていますね。

── 多忙なビジネスパーソンにとっても、そのような読み方は非常に参考になると思います。本選びでは、どのような軸を大事にしておられますか。

森川:『Newton』などの科学雑誌で薦められている本や、献本でいただいた本のなかから未来を読むためのヒントになる本を主に選んでいます。書店にもよく行きますが、そのときに偶然見つけて気になった本も手に取るようにしていますね。

── これまで読んだ本の中で、一番影響を受けた本は何でしたか。

森川:『7つの習慣』には非常に影響を受けましたね。手帳(7つの習慣を実践する「フランクリン・プランナー」)も愛用しています。

あとはその時々に応じて、自分の問題意識に近い本を選んで読んでいます。

本は自分の分身

── 本を人にお薦めすることはありますか。

森川:昔は本を人にプレゼントしていました。僕の言うことに耳を貸さない部下に対しては、自分が伝えたいメッセージを本に代弁してもらうんです。それでも読まない人もいましたけど(笑)

僕はせっかちなので、何でも単刀直入に言ってしまうんですけど、そのフォローに使ったりもします。叱られて落ち込んでいる部下には、悩みを解きほぐし応援するようなメッセージが込められた本を渡したりとか。すべての人にたっぷりとコミュニケーションの時間をとるのは難しいので、本を「自分の分身」にしていました。

── フライヤーの読者は、20代~40代のビジネスパーソンが多いのですが、それぞれの年代へのお薦めの本はありますか。

森川:その人の性格やステージに合った本が一番だと思っているので、一律に「この本がいいよ」とは言わないようにしてるんですよ。本を読む習慣がない部下に分厚い本をお薦めしても読んでもらえないですよね。相手のタイプを見て、メッセージが的確に伝わる本を選ぶのが一番だと思います。

強いてお薦めを挙げるとしたら、5月に出版した自著『シンプルに考える』 ですね(笑)

「何が本質なのか」を徹底的に考えるという、私が仕事で大事にしているものが詰まった一冊です。

シンプルに考える
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森川亮
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著者
森川亮
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── 私はこの本の「ビジョンはいらない」という項目が意外でした。

森川:僕はビジョンを掲げて、社員をブロイラーの鶏みたいに育てることに違和感があるんですよ。均質的なエサを与えて、やる気を出させて育てるっていうのは楽だしコストはかからないんだけど、鶏の体には負担がかかるし、それだけでは幸せにはなれないと思うんです。そうじゃなくって、その人らしい生き方に導いてあげて、その延長線上に素晴らしい価値を発揮できるようにしてあげたい。だから、表面的な会社の論理を語るようなビジョンはいらないと思っています。

LINEを辞めて、C CHANNELを作った理由

森川亮氏

── 日経新聞さんのインタビューで、「C CHANNELはニューズ・コーポレーションやタイム・ワーナーといった、米メディア大手のようなグローバルメディアを目指す」と伺いました。今後、森川さんが挑戦したいことを教えていただけますか

森川:僕がなぜメディアの事業をやろうと思ったというと、「日本を元気にしたい」という思いがあったから。日本の魅力や良さが世界にはまだまだきちんと伝わっていないですよね。それはなぜかというと、日本人が何を考えていて、日本には何があるのかっていうのを海外の人が知るための方法がないからなんです。

世界では中国とかアメリカのように人口が多い国が大きな発言力を持ってしまいがちですが、日本人の活躍や日本の魅力を世界に伝えるメディアをつくれば、日本は1億人という人口以上の力を発揮することができるんじゃないかと思っています。

これは自分の夢というより、「使命感」によって突き動かされているという感じです。日本は赤字で借金まみれ、企業で言えばまさに倒産寸前のような状態なので、新しい産業を生み出さなくてはいけない。日本の若者が元気になって、「日本を変えていこう」という気概をもっと持てるように、まず自ら「日本を元気にするプラットフォーム」を作っていきたいと考えています。

── 「日本を元気にしたい」「日本の若者に新しい産業をつくる気概を持ってほしい」という思いが強く伝わってきました。その使命感はどこから湧いてくるのでしょうか。

森川:使命感はみんな持たないといけないですよ(笑)

生きるとは何だろうって考えてみると、究極的には「社会に貢献すること」なんですよね。なぜかというと、社会に貢献していない人って愛されないんですよ。人間ってどんなにお金があっても愛されないと不幸ですよね。自分が死ぬ瞬間にどれだけ多くの人が嘆き悲しんでくれるかというのが、その人の価値だと考えています。

── ありがとうございます。フライヤーも使命感を大事にしていきたいと思います。

無口なNAVER創業者、目にあふれる情熱から学んだ「経営者としての指針」 新しい挑戦を続ける森川氏の「背骨」をつくるきっかけを与えたのは、どんな方々だったのでしょうか。 「社員の顔色はみない」という森川氏の経営哲学とは。 ※このインタビューの続きは、ビジネスノマド・ジャーナルから読めます。
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文責:松尾美里 (2015/07/31)

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