本好きにはたまらない「東京国際ブックフェア」とは?
生まれ変わった日本最大の「本」の展示会、いったい何が変わったのか?

人気著者による無料講演会など、本と出版に関する多種多様なイベントが行われる、日本最大の「本」の展示会、「東京国際ブックフェア」。

イベントだけでなく、470社もの出展社が100万冊の本を一斉に展示、特別価格で販売するという出版業界あげての本の祭典で、本好きにはたまらないイベントです。

1994年からスタートし、歴史あるイベントでもある東京国際ブックフェアですが、なんと今年から東京国際ブックフェアは、「読書推進」というテーマを掲げ、大きく生まれ変わるといいます。

ブックフェアの見どころとは? 今年は何が違うのか? 

2016年9月23~25日の開催に先駆けて、展示会を主催する東京国際ブックフェア取締役 統括事務局長、岡部憲士さんにお話をお伺いしてきました。

東京国際ブックフェアが生まれ変わる理由とは?

東京国際ブックフェア(以下、ブックフェア)とは、そもそもどんなイベントなのでしょうか。

岡部 憲士さん(以下、敬称略):もともとは、日本書籍出版協会という、出版事業の発展、出版文化の向上をめざす団体とともに、23年前に立ち上げた「本」の展示会です。

有名な著者によるトークショー、サイン会、出版社によるセミナーなど、作家や本の作り手と読者を結ぶイベントを多数開催しています。今年ですと、林真理子さんや内田樹さん、そしてアドラーブームを巻き起こした大ヒット作『嫌われる勇気』の生みの親、岸見一郎さんなど、大注目の講演が三日間に亘って行われます。

展示会の目玉コンテンツは、なんといっても、多種多様なジャンルの出展社470社のブース展示です。ブースはそれぞれの出展社さんの個性が出ますし、選りすぐりの作品を活かしたミニイベントがそこかしこで開かれています。あとは、各出展社のご理解のもと、展示されている本が特別割引で買えるというお得な点も、ブックフェアならではの特長なんです。

470社の出展社が参加されるってすごいですね! 今年からブックフェアが大きく刷新すると聞きましたが、詳しく聞かせてください。

岡部:これまでも、ブックフェアは本に関わる業界の方々と、読者の架け橋になってきましたが、出展している出版社や取次業者が「これからどんな本を売っていこうか」という商談をする場という意味合いが大きい展示会でした。今年からは、「本好きの方々に喜んでいただく場」「まだ読書に馴染んでいない方々が、本を読むきっかけとなる場」という2つのテーマのもと、読書推進に特化した祭典として、大きく生まれ変わることになりました。

そこで、これまで夏の平日開催だったところを、「読書の秋」と絡めて秋開催とし、来場しやすい土日を含めた開催に変更しました。事前申し込みが必要な講演も多数あるのですが、例年よりも申し込み数が多く、SNSでの反響も上々です。

読書推進という、より読者に楽しんでもらえる展示会へと舵を切った背景は何でしょうか。

岡部:ご存知のとおり、本離れが進み、出版業界は軒並み発行部数減に苦しんでいます。スマートフォンの普及で、時間の使い方が多様化するにつれ、本と接する時間は減っています。ですが、本と向き合う時間は非常に貴重ですし、面白い本と出合えたときの喜びは何物にも代えがたいもの。そこで、一般読者がリアル書店やECサイト以外にも、未知の本にも出合え、いっそう本が好きになる場をつくりたい、そして次世代の読書好きを育てたいという思いで、読書推進というコンセプトを前面に打ち出そうということになりました。

読書好きを増やしたいと意欲を見せる、岡部憲士さん

見どころ満載! 大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者講演から、乃木坂46の読書対談まで

未知の本に出合える場ですか。今年のブックフェアの見どころについて、ぜひ知りたいです。

岡部:いくつかありますが、1つ目は次世代の読書好きを増やすという目的もあり、今年は例年の児童書フェアにくわえ、各出版社さんオリジナルのワークショップも数多く開催しています。幼児・小学生向けのワークショップのなかには、素粒子物理学者と一緒にニュートリノについて学ぶというような本格的な内容もあります。子ども向けとはいえ、親御さんも知的好奇心が満たされ、親子で楽しんでいただけるんじゃないかと思います。

今回からは、中高生も視野に入れて、出版業界の仕事にも興味を持ってもらう企画も始まりました。空前のベストセラーとなった又吉直樹さんの『火花』の立役者である文藝春秋の編集者、浅井 茉莉子さんをはじめ、本づくりの現場についての講演もやっています。

錚々たるメンバーが登場するんですね! そういえば、乃木坂46の対談があるって聞いたのですが。

岡部:乃木坂活字部! in 東京国際ブックフェア乃木坂46読書選抜メンバーが語る、女性アイドルと本のはなし」ですね。無類の本好きが高じて『ダ・ヴィンチ』で人気連載「乃木坂活字部!」をスタートさせた乃木坂46の高山一実さんなど読書好きのメンバーによるトークショーです。お気に入りの本やアイドルならではの読書事情という切り口で、熱く語ってくれる機会はなかなかないんじゃないでしょうか。

このように、ビジネスパーソン向けの硬派なものから読書家アイドルのトークショーというエンタメ系まで、多彩なコンテンツを用意しているのも、読者が面白い本と出合う接点を増やそうという思いがあるからなんです。

ブックフェアへの想いを語る岡部さん、企画・運営に携わる五十嵐さん

「面白い本と出合う接点」を増やすという思いが込められているのですね。こうした多種多様な企画はどのように練られているのですか。

岡部:現在、東京国際ブックフェアの企画・運営チームは、コアメンバーが10数名いて、開催当日には応援メンバーも加わります。まずは、開催の数か月前から、「どうしたら読者が普段手に取らないような本に興味を持ってくれるか? 本をもっと好きになってくれるにはどんな仕掛けがいるか?」という観点で、企画の全体像を練ります。ターゲットが老若男女と幅広いですから、ターゲットとなる顧客層をいくつか想定して、「ビジネスパーソン向けなら、『嫌われる勇気』の誕生秘話や、アドラーの教えをキャリアに活かす方法が知りたいはずだ」というように、話題になっている本、旬な著者の情報には常にアンテナを立て、実際に著者や編集者にアポイントをとって交渉するところまで一手に引き受けます。

また、前例のない新たな挑戦というところも意識していますね。その一つとして、今回は「郷土出版パビリオン」というコーナーを設けることになっています。これは地方限定で販売されていて、京都の言葉の本『あんなぁ よおぅききや』や豊橋の妖怪の本『豊橋妖怪百物語』のように、その地域の文化や歴史、あるいは地方の特色を紹介する本が全国から集まるコーナーです。普段ふれる機会のない、その土地ごとの本の「手触り感」みたいなものが伝われば嬉しいですね。

各ブースで行われるコンテンツの具体的な内容については、出展社のアイデアにお任せしています。そのうえで、想定以上の申し込みをいただいた対談や講演については、より多くの方が収容できる会場を用意するなど、一人でも多くの方に楽しんでいただけるよう、開催直前まで調整に奔走します。

10数名でこんな大規模かつ多彩なイベントをされてるんですね!

岡部:もちろんありがたいことに、長いお付き合いの出展社さんもたくさんいますが、規模・ジャンルを問わず、新しい出展社さんにどんどん「出展しませんか?」と口説いて、新規開拓していくのも私たちの大事な仕事です。

例年、多くの著者や出版社がイベントや対談に登壇したり、ワークショップを開催してくださったりするのは、「本好きを増やしたい、本の面白さを伝えたい」という、共通の強い願いがあるからだと思っています。とりわけ今年は読書推進のコンセプトに共感を示して、例年以上に多彩なワークショップやセミナーを開いてくださっていて、出展社の意気込みを感じています。

ブックフェア来場者、出版社の反響が、日本最大「本」の祭典を支える

企画・運営チームの方々が、ブックフェア開催を23年間も継続し、そして新しい挑戦をされる原動力は何なのでしょうか。

岡部:2つあって、1つ目は来場者からの反響ですね。ブックフェア来場者のアンケートからは、このブックフェアが毎年、家族の恒例行事になっているという声もいただいています。「一緒に連れていった息子が、本の楽しさを知り、街中で本屋を見かけると、『本を買いに行こう!』と書店に飛び込んでいくようになりました」。こういう声を聞くとすごく励みになりますね。

もちろん、書店さんでの面白い企画はたくさんありますが、これだけさまざまな本が出版社ごとにズラリと並ぶことはなかなかありません。各ブースには、本を制作している編集者がおり、彼らが直接、制作秘話を熱く語ってくれます。この対話を通じて、これまでふれていなかったジャンルにも興味が広がるみたいです。だから、読書意欲が大いに刺激されますし、本選びがこれまで以上に楽しくなるといいます。

私自身も本が好きなので、こうして携わっていて非常に刺激的ですし、私の息子もブックフェアを機に本好きが加速し、毎年楽しみにしているようなんです。年齢を問わず、本と出合える場をつくることがいかに大事かを実感しています。

そして、モチベーションが上がる2つ目のポイントは、出版社さんが、読者と交流できるのが良いと言ってくださることです。読者アンケートなど、間接的に感想や意見を聞く機会はありますが、読者に本の魅力を直接お話しながら、本に対する生の反応が聞ける機会はなかなかないですから。こうして、双方向の交流が生まれて、本の認知が広まっていくことも大きなやりがいですね。

来場される読者、出版社両方の声が、本の祭典を支えているのですね。最後に、今後のブックフェアの構想をお聞かせください。

岡部:今年から打ち出した「読書推進」のテーマを浸透させて、本好きな人が増えていく場にしていきたいですね。そして、ブックフェアを楽しんで終わりではなく、出版社との対話をきっかけに、新しい本との出合いや発見が生まれ、書店に通う人が増えていくきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません。

出版社はもちろん、企画・運営メンバーの方々の熱意が伝わってきました! 開催日が今から楽しみです! 貴重なお話をありがとうございました。

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文責:松尾 美里 (2016/09/14)
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