【深海生物、恐竜、王蟲ファン必見】地球最古の王・アマノマロカリスが可愛すぎる
古生代の生物の魅力と『古生物たちのふしぎな世界』の読みどころ

【深海生物、恐竜、王蟲ファン必見】地球最古の王・アマノマロカリスが可愛すぎる

恐竜やマンモス、深海生物やUMAが好きなみなさん! 「古生代」にはもっと面白い生き物がわらわらいるんですよ! サイエンスライターでオフィス ジオパレオント代表の土屋健氏に、古生代の生物の魅力と新刊『古生物たちのふしぎな世界』(講談社ブルーバックス)の読みどころを伺いました。動画もぜひご覧ください。

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カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史 (ブルーバックス)
カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史 (ブルーバックス)
土屋健
講談社
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カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史 (ブルーバックス)
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著者
土屋健
出版社
講談社
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── 古生代の生物だけで1冊にまとめられました。彼らの魅力を教えてください。

私の行動の基本原理は「知られてないのが悔しい」ということ。「こんな面白いコがいるのになんで知らないの?」っていうところです(笑)。私よく「コ」っていいますが、カタカナの「コ」ですよ(笑)。
5億4100万年以降の顕生累代(けんせいるいだい)は「古生代」「中生代」「新生代」の3つに分かれていますが、恐竜のいる「中生代」に比べると古生代は注目度が低い。でも、古生物の面白さは、化石でしか残っていないところから推理を働かせて生物を探っていくという、探偵じみたところにあります。 今まで誰も知らない生物を探る、パーツのヒントも少ない。形も恐竜より突飛なものが多い。ドキドキワクワクがおもちゃ箱のように詰まっている、そこが一押しです。

もうひとつの面白さは、歴史に言い換えると古生代っていうのは戦国時代なんです。スタートはアノマロカリスのような節足動物が頂点にいる。その次に魚が台頭し、地上に進出して競争が激化していく。そして古生代の終わりに大量絶滅があり、当時生態系の頂点に立っていたのは我々の祖先の仲間たち。恐竜(爬虫類・鳥類)よりも前に、我々の祖先(単弓類)が一度地上の覇権を取りかけた。そういう盛者必衰、革命があるんです。

── この本はイラストがとても綺麗で魅力的ですね。本文中に「図鑑などで見る古生物、この本に掲載されている古生物のイラストも、その色に関してはほとんど想像である」とありますが、具体的にどういうことですか。

色はイラストレーターさんにおまかせです。今回はマルレラという生物だけが構造色で、虹色にしてくださいとこちらから指定しました。その他はよほど突飛な色が上がってこない限り変えて下さいとは言わないです。最近恐竜の分野で色素の痕跡が確認できるようになって、いくつかはアートからサイエンスに移ってきたんですけれど、基本的に昔から色に関してはアートの分野です。

── イラスト繋がりの話で、途中で「風の谷のナウシカの王蟲(オーム)」という表現が出てきましたが。

私はオッファコルスという生き物を見たときに、まずはナウシカの王蟲が思い浮かんだのです。ですので、何の許可も得てないんですが、王蟲という比喩をずっと使っています。まさか王蟲に商標登録かかってないと思うんですけど。宮崎駿監督の作品には、たとえば、ポニョにも古生代の生き物がたくさん出てきます。古生物が好きな方だと嬉しいですね。私の本を読んでくださっていたら、コメントを頂けるとすごく嬉しい。編集さん、さりげなく送ってみていただけますか(笑)。

── では本書に登場する中から、土屋さんの好きな生物ベスト5を教えてください。

一番好きな生物、今猛烈にプッシュしているのは、何をおいてもアノマロカリスの仲間たちです。まず、触手が2本、大きな目、ナマコのような体でひれが横に並んでるという形が面白い。

そして何よりも、生命史のなかで生存競争が活発化した時に最初に頂点に立ったのがこのコで、そこからどう変遷していったかというのが面白い。戦国時代でいう織田信長みたいなものです。最初に天下を取って、でも最終的には取れなかった。

てっきりアノマロカリスの認知度は高いものだと思っていたんですが、1月に別の本のトークショーをやった時に知らない人が全体の1/3くらいいたんです。で、「こんな面白いものを何で知らないの?」と猛烈にプッシュしています(笑)。

2番目は表紙に出ているイノストランケヴィアです。古生代の最後の頂点をとったのがゴルゴノプス類というグループなんですが、その中で一番大きいのがこのイノストランケヴィア。これは哺乳類の親戚みたいなやつ。恐竜の直前は我々のお友達が世界の覇権を握っていたという象徴的な存在です。
3番目も表紙に上がっているティクターリクです。これは私がというよりは、多くの古生物学者が注目しているやつです。魚なのに腕立て伏せができる、つまりそれぞれの腕に骨と関節がある。サカナから陸上の四足動物が誕生する進化の中での重要なキーキャラクターです。これは押さえておかないと!
4番目は三葉虫類というグループ。三葉虫類は古生代の最初から最後までいて、しかも一貫して生態系の底辺なので、弱い立場なんです。どうやって必死に時代をクリアしていったのかが如実に形に現れているので、見ていて面白い。3億年間の歴史を物語っている。よく知られている三葉虫っていうのはワラジムシみたいな形ですが、それは本当にごく一部で、目がタワーになってるもの、長いフォークのような角を持っているものなど、形がその時々の捕食者の圧迫を受けて変化しているので、生命の進化という点でも重要です。
5番目は、純粋にサイエンスライターとして重要ですよと皆さんに呼びかけているもので、板皮類(ばんぴるい)。魚のグループです。ここ最近データの追加が著しい。昔はダンクルオステウスという甲冑魚みたいなのしかいなかったんですけど、最近になって胎児がいたり、へその緒が確認できたり、脊椎動物としては史上初の体内受精をしているとか、 「お前たちこんなネタも持ってるの?」というのが次から次へ出てきています。

── 研究者の間でホットな話題はありますか。

この数年神経の研究が進んで、カンブリア紀の動物で脳とか視神経が確認できるようになってきた、そういう手法が確立してきたんです。 今回ご協力いただいた金沢大学の田中源吾さんはまさにそうした研究もされています。カンブリア爆発が起きた時に既に神経は完成していた、そうするとダーウィンの進化論の考え方でいけば、 それ以前に原始的な神経を持っている生物がいたんじゃないかと。次はそいつらの化石を探せ!ということなんです。

硬組織化によって化石が残りやすくなったのがカンブリア大爆発で、それ以前は体が柔らかいから化石に残りにくかったんですね。化石に残りにくいものを化石で証明しなければいけないということは難しい。でも世界のどこかには、常識的には残らないような化石でも残る地層があるかもしれません。

── 最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

恐竜は知っているけれど、それ以外の古生物を知らなかった方々にぜひ読んでいただきたいです。もっと面白いものありますよ、是非こっちの世界も見てくださいと。

既に知っているけれど更にもっと古生代を知りたい! という、情報に飢えている愛好家のみなさまには、是非布教用に役立ててほしいと思います。この本は、素晴らしいイラストに、手持ち感覚といい値段といい、色んな意味で布教に最適だと思うので、何なら飲み会や合コンの席で出して話してください、読み終わったら本棚にしまうのではなく、しれっと職場の休憩室や棚に置いておくとか、カバーむき出しで電車で立ち読みしていただくとか(笑)。

ファンだけで独占しないで、この面白い時代、面白い生物たちのことを共有していってほしいと切に願っています。みなさん古生代を一旦知ると好きになってくれるんですよね。これからも古生代──、アノマロカリスの認知度をあげたいと思います。知られれば愛されるコです! ぜひSNSで広めてください(笑)。

── インタビューに使わせていただいたのは、土屋さんのオフィスの打ち合わせ用ルーム。たくさんの化石やレプリカが並んでいて、古生物の素人でもテンションが上がりました! こんな場所で土屋さんの生のお話を聞いたら興奮しちゃいますよね……。

イラスト:月本佳代美(アノマロカリス,シーンイラスト)/ 服部雅人 Photo:オフィス ジオパレオント(三葉虫)
カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史 (ブルーバックス)
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土屋健
講談社
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著者
土屋健
出版社
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【内容紹介】 5億4100万年前にはじまる古生代。カンブリア紀からペルム紀まで、3億年近くにわたり、いまでは絶滅した古生物たちが生存競争をくりかえしていた。大量絶滅事件“ビッグ・ファイブ”が何度も起こり、“恐竜時代”の中生代へとつながっていく。 生態系の覇権をめぐる古生代の奇妙で多彩な古生物たちの物語を、100点に及ぶ精緻なカラーイラスト&化石写真で解説する決定版です!

土屋健

修士(理学)。日本地質学会会員。日本古生物学会会員。

2003年 金沢大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。

在学時の専門は地質学,古生物学。

2003年 株式会社ニュートンプレス編集部に入社。

Newton本誌の編集を担当。

2009年 同編集部ムック制作チームに参加。

新規性の高いムックの制作・編集を本誌編集作業と兼務。

2010年 同編集部部長代理に就任。本誌サブデスクを兼務。

2011年 同社を退社。

2012年 オフィスジオパレオントを設立

著者公式サイト:http://www.geo-palaeont.com

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文責:野本紗紀恵 (2017/07/18)

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