インスタ全盛時代の効果的なインフルエンサーマーケティングとは?
売れる雰囲気づくりのカギは「人マーケティング」にあり

ソーシャルメディア上で多くのフォロワーを抱え、影響力をもつ一般の人々、インフルエンサー。インスタグラムなどのSNSの盛り上がりとともに、インフルエンサーマーケティングの注目度は高まる一方です。

インフルエンサーマーケティングとは、企業がインフルエンサーを活用し、消費者の購買行動に影響を与えていくマーケティング手法のこと。2017年は「インフルエンサー元年」と呼べるほど、その存在がクローズアップされました。

インフルエンサーマーケティングに興味はあるけれど、自社で取り組むとなると二の足を踏んでいる――。そんなマーケティング担当者、ソーシャルメディア運営担当者も少なくないはず。

そこで今回、インタビューさせていただくのは、『買う理由は雰囲気が9割』(あさ出版)を上梓された、LIDDELL株式会社代表取締役CEOの福田晃一さん。福田さんは、マーケティング力に卓越した芸能事務所TWIN PLANETを立ち上げた後、インフルエンサーマーケティングを切り拓いたパイオニアの一人です。

「雰囲気売れ」のメカニズムや、インフルエンサーマーケティングを効果的に活用する秘訣についてお聞きしました。

なぜ、今、インフルエンサーマーケティングなのか?

日本ではInstagram, Facebook, Twitterのアクティブユーザー総数が9300万人を突破しているとのこと(2018年3月時点)。有名人でなくても特定のコミュニティで影響力をもつ、インフルエンサーは増える一方かと思います。インフルエンサーマーケティングが現在、注目されている理由は何ですか。

雰囲気売れという消費を促す場がSNSであり、その現象をリードする存在がインフルエンサーだからです。今は、ネットを通じて個人がほしい情報をすぐに得られる時代。商品やサービスを提供する企業側からの情報は、一方的な宣伝というか、どうしてもメリットだけの一面提示になりがち。むしろ広告に対する拒否感を消費者に植えつけてしまうケースもあります。

一方、顧客は、加工されていない情報を得て、それがいいか悪いか、面白いか面白くないかを自分で判断したいと考えています。では信頼のおける情報源はどこかというと、インスタなどのSNS上で、自分が共感、信頼している個人、つまりインフルエンサーの発信です。

福田さんは、「ネット上のルールやモラルをしっかりと理解したインフルエンサーの育成を支援し、企業側の意識を啓発していくことが、私たちリデルの役割」と語る。

インフルエンサーの投稿は、インフルエンサー自身の体験がもとになっています。つまり、SNSは「このコスメを使ったらこうだった」というような「体験した結果」のメディアといえます。だから消費者は、多数の人が共感している価値観を「確からしい情報」として受け止めるのです。

「雰囲気売れ」のメカニズムとは?

著書『買う理由は雰囲気が9割』には、「ヒットのスパイラルは『体験したい雰囲気』であり、雰囲気からモノが売れていく」とありました。具体的にどういうことでしょうか。

買う理由は雰囲気が9割
買う理由は雰囲気が9割
著者
福田晃一
出版社
あさ出版

インフルエンサーが発信した情報が、周囲にどう広がっていくのか。例えば、シーブリーズという化粧品ブランドでは「デオ&ウォーター」という制汗デオドラントスプレーが人気になっています。香りのイメージごとにパッケージのカラーが違うのですが、あるとき女子高生の間で、キャップ交換をSNSにアップするのが流行し始めたのです。キャップとパッケージの色が異なる組み合わせのボトルを、友情やカップルの親密さの証として写真にあげていく。その投稿を見た人がマネして、「自分たちも試したい」というように、商品を買った後の「体験」を目的に購入していったのです。

こうして、キャップを取り替えることで、友人や恋人としての親密さ、仲の良さを表すという「雰囲気」が醸成されていきました。メーカーの発表によると、シーブリーズの売上は、わずか1年で低迷期の8倍にまで伸びたそうです。

ここでカギとなるのは、モノを売ったりサービスを利用したりした先の、話題になりそうな「体験」を、企業側が用意して、それをどう活用するかはユーザーに任せること。すると、企業側が自ら発信しなくても、インフルエンサーやフォロワーの共感から生まれた「雰囲気」の輪の中に、新たな見込み顧客(ウォームリード)が入ってくる。フォロワーだった人も、インスタにアップすることで、消費者(コンシューマー)から、発信者(プロモーター)になっていきます。

共有と発信の輪がますます広がり、モノやサービスが売れていく。これが本書で紹介した「雰囲気売れ」のメカニズムです。

『買う理由は雰囲気が9割』p90、雰囲気売れのメカニズム

インフルエンサーマーケティングも、人の心がどんなときに動くのかを見つめる、普遍的な「人マーケティング」の一つです。SNS全盛の時代でも、人を動かすのは人。企業のプロモーションも、この仕組みを理解したうえで取り組まないと、期待する効果はなかなか得られないでしょう。

インフルエンサーと対等なWin-Winの関係を築く

インフルエンサーマーケティングで成功するための秘訣はズバリ何ですか。

インフルエンサーに敬意を持って、共創する意識があるかどうか。インフルエンサーはインスタグラムという雑誌の編集長のような存在。「読者モデルとのタイアップ」などという意識で、「企業側のリクエスト通りに宣伝してもらう」と考えるのがまちがいのもと。だから、インフルエンサーの価値観を尊重し、対等なWin-Winの関係を築くという意識をもてるかどうかが、インフルエンサーマーケティングの成否を分けるといえます。

自社商品やサービスに合ったインフルエンサーを見極める際のポイントは何ですか。

インスタグラムを例にとると、選定基準は、いいね!やコメントの数といったエンゲージメント率が主でした。インフルエンサーの世界観に自社商品が溶け込めるか、コメント数が多くて支持されているコメントの割合が大きいか、といったことです。ですが、こうした基準はどんどん移り変わっています。

現在なら、インフルエンサーのフォロワーの属性にも注目したほうがいい。そのインフルエンサーをフォローしている人のインサイトまで追っていくんです。例えばコスメの写真をアップしている20代の女性のインフルエンサーがいるとします。フォロワーの内訳としては、男性が多い。
彼女の投稿をさかのぼって見ていくと、フォロワーが1万人を切りそうになると、少し露出度の高い水着姿などの写真が増えていることがわかる。どうやら男性フォロワーはそれにいいね!をしているだけで、本来のコスメの訴求力が高いかどうかわからない。そんなケースもあります。

そこまで詳しく見ていくのですね!

ただし、男性フォロワーのインサイトを見ていく中で、ファッション系の仕事の人が多い場合はどうか。この場合、ファッションの感度の高い人たちにも注目されているインフルエンサーだと予測できます。フォロワーはいくらでも購入できてしまう時代なので、フォロワーの属性にまで気を配る必要があります。

実はこうした選定は新しいことでもなんでもなく、当たり前のこと。一般的なネット広告などを出す際、配信される対象の属性って必ず分析していますよね。それなのに、インフルエンサーマーケティングとなると、分析をないがしろにする傾向があります。

インフルエンサーが今後担う役割とは?

今後のインフルエンサーの役割として、福田さんはどんな可能性を考えていますか。

インフルエンサーは今後、プロモーションの実施に限らず、商品開発やプロモーションの企画、コンサルティングに至るまで、より多様な役割を果たしていくと予測しています。
今すでに、個人が雑誌の編集長のように自分のインスタグラムで発信したり、ラジオ番組をもったりしています。人気のフリマアプリなどを使えば、オンライン上で個人商店を開いてモノを売るのも基本的には自由です。つまり、経済活動のほとんどが、組織に属していなくても、個人でできる時代になっています。

同時に、働き方改革が進めば、フリーランスやパラレルキャリア、兼業・副業が、個人にとってより一般的な働き方の選択肢になっていく。すると、インフルエンサーがフリーランスとして企業と年間契約を結び、商品開発やプロモーション企画にまで携わり、共創していく場面が、これまで以上に増えるでしょう。例えば、クリエイティブが得意なインフルエンサーなら、広告やWebのデザインに関わるという形です。

こうした状況が実現する頃には、インフルエンサーという言葉も使われなくなるのではないかと考えています。かわりに、それぞれ得意な活動を通じて、社会関係性をつくる社会的関係構築のハブとなる存在たち、「ソーシャル・オーソリティー」という役割にバージョンアップすると考えています。
企業側も、ソーシャル・オーソリティーである個人の能力や影響力を、より多様な場面で活用するという発想が求められるでしょう。

インフルエンサーの今後の可能性について、理解が深まりました。貴重なお話をありがとうございました!


買う理由は雰囲気が9割
買う理由は雰囲気が9割
著者
福田晃一
出版社
あさ出版

インフルエンサー育成の一環として行われている「LIDDELL×WWD 1万人フォロワー獲得企画」。ドキュメンタリー的にインフルエンサーの成長を追うことができます。詳しくはこちらから。


福田晃一(ふくだ こういち)

LIDDELL株式会社 代表取締役CEO

1979年高知県生まれ。読者モデルを活用した口コミマーケティングが評判を呼び、2006年、芸能プロダクションとマーケティングによるハイブリッド企業・株式会社ツインプラネットを設立。ギャル・読モというエッジィな影響力を持つ存在を活用し、日本随一のギャルマーケティング企業となる。人気タレントの輩出や多数のトレンドを創出、多彩な戦略で「ヒト売れ」なる消費トレンドを築き、2014年、インフルエンサーマーケティングのパイオニアとなるLIDDELL(リデル)株式会社を創業。

事業開始から東宝、アウディ、コーセー、アシックス、ポケモンカンパニー、ドコモ、楽天、キリン、TBS、テレビ朝日、森ビルほか、1000を超える会社をクライアントに持つ。

電通、博報堂ほか、数々の広告代理店や企業にて、最新のトレンド、インフルエンサーマーケティングについて啓発するほか、NHK、朝日新聞、日経などのメディア、講演会等でインフルエンサーマーケティングについて伝えている。

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文責:松尾 美里 (2018/03/29)
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